CON ALMA-1 今や,スパニッシュジャズと来れば,必らず名前が挙がるであろうチャノ・ドミンゲスが「フラメンコとの融合」なしで作った「正統派」ピアノ・トリオの佳作が『CON ALMA』(以下『コン・アルマ』)である。

 『コン・アルマ』を一聴してチャノ・ドミンゲスのアルバムだと聴き分けるジャズ・マニアもそう多くはいないことだろう。
 ズバリ『コン・アルマ』におけるチャノ・ドミンゲスピアノは,時にはベースに,時にはドラムに“寄り添う”ピアノを弾いている。見事な「バランサー」としての役割を務め上げている。
 管理人は,実はそんな「バランサー」としてのチャノ・ドミンゲスのファンなのである。

 ズンズンと「底から突き上げてくる」ジョージ・ムラーツベースとバッサバッサと「ブラシではき上げる」ジェフ・バラードドラムに乗って,ゆったりとピアノに指を運ぶチャノ・ドミンゲスは“控え目”である。
 基本4ビートでアレンジも凝った仕掛けなどはない。にもかかわらず,要所要所で聴こえる有名スタンダードの独特なメロディー・ラインは,ジョージ・ムラーツでも,ジェフ・バラードでもなく,間違いなくチャノ・ドミンゲス流のハーモニーである。

 「ラテン系でアフロ・キューバン系でフラメンコ系」であるチャノ・ドミンゲスの個性的なフレージングを“隠し味”程度に鳴らしている。ジョージ・ムラーツベースジェフ・バラードドラムの“ツボを突いた”仕方で鳴らしている。
 いや〜,来る。じわじわと来る。『コン・アルマ』におけるハイセンスな音選びが“ジャズ・ピアニストチャノ・ドミンゲスの「類まれなる才能」を証ししている。

CON ALMA-2 スパニッシュジャズの魅力とはリズムとノリの良さだけに限られるわけではない。「キラリと光る明るいメロディー・ライン」もスパニッシュジャズの大きな魅力の一つである。

 前のめりではない,ゆったりとGROOVEし続けるスパニッシュジャズ。『コン・アルマ』は,椅子に腰かけて楽しめるスパニッシュジャズ・アルバムの佳作である。

  01. LA TARARA
  02. NO ME PLATIQUES MAS
  03. HOW ABOUT YOU?
  04. DOLPHIN DANCE
  05. CON ALMA
  06. EL TORO Y LA LUNA
  07. IT COULD HAPPEN TO YOU
  08. HULLO BOLINAS
  09. JURE
  10. SPEAK LOW
  11. DARN THAT DREAM

(ヴィーナス/VENUS 2004年発売/VHCD-4042)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/藤本史昭)

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