
リー・リトナー〜ラリー・カールトンの流れの中で,残された同格と来れば,ジョージ・ベンソンとかアール・クルーとかパット・メセニーとかビル・フリゼールとかマイク・スターンとかジョン・スコフィールドとかジョン・マクラフリンくらいしか?名前が浮かばなかった。← 結構いるじゃん!? 4代目も大丈夫そう?
しかし,実際にチャック・ローブの名前を聞いた瞬間,腑に落ちてしまった。その手があったんだ。流石はボブ・ジェームスと妙に納得してしまった。
チャック・ローブのフォープレイへの適性は,すでに『EBOP』(以下『イーバップ』)にて完全証明されている。
そう。『イーバップ』におけるチャック・ローブは,アドリブを多用したアーバンでソウルフルなジャズ・ギタリスト。尤も「ステップス・アヘッドのギタリスト」の“紋所”が目に入らぬか〜。
さて,管理人が『イーバップ』を聴いて,チャック・ローブにフォープレイへの適性を感じた最大の理由は,チャック・ローブの(ギタリストとしての実力以上に)類稀なるバランス感覚にこそある。
『イーバップ』は基本,機械的な打ち込み+ヒューマンチックな生楽器の同時進行のセンスにある。どちらか一方に偏れば,アルバムとしてのカラーも出しやすい売れやすい。
しかしチャック・ローブは,その両方を巧みに使い分け,両面の良さを聴かせてくれる。このハイ・センスに惚れてしまった。
「表向きの」フォープレイとは,ピアノとキーボードのボブ・ジェームス,ベースのネーサン・イースト,ドラムのハービー・メイソンに,フロントマンとしてのギタリストを加えた「4人対等」の「スーパー・フュージョン・グループ」。
しかし,フォープレイの「内情」とは,4人が4人ともプロデューサーとして大活躍する「スーパー・プロデューサー集団」でもある。
事実,フォープレイのコンセプト=グループ・サウンズであって,現代のモダン・ジャズ・カルテットを公言する「4人対等」の「スーパー・フュージョン・グループ」。
必然的にフォープレイのギタリストにも,ただギターをプレイするだけではなく,フォープレイへのプロデュース能力が求められている。だからチャック・ローブが選ばれたのだと思っている。

品格性の高いクロマチック・フレーズが押し寄せてくる。一聴するとスカスカな音作りであるが,一音一音が研ぎ澄まされたダイナミクスのバランス感覚によってグルーヴしていく。少ない音数でヒップにリズムを作り上げる能力に長けている。都会的で洗練されたサウンドである。
チャック・ローブ加入後のフォープレイの3枚『LET’S TOUCH THE SKY』『ESPRIT DE FOUR』『SILVER』が素晴らしい。
リー・リトナーはいない。ラリー・カールトンもいない。でも大丈夫。“我らが”フォープレイにはチャック・ローブがいる。「チャック・ローブあっての」フォープレイを思い知らされる。
01. eBop
02. Brainstorm
03. Back at the Bistro
04. Back Then
05. Bring It
06. Fool Proof
07. New Wheels
08. Stained Glass
09. Smash
10. Parallax
(シャナキー/SHANACHIE 2003年発売/SH 5103)
(ライナーノーツ/工藤由美)
(ライナーノーツ/工藤由美)
コメント
コメント一覧 (2)
podcastのsmooth jazzでもよくかかりますし、ソロアルバム結構聴いてます。
チャック・ローブいいですよね。リー・リトナーやラリー・カールトンのような大物ではないですがスムーズ・ジャズ界の中ボス的な存在で,フュージョン・ギタリストを語る上で外せない存在です。
私はインターネット・ラジオは聴かないのですが専門チャンネルでよく流れる,というのは容易に想像がつきます。
フォープレイであと数年過ごせばチャック・ローブも大物の仲間入りですねっ。