JAZZ IMMORTAL-1 「不滅のジャズ」を意味する『JAZZ IMMORTAL』(以下『ジャズ・イモータル』)とのタイトルだが,大風呂敷を広げただけのことはある。

 そう。イースト・コーストクリフォード・ブラウンが,譜面に強いウェスト・コーストの精鋭ジャズメンと共演したパシフィック・ジャズ盤の『ジャズ・イモータル』こそが,正しく「不滅のジャズ」の最右翼で間違いない。東西両海岸のベスト・エレメンツが見事な融合を聴かせている。

 『ジャズ・イモータル』の聴き所は,狭義には「典型的なウェスト・コーストの緻密なアンサンブルに身を置いたクリフォード・ブラウンのリズミックなテンション」であったであろうし,広義には「クラシックの室内楽的手法であるジャズ・アレンジへの適応とジャズの伝統的な手法であるテンションとリラクゼーションの対比」であったのだろう。

 その答えをクリフォード・ブラウンが見事な「調和」が示してくれている。時間を超え場所を超えジャンルを超えて,フロント4管の中からクリフォード・ブラウンの一本のトランペットが飛び出し“宙を舞っている”のである。

 こんなにも“豪華な”クリフォード・ブラウントランペットは『ジャズ・イモータル』の他に例を見ない。
 ピアノラス・フリーマンドラムシェリーマンを始めウェスト・コーストジャズの名手が一堂に会し,ジャック・モントローズのアレンジに乗ったズート・シムズという好敵手までが登場し,ソロアンサンブルにと“洒落た”ジャズ演奏が続いていく。

JAZZ IMMORTAL-2 管理人の結論。『ジャズ・イモータル批評

  HOTなイースト・コーストとCOOLなウェスト・コーストが,手に手を取り合って,見事な「調和」を果たしている。そのパイプ役こそがクリフォード・ブラウン

 特に【JOY SPRING】のまろやかで艶やかでほっこりするアンサンブルは,管理人が知るクリフォード・ブラウンの全ての演奏の中で最高に好き。一番好き。たまらなく好き。
 【JOY SPRING】だけは,あのウイントン・マルサリスをしても絶対に手が届かない種類の大名演である。

 『ジャズ・イモータル』の成功が次の歴史を作っていった。クリフォード・ブラウンの「不滅のジャズ」を忘れない!

  01. TINY CAPERS
  02. GONE WITH THE WIND
  03. FINDERS KEEPERS
  04. BLUEBERRY HILL
  05. JOY SPRING
  06. BONES FOR JONES
  07. BONES FOR ZOOT
  08. DAAHOUD

(パシフィック・ジャズ/PACIFIC JAZZ 1960年発売/TOCJ-90058)
(☆HQCD仕様)
(ライナーノーツ/リチャード ボック,児山紀芳)

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