BLUES ETTE-1 世に名盤と名の付くものは数多く存在する。しかし,ジャズの初心者にも上級者にも分け隔てなく愛される名盤というのはそうあるものではないのだが,数少ない名盤の1つが『BLUES ETTE』(以下『ブルースエット』)であることに,異論の余地はないだろう。

 それくらい多くのジャズ・ファンから愛されている『BLUES ETTE』(以下『ブルースエット』)を,モダン・ジャズを代表する「古典」と呼ぶことにしよう。

 そう。『ブルースエット』は,モダン・ジャズを語る上で“絶対に外すことのできない”の名盤である。
 しかし,ジャズ名盤ランキングのTOP10に食い込むことはない。超人気盤というわけではない。ただし,間口を広げたTOP50ぐらいになると必らずランクインしてくる。『ブルースエット』は,そんな立ち位置を占めている。こんな「古典」的名盤って『ブルースエット』の他には『モーニン』ぐらいしか思いつかないよなぁ。

 『ブルースエット』の,カーティス・フラートロンボーンベニー・ゴルソンテナーサックスによる「中低域ほんわか2管」の心地良さと懐かしさは,風呂場で歌う鼻歌がエコーがかかって気持ち良い感じ? あるいは温泉の露天風呂に浸かっているような感じ?

 【FIVE SPOT AFTER DARK】の“ウォームでソウルフルな”ゴルソン・ハーモニーを口ずさんでいると,自然と腰がムズムズし始める〜。おお,こりゃいいわ〜!

BLUES ETTE-2 【FIVE SPOT AFTER DARK】の1曲の存在だけで『ブルースエット』の名盤は確定したも同然であろうが,いいや,どうしてどうして…。

 『ブルースエット』はアルバム1枚をじっくりと聴き通してほしい。そう。全曲がゴルソン・ハーモニー名演集である。モダン・ジャズが最もモダンに響いていた時代の名演集なのである。

 村上春樹が【FIVE SPOT AFTER DARK】を題材に,小説「アフターダーク」を描きたくなった気持ちも分かる気がする。
 そんなマイナーブルースでファンキーな音のブレンドに,リアル未体験世代なのに「良い時代だったなぁ」を実感する。

  01. FIVE SPOT AFTER DARK
  02. UNDECIDED
  03. BLUES-ETTE
  04. MINOR VAMP
  05. LOVE YOUR SPELL IS EVERYWHERE
  06. TWELVE-INCH

(サヴォイ/SAVOY 1959年発売/COCY-9006)
(ライナーノーツ/アラン・ステイン,小川隆夫)

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