
ズバリ『シネマジック』が「映画音楽家」としてのデイヴ・グルーシンであるならば『NOW PLAYING:映画テーマ集』は「ジャズ・ピアニスト」としてのデイヴ・グルーシンである。
昔からデイヴ・グルーシンは「7つの顔を持つ男」と呼ばれているが,そんなデイヴ・グルーシンの“面目躍如”の1枚だと思う。
『NOW PLAYING:映画テーマ集』は,デイヴ・グルーシンの「ソロ・ピアノ」名義。
一見すると,甘いメロディーの「カクテル・ピアノ」集,とイメージしがちだが,これが驚くほど“骨太”であって「ジャズ・ピアノ」しているのだからから堪らない!
元来,デイヴ・グルーシンとは「リズミカルなピアニスト」である。しかし,代表作が「映画音楽」という手前,哀愁と感動とHAPPYのデイヴ・グルーシン,を聴かせるべく「リリカルなピアニスト」を“演じている”のもまた同じく彼なのだ。
『NOW PLAYING:映画テーマ集』では「ジャズ・ピアニスト」としてのデイヴ・グルーシンが帰ってきている!
音と音のつながりが非常にスムーズで,音のタッチまでが完璧にコントロールされている! 「ピアノの88鍵をフルに使用した」ダイナミックなソロ・ピアノを弾いている!
メロディーを決して邪魔しないアドリブが「即興」しまくっている!
そう。『NOW PLAYING:映画テーマ集』の主役は,デイヴ・グルーシンの「名曲」ではなく,デイヴ・グルーシンの「ジャズ・ピアノ」である。
最初はBGMとして流していたはずだったのに,いつの間にか真剣に「聴いてしまっている」自分に気が付くことがある。メロディーそっちのけでピアノのタッチばかりに耳を傾けてしまうことがある。

だからこそ管理人は『NOW PLAYING:映画テーマ集』のデイヴ・グルーシンに,エレガントでスマートで華麗な「映画音楽家」としてではなく“骨太”「ジャズ・ピアニスト」を強く意識してしまう。
「名画に名曲あり」! 「名曲にデイヴ・グルーシンあり」! 「デイヴ・グルーシンに名演あり」!
01. On Golden Pond
02. New Hampshire Hornpipe
03. The Heart is a Lonely Hunter
04. Lupita
05. Pistolero
06. Milagro Theme
07. Memphis Stomp
08. Se Fue
09. Hurricane Country
10. It Might Be You
11. Theme from Mulholland Falls
12. Random Hearts
13. Heaven Can Wait
14. Letting Go
15. Mud Island Chase
(GRP/GRP 2004年発売/UCCR-1040)
(ライナーノーツ/市川正二)
(ライナーノーツ/市川正二)