FREEDOM AT MIDNIGHT-1 思うにデイヴ・グルーシンの引退には,少なからずデビッド・ベノワが関係しているのではなかろうか?

 なぜならデイヴ・グルーシンの引退後,改めて聴き直したデビッド・ベノワの『FREEDOM AT MIDNIGHT』(以下『フリーダム・アット・ミッドナイト』)に,発売当時は感じなかったデイヴ・グルーシンの『マウンテン・ダンス』な香りを感じてしまったからだ。

 そもそもデビッド・ベノワが影響を受けたアイドルとして公言する,ビル・エヴァンスと並ぶ存在がデイヴ・グルーシンであった。
 しかし,個人的にこれまで聴いてきたデビッド・ベノワに,ビル・エヴァンスを感じることはあってもデイヴ・グルーシンを感じたことは1度もなかった。

 だ・か・ら『フリーダム・アット・ミッドナイト』の中に住んでいたデイヴ・グルーシンの存在感に驚くとともに「管理人の耳はロバの耳」にガックシ。

 『フリーダム・アット・ミッドナイト』の5つ星は,ラジオでヘビーローテーションされた【FREEDOM AT MIDNIGHT】〜【ALONG THE MILKY WAY】〜【KEI’S SONG】までの1・2・3で大決定。

 爽やかでブリリアントでメロディアス,そこへマイナー調が重しを聴かせるスムーズ・ジャズ路線のハイセンスな“キラキラ”! デビッド・ベノワにしては珍しいシンセサイザーの全面採用が“華”!

 いやいや,名盤フリーダム・アット・ミッドナイト』の成功は,デイヴ・グルーシンなしに語ることはできない。デイヴ・グルーシンGRPだからこそ,目指す音楽がデイヴ・グルーシンと同じだからこそ,デビッド・ベノワが思う存分,自分のやりたいコンテンポラリーを展開することができたに違いない。

FREEDOM AT MIDNIGHT-2 完成した『フリーダム・アット・ミッドナイト』のレイドバックにデイヴ・グルーシンがいたく感動していた。自分が作ろうとしていた理想のフュージョンが,今やデビッド・ベノワの手中にある。

 デビッド・ベノワの“天才”に大満足して,デイヴ・グルーシンは引退した。デイヴ・グルーシンの「後継者」はデビッド・ベノワ“その人”である。

  01. Freedom At Midnight
  02. Along The Milky Way
  03. Kei's Song
  04. The Man With The Panama Hat
  05. Pieces Of Time
  06. Morning Sojourn
  07. Tropical Breeze
  08. Passion Walk
  09. Del Sasser
  10. The Last Goodbye

(GRP/GRP 1987年発売/UCCR-9013)
(デジパック仕様)
(ライナーノーツ/松下佳男,藤あずさ,熊谷美広)

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