FURUSATO -TRIBUTE TO JAPAN--1 東日本大震災から丸5年の日が明日やってくる。今週と来週のメディアは震災関連のニュースばかりとなるのだろう。個人的にもいろいろと感じることはあるのだが,ブログでは震災については一切書かないことに決めている。何を書いても軽薄な自分が嫌になるに決まっているのだから…。

 ただ,決して無関心ではないことだけは知ってほしい。今夜は木住野佳子の『FURUSATO −TRIBUTE TO JAPAN−』(以下『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』)批評を書くことにする。

 『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』とは,木住野佳子による「美しい日本を賛美するトリビュート・アルバム」である。
 『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』を聴いていると,簡単に言えば,美しい日本の記憶を名曲で綴った「童謡集」である。

『子供の頃は,そんなに日本の歌に興味がありませんでした。
 でも大人になって,子供の頃に見た景色を思い出したりしながら,
 だんだんと懐かしい旋律の曲を作るようになりました。
 そして海外にも行くようになって,また改めて
 日本の素晴らしさに気が付いて唱歌を演奏するようになりました。

 そして今では,日本の曲のメロディーを聴いただけで涙が出てしまう大人になりました。
 日本人でよかったな,って思います。

 心を込めて,演奏した13曲。
 ぜひ,ご一緒に口ずさんでください』。

FURUSATO -TRIBUTE TO JAPAN--2 上記,木住野佳子が語ったライナーノーツに感動してしまう。管理人が近年感じていた胸の内を代弁してくれた思いがした。

 音楽って本当に大きな力がある。忘れかけていた昔の記憶を呼び覚まし,お金で買うことのできない幸福な気分で満たしてくれる。管理人は両親に愛されて育った。周りの人々もみな親切だった。日本はいい国だった。いい時代だった。貧しくても豊かな毎日だった。でも幸福は絶頂期に一瞬で失われることもある…。

 『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』から聴こえてくる木住野佳子ジャズ・ピアニストではない。
 『ふるさと −TRIBUTE TO JAPAN−』における木住野佳子は「ザ・日本の歌」の専属ピアニストである。

 込み上げてくる悲しみを押し殺し,超一流ジャズ・ピアニストとしてのプライドさえかなぐり捨て,リスナーの注意を「美しい日本」に向けさせるべく,丁寧に「童謡」を弾いている。頑張れ。

  01. 故郷
  02. 上を向いて歩こう
  03. 朧月夜
  04. 浜辺の歌
  05. リンゴ追分
  06. 早春賦
  07. さくらさくら
  08. 赤とんぼ
  09. 冬の夜
  10. ちいさい秋みつけた
  11.
  12. 見上げてごらん夜の星を
  13. かえり道

(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2013年発売/POCS-1103)
(ライナーノーツ/木住野佳子)

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