CROSS POINT-1 2016年の3月と4月はやってもやっても,処理しても処理しても,次から次に重要案件が飛び込んでくる。マジで新婚当初以来,CDが一切聴けない「毎日が綱渡り」状態。もう愚痴るのはやめる。

 こんな非常事態のブログ更新は,山下達郎のサンソン風に「棚からひとつかみ」。前2回が「聴き直さなくても書ける」カシオペアを掴んでしまったので,その流れで今夜もカシオペア批評の最後の1枚『CROSS POINT』(以下『クロス・ポイント』)で「棚からひとつかみ」。今夜も短縮バージョーンと相成ります。

 『クロス・ポイント』で交わる,縦の糸が「スピード,スリル,テクニック」ならば,横の糸は「音の引き算」である。その答えこそが“黄金の”カシオペア・サウンド。つまりは「世界最高峰のバンド・アンサンブル」の確立である。
 前5作とは明らかに異なるアプローチ。複雑で難易度高めな演奏を排除し,シンプルに曲の良さを引き出すためのバカテクでストレートな演奏志向へと変貌を遂げている。

 そう。ほぼ半年間隔でリリースされてきた『CASIOPEA』『SUPER FLIGHT』『THUNDER LIVE』『MAKE UP CITY』『EYES OF THE MIND』の変化も特筆ものであったが,一皮剥けたというか,突き抜けた感というか,ついに過去5作では“掴めそうで掴めなかった”カシオペアの本質が万人の手に明らかにされた感アリアリ。

 この時期の“塩分控え目”な『クロス・ポイント』だったから書き上げられた【SMILE AGAIN】と【SWEAR】のロマンティシズムの野呂一生のワン・ツー。
 爽やか系の定番となった神保彰の【SUNNYSIDE FEELIN’】。まだ何の抵抗もなく他人の曲も演奏していたカシオペアハービー・メイソンの音楽を最高のJ−フュージョンで具現化した【ANY MOMENT(WE’LL BE ONE)】こそが『クロス・ポイント』の真骨頂だと思っている。

CROSS POINT-2  でもどうしても聴いてしまうのが『クロス・ポイント』の,というかカシオペアのというか,LIVEにおける代表曲【DOMINO LINE】【GALACTIC FUNK】!
 「ドミノ倒し」なしでも興奮するマイナー調のズンズン・ビートと別名=アンドロメダ・パトロール=エア・パンチャーがギャラクティック
 『MINT JAMS』で頂点へと登りつめた“鉄壁のアンサンブル”の原点の香りが『クロス・ポイント』にはある。

 ズバリ,カシオペアの大量名盤群の中にあって,屈指の名盤の誉れ高きアルバムが『クロス・ポイント』。非常に聴き応えのある例のアレ!が『クロス・ポイント』のフュージョン・ミュージックに詰まっている。

  01. SMILE AGAIN
  02. SWEAR
  03. A SPARKLING DAY
  04. SPAN OF A DREAM
  05. DOMINO LINE
  06. GALACTIC FUNK
  07. SUNNYSIDE FEELIN'
  08. ANY MOMENT (WE'LL BE ONE)
  09. ENDLESS VISION

(アルファ/ALFA 1981年発売/VRCL-2226)
(ライナーノーツ/桜井哲夫)

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