TAKING OFF-1 管理人は趣味でアルトサックスを吹くのだが,気分はいつだって“サンボーン・キッズ”。
 そう。管理人のアイドルの1人がデヴィッド・サンボーンマーカス・ミラーとタッグを組んだ「絶頂期」を体感したフュージョン・マニアにとって,デヴィッド・サンボーンこそが「永遠のスーパー・ヒーロー」に違いない。

 そう思ったが最後,世の男性の常=デヴィッド・サンボーンの全演奏のコレクションへと突っ走る。管理人もCDや雑誌にデヴィッド・サンボーンの文字を目にするや,片っ端から聴き漁った青春時代が懐かしい。

 でも,結局のところ,デヴィッド・サンボーンを追いかけていくとマイケル・ブレッカーへと行き当たる。デヴィッド・サンボーンもいいんだけど,デヴィッド・サンボーンの隣りで猛然とプレイしているマイケル・ブレッカーへと自然と耳が向いていくんだよなぁ。
 同じアルトサックス・プレイヤーならケニー・ギャレットの方が断然上なわけで…。

 そ,そそそ,そうなんです。管理人は“サンボーン・キッズ”なのですが,初期のデヴィッド・サンボーンはスタジオ・ミュージシャンしているし,後期のデヴィッド・サンボーンは腑抜けなジャズをかじっているわで,現時点では大抵の興味を失っていまっています。

 こんなテンションでデヴィッド・サンボーン批評に取り組む管理人のモチベーションは,デヴィッド・サンボーンの新発見!
 これまで相当に聴いてきて,マーカス時代以外はマジで聴き飽きてしまって,すでに名盤&普通&駄盤の評価が定まっているアルバムを聴き直すのは苦痛の作業。
 ブログの記事を書くために数十年振りに聴き直す“サンボーン節”に新発見があるといいなぁ〜。

 そういう訳でデヴィッド・サンボーンファーストソロである『TAKING OFF』(以下『テイキング・オフ』)を10年以上振りに聴き直してみたが,特に語ることはない。

 “売れっ子”スタジオ・ミュージシャンとして,徐々に頭角を現わしてきた時期の演奏であって,それ以上でもそれ以下でもない。他人の曲を他人のアレンジで,カッコイイ感じに吹き鳴らして終わっている。サイドメンとして参加して,長めにソロをもらった感じ?
 全てのお膳立てが出来上がった状態で,舞台に上げられ,プロデューサー集団のオーダー通りにアルトサックスを吹き上げる。そんな“舞台俳優”のような印象を受けてしまう。

TAKING OFF-2 「借りてきた猫」。これが管理人の『テイキング・オフ』に対する評価である。アルバム自体はいい感じだと認めるのにヤブサカではないが,個人的にこのアルバムは好きではない。

 この時期のデヴィッド・サンボーンを聴くのなら『テイキング・オフ』ではなくて,サイドメンとして,ランディマイケルブレッカー兄弟と3人で組んだホーン・アンサンブルの独特な切れ味が数倍楽しい。

 『テイキング・オフ』はフュージョンと呼ぶよりもクロスオーヴァーとかAORとかの「耳当たりの良いアルトサックス」な音造りで,あの“泣きのブロー”は完成途上。ただし,あの“音色”はこの時点で完成されています。

 まぁいいんじゃない。管理人の最大のアイドル=キース・ジャレットファーストソロも同じようなものなんだし…。

  01. BUTTERFAT
  02. 'WAY 'CROSS GEORGIA
  03. DUCK ANKLES
  04. FUNKY BANANA
  05. THE WHISPERER
  06. IT TOOK A LONG TIME
  07. BLACK LIGHT
  08. BLUE NIGHT
  09. FLIGHT

(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1975年発売/WPCP-3547)
(ライナーノーツ/熊谷美広)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)