
マサちゃんズの“王道すぎる名演”には今回も大満足だったのだが,実は演奏とは別の部分で『ウィ・ガット・リズム マサちゃんズ・ライヴ・アット・ミューザ』には「騙された気分」がしたものだ。期待が余りにも大きかっただけに,9年経った今でも「割り切れない」心の傷が残されている。買うと決めていても「事前情報のチェックが大切」であることを身をもって教えられた気分がする。
だ〜って,ライブ盤『ウィ・ガット・リズム マサちゃんズ・ライヴ・アット・ミューザ』のレコーディング会場は,クラシックの大ホール「ミューザ川崎シンフォニーホール」。生音が響きすぎている。
やはりマサちゃんズのライブ盤は,客席と1mの至近距離で演奏されるライブハウスの「熱狂録音」で発売してほしかった〜。
ではなぜライブ会場が「ミューザ川崎シンフォニーホール」になったのかというと,それにはそうなる理由があって『ウィ・ガット・リズム マサちゃんズ・ライヴ・アット・ミューザ』の“売り”の1つが,マサちゃんズと「東京交響楽団」との共演なのだから…。
これには,なぜの嵐? なんでマサちゃんズ3人だけのライブ盤ではないのか? 甚だ疑問という以上に,怒りの感情が込み上げてきた。
『ウィ・ガット・リズム マサちゃんズ・ライヴ・アット・ミューザ』を企画した責任者出てきやがれ。あなたはマサちゃんズ,そしてマサちゃんズ・ファンの気持ちを微塵も理解できてはいない。
『ウィ・ガット・リズム マサちゃんズ・ライヴ・アット・ミューザ』は,クラシックの大ホールではなく,こじんまりしたジャズ専門のライブハウスでやるべきだった。
そして,ピアノの佐山雅弘,ベースの小井政都志,ドラムの大坂昌彦のマサちゃんズの3人だけのライブ盤であるべきだった。ゲストなど不要だ。殊に「東京交響楽団」との共演とは何事かっ!
はぁ,落ち着いて落ち着いて…。
改めて,マサちゃんズの名演を収録した『ウィ・ガット・リズム マサちゃんズ・ライヴ・アット・ミューザ』を発売しなかった方が良かったのか,と問われるとその答えは悩ましい。
どんなに企画者の頭が悪かろうと,ジャズという音楽は結果が全てのやったもん勝ち!
「東京交響楽団」と共演したガーシュイン・メドレー【「アイ・ガット・リズム」変奏曲】のオーケストレーションは,TV番組の音楽監督を務めてきた佐山雅弘の“本領発揮”メドレー!
美しさと激しさを持ち合わせたアレンジが秀逸であって,小曽根真が近年クラシックに進出するようになるまでは,管理人の中で「ガーシュインと来れば佐山雅弘」ラインが出来上がっていた。
【「アイ・ガット・リズム」変奏曲】での「M’s・ウィズ・ストリングス」が最高に素晴らしい。

キース・ジャレット・トリオの過去の持ちネタと共通する【ALL THE THINGS YOU ARE】【I’M OLD FASHIONED】【FALLING IN LOVE WITH LOVE】を聴いていると,まるでそこにキース・ジャレット・トリオが来日している感じに聴こえてしまう。あたかもキース・ジャレット・トリオの「新作」でも聴いているかのような感覚に陥ってしまう。
特に大坂昌彦のドラムにかかったエコーの感じが,そのまんまジャック・デジョネット〜!
ライブ録音なので,現場ではリハーサルとは異なるハプニングが起きていたのだろうけど,どれもこれもがスタジオ録音であるかのような緻密な仕上がりに,10年間のマサちゃんズの本質=ライブ・バンドを意識させられてしまう。
く〜っ,貶すつもりでまたもや褒めてしまっている。もういいだろう。こんな称号を与えてもいいだろう。管理人はマサちゃんズを「日本のキース・ジャレット・トリオ」と呼んでいる。読者の皆さんも?
01. ALL THE THINGS YOU ARE
02. MY SHINING HOUR
03. I'M OLD FASHIONED
04. BUT BEAUTIFUL
05. LADIES IN MERCEDES
06. I GOT RHYTHM VARIATION
I GOT RHYTHM
〜SOMEONE TO WATCH OVER ME
〜EMBRACEABLE YOU
〜HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON?
07. FALLING IN LOVE WITH LOVE
08. ON A CLEAR DAY (You Can See Forever)
09. LET'S FACE THE MUSIC AND DANCE
(ビクター/JVC 2007年発売/VICJ-61430)