
ただし「凄腕集結」への思いは「4人4様」であって,残念ながら和田アキラにとって「EXHIVISION」は“エキシビジョン”のまんまであった。
そう。浅田真央のエキシビジョン・マッチの如く,和田アキラにとって「EXHIVISION」は,公式試合ではなくエキシビジョン・マッチ。過剰な装飾フレーズの多い,ショーアップされた演奏が多いように思う。
「EXHIVISION」を経験した和田アキラの思いは,改めて「PRISM」一本槍〜。
ズバリ「EXHIVISION」の真実とは,難波弘之と和田アキラによる“双頭”メタル・プログレッシブ・フュージョン・バンドではなく,難波弘之主催の“第3のバンド”である。
難波弘之と来れば「SENSE OF WONDER」と「野獣王国」であるが,どちらもポップでありロックでありプログレな一面が“売り”であった。
そう。「EXHIVISION」は,これまでの難波弘之に欠けていたフュージョン系の活動拠点となるべき母体。「EXHIVISION」の音楽性が,基本ポップでロックになるのは難波弘之の音楽性の特徴なのである。
歌もののメロがプログレ・フュージョンのエレメンツで演奏されるのが「SENSE OF WONDER」や「野獣王国」との違いであろう。その意味で“期待以上でも期待外れでもない”予想通りの「EXHIVISION」の音ってどうなんだろう…。

プログレ・フュージョンの模範演奏は和田アキラだけではない。管理人は「EXHIVISION」で,フレットレス・ベースの永井敏己とドラムの長谷川浩二を初めて聴いたのだが,永井敏己に渡辺建を,長谷川浩二に木村万作を聴き重ねてしまった。
だから,個人的には難波弘之が「PRISM」的なメンバーを集めたのには違和感が残る。
結局の所,テクニカルな歌ものが欲しいのなら難波弘之も和田アキラのように後ろに下がって,細かいフレーズを滑らかに紡ぐ永井敏己のフレットレス・ベースを前面に出した,メロディアスなプログレ・フュージョンを聴いてみたかった。
とにかく「EXHIVISION」の1st『EXHIVISION』の収穫は永井敏己である。永井敏己に渡辺建への“夢を”託したい。
01. SCENT OF NOVA
02. DOUBLE DOWN
03. ICEBOUND
04. OTHER SIDE
05. NIGHT VIEW
06. 百家争鳴
07. WINDYE
08. FAERIE TALE
09. WINDYE
10. BASCULE BRIDGE
(しおさい/ZIZO 2004年発売/SHCZ-0047)
(紙ジャケット仕様)
(紙ジャケット仕様)