
電源にまでこだわるマニアは別として,管理人はオーディオに無関心なジャズ・ファンをジャズ・マニアとは認めていない。
ブランフォード・マルサリスによれば「ジャズとは繰り返し聴き返されて,2年や3年ではなく25年かけて売れる音楽」。これ名言&至言!
管理人的には「形として記録されない芸術」としてのライブ演奏こそが,ジャズの醍醐味,だと思うのだが,CDなしのジャズ・ライフなど考えられないし…。つまりは生音を再現するための音質が重要だという主張でご理解を…。
それで本題! 「きれいなピアノ」と来れば山本英次である。
山本英次の場合は,オーディオ雑誌の「STEREO」誌や「AUDIO ACCESSORY」誌だけではなく,ジャズ雑誌の「SWING JOURNAL」誌でも「最優秀録音賞」を受賞しているのだから,ピアノに限定せずに「きれいなジャズ」と呼んでも差し支えない。
山本英次のピアノを聴いていると「心が洗われる」。真に「いい音」を聴いていると(集中の反対としての)リラックスできる。
…というよりも「最優秀録音賞」のピアノの音色に耳をそばだてようと,真剣にスピーカーなりヘッドフォンなりに向かうのだが,どうしても集中力が切れてしまう。何十回チャレンジしてもアルバム1枚最後まで集中することなどできなかった。これって?
そう。これこそが山本英次の最大の魅力である。ピアノの音質にではなく,音楽そのものに自然と注意を向けてしまう“ピュアでナチュラルな”ジャズ・ピアノなのである。
その意味ではジャズというよりも,ピアノ寄りでオーディオ寄りの性質が強い『COFFEE BREAK WITH PIANO MAN』『TO FAZIOLI』は後回しにして,山本英次の1枚目は純粋にムーディーなソロ・ピアノ集として楽しめる『LULLABY OF PIANO MAN』(以下『ララバイ・オブ・ピアノマン』)が良いと思う。
『ララバイ・オブ・ピアノマン』で,高音質録音が実現した“絶対条件”とは山本英次の“愛情と優しさに満ちた”ピアノ・タッチがあればこそ!

そう。山本英次の枕詞は「きれいなピアノ」の前に“ジャズ・ピアニスト”である。ジャズのリズムやハーモニーを突き詰めると“うっとりするほど”美しいものなのだと思う。
PS 音楽的な性質の強い『ララバイ・オブ・ピアノマン』も,そこは山本英次「印」の名録音盤。オーディオ・チェック盤としても評価の高いベーゼンドルファー・グランドピアノの重厚な音粒,柔らかくしかも迫力の低音,そして厚みのある中音,また粒だちのある立体的な音像の高音を聴くことができますよっ。
01. 誓い
ララバイ・オブ・ピアノマン組曲
02. Aマイナーセブン
03. ララバイ・オブ・ピアノマン
04. アリス・イン・マイ・ドリーム
05. テイク・イット・イージー
06. 二人でお茶を(ティーフォートゥー)
07. 春の日本組曲 蝶々 さくら
08. この素晴らしき世界
09. スイート・ロレイン
10. ノクターン(愛情物語)
11. 5フィート2インチ
12. ひきしお
13. ララバイ・オブ・ピアノマン テイク2
(YPM/YPM 1995年発売/YPM-003)
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