
素直にうれしかった。こんな「ついに,見〜つけた」的な感動こそが,ジャズを,特に「B級」ジャズを聴き続ける楽しみに違いない。
ディック・モーガンの存在は,管理人も「初耳」であった,マイナー・シーンのジャズ・ピアニストであるが,ディック・モーガンのデビューには意外や意外,キャノンボール・アダレイという“超大物”の後押しがあったと言う。
そう。ディック・モーガンの真髄は“ファンキー・キャノンボール”が惚れ込んだ「最高にハッピーなピアニスト」!
『ドライヴ,パッション,アンプリディクタブル』でのディック・モーガンのジャズ・ピアノが“ノリノリ”である。ブルージーなフィーリングと寛ぎ与えるスイング感が“快感”なのである。
『ドライヴ,パッション,アンプリディクタブル』のような「屈託のない,明るく人懐っこい」アルバムは,それこそ細かく聴き込むのは逆に勿体ない。管理人なんかも『ドライヴ,パッション,アンプリディクタブル』は,得意のヘッドフォンではなくスピーカーを大音量で流している。
ゆえに,聴き終えた後の印象は,一番のメロディでもフレーズでもなく「とにかく明るく軽快であった」という全体の印象しか残らない。
タメの効いたブルースの持続するGROOVEに「どうでもよくなってしまう」気持ち良さがある。肩肘凝らないリラックスした演奏に“ノリノリで癒される”という矛盾が成立している。
どうして『ドライヴ,パッション,アンプリディクタブル』クラスの大名演が,もっと世間で認められないのだろうか?
この記事はディック・モーガン称賛キャンペーン! 欲を出して『ドライヴ,パッション,アンプリディクタブル』を聴き込んでみる。す・る・と・ディック・モーガンのジャズ・ピアノ・スタイルが見えてくる!
ディック・モーガンが多様するのはシングル・トーン&ブロック・コード。こう来るとレッド・ガーランドが思い浮かぶが,ディック・モーガンの一番の売りは“能天気ムードな根明なノリ”なのである。
特にテンポの変化を多用しがちで,1曲の中にスロー〜アップ・テンポ〜ミディアムが同居する,結構な変幻自在スタイルだけで“イチコロ”なのに,そこにホレス・パーラン的でレイ・ブライアント的な“ブルース・フィーリング”を混ぜてくる。だ・か・ら・好みなのだ。

個人的に『ドライヴ,パッション,アンプリディクタブル』とは,スティーヴ・アブシャイアあってのディック・モーガンであろう。
ギターのミス・タッチが散見されるが「そんなの関係ない!」と思わせるニュアンス勝負のギターが,ディック・モーガンのピアノと一緒に盛り上がる。スティーヴ・アブシャイアがディック・モーガンを乗せまくり,ディック・モーガンがスティーヴ・アブシャイアを乗せまくる“相乗効果”が絶大である。
とにかく「最高にハッピーなピアノ」+「最高にハッピーなギター」=「最高にハッピーな」『ドライヴ,パッション,アンプリディクタブル』!
01. The Boston Chicken I
02. Alone Together
03. How Deep Is The Ocean? / I Found My Love And It's You
04. Honeysuckle Rose
05. It's All Right With Me!
06. I Never Knew At All
07. Yesterdays / Yesterday
08. I Will Always Love You / If Ever I Should Lose Your Love
09. Salt Peanuts
10. Autumn Leaves
11. Young And Foolish
12. The Boston Chicken II
(M&I/INTERPLAY 1994年発売/IPCD-8613)
(ライナーノーツ/白澤茂稔)
(ライナーノーツ/白澤茂稔)
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