
『バード・イン・フライト』のメンバーは,トランペットのドナルド・バード,テナー・サックスのハンク・モブレー,アルト・サックスのジャッキー・マクリーン,ピアノのデューク・ピアソン,ベースのタグ・ワトキンスとレジー・ワークマン,ドラムのレックス・ハンフリーズである。悪かろうはずがない。
「ブルーノートの助さん&格さん」ハンク・モブレー&ジャッキー・マクリーンの色彩豊かなコントラスト。どちらが上でも下でもない。どちらを取っても,サイドに回った時に実力以上の名演を残す「B級の顔」らしい,最高に素晴らしい演奏である。
オーソドックスなクインテットというのも悪くはないが,惜しむべきはなぜ3管で来なかったのだろう?
『バード・イン・フライト』の全6トラックは【GHANA】【LITTLE BOY BLUE】【GATE CITY】【LEX】【“BO”】【MY GIRL SHIRL】の佳曲揃い。悪かろうはずがない。
アフリカと見せかけておいて実はアフロキューバンな【GHANA】の疾走感が最高である。ブルーノートの名曲群の中に必らず名前が挙げられる【MY GIRL SHIRL】のおフランス的なアンニュイな雰囲気が最高である。
そう。『バード・イン・フライト』は,全ブルーノート好きが選ぶ,そして全ハード・バップ好きが選ぶ,そして全モダン・ジャズ・マニアが選んだ名盤である。管理人の昔からの愛聴盤である。
しか〜し,管理人が『バード・イン・フライト』を,本気でここまで好きになったのは近年のことである。この好きの感情は別の次元からやってきた。山中千尋である。
そう。山中千尋がドナルド・バードの「裏名盤」として『バード・イン・フライト』を挙げていたのだ。
恥ずかしながら管理人には,実はこんな経験がたくさんあって,今回も自分の気になるジャズメンがいいと言うから好きになるパターン。
今回は山中千尋の発言を取り上げたのだから,ライバルである上原ひろみの発言を例に説明しよう。
過去に上原ひろみが「私の選ぶ10枚」だったか何かで,管理人の“フェイバリット”キース・ジャレットの『スタンダーズ・イン・ノルウェイ』を挙げていた。

そうして改めて聴いた『スタンダーズ・イン・ノルウェイ』! 上原ひろみよ,あなたは何故にそんなにジャズのことが分かっているのか! 抜群にいいではないか!
そうして改めて聴いた『バード・イン・フライト』! 山中千尋よ,あなたは何故にそんなにジャズのことが分かっているのか! 抜群にいいではないか!
だ・か・ら『バード・イン・フライト』が以前よりもっと好きになった! ドナルド・バードが以前よりずっと好きになった! 山中千尋ももっとずっと好きになった!
ズバリ,山中千尋が教えてくれた『バード・イン・フライト』こそがドナルド・バードの「裏名盤」である。
01. GHANA
02. LITTLE BOY BLUE
03. GATE CITY
04. LEX
05. "BO"
06. MY GIRL SHIRL
(ブルーノート/BLUE NOTE 1960年発売/TOCJ-4048)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,原田和典,大西米寛)
(ライナーノーツ/ナット・ヘントフ,原田和典,大西米寛)
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