
『VOL.1』と『VOL.2』の性格の違いはこうである。『ブラジル・コネクション VOL.1』でのリスナーは会場の椅子に腰掛てしっかりと音楽を聴くライブ盤。『ブラジル・コネクション VOL.2』でのリスナーは総立ちでビートに合わせて踊っているライブ盤。
櫻井哲夫のチョッパー・ベースが音楽の前面に出ているわけではない。いつものテクニカル・フュージョンなベースでもない。
それなのにライブが進行するにつれ,ブラジリアン・フュージョン独特の緩やかで心地良くグルーヴするベースのウネリが『ブラジル・コネクション VOL.2』の聴き所。
櫻井哲夫のベース,フィロー・マシャードのヴォーカルとギター,セルジオ・マシャードのドラム,小野塚晃のキーボードが,真に一体となってリズムの渦を巻き起こしていく。
そう。『ブラジル・コネクション VOL.2』には,ライブ当日のステージ上で,4人の意識がバッチリ・ハマッテ登り詰めてゆく過程のドキュメントの記録なのである。
メンバー4人のコンビネーションが非常に良く,フィーチャリング・櫻井哲夫でも,フィーチャリング・フィロー・マシャードでもない,一つのバンドと称してもよいまとまりと密度の濃さを感じる。
櫻井哲夫のベースが他を吸収したのか? それともベースが他に吸収されたのか? バランスの良いチョッパー・ベースが見事にブラジリアン・フュージョンに溶け込んでいる。
これぞ櫻井哲夫の“ブラジル愛”の賜物である。『ブラジル・コネクション VOL.2』のメロディアスでネイティブなリズムに,郷愁というか哀愁というか“サウダージ”が胸にキュンとくる。

櫻井哲夫が“生涯のライフワーク”として「ブラジル」を公言する気持ちがうらやましい。
管理人も(現時点で自分の将来を予想すると)順調であれば,最後の最後はセロニアス・モンクに行き着くはずだが,もしかしたらブラジールかも!?
01. PASTEL SEA
02. PERFUME DE CEBOLA
03. ALISA
04. JOGRAL
05. COM A PAZ NO CORACAO
06. BOCA DE LEAO
07. RED ZONE
(サウンドバイブレーション/SAKURAVIBE 2006年発売/XQAZ-1002)
(ライナーノーツ/櫻井哲夫)
(ライナーノーツ/櫻井哲夫)
コメント