
『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』を,そんじょそこらのオムニバスと思うなかれ! 参加メンバーがとにかく凄い!
世界的に活躍するユニバーサル・ジャズ所属の5名のピアニスト,チック・コリア,小曽根真,大西順子,山中千尋,ハクエイ・キムのビッグネームが,1人2曲ずつ新録音なり未発表音源なりを持ち寄ってきた(既発トラックはチック・コリアが上原ひろみと共演した1曲のみ! ユニバーサル・ジャズはどうしてもこのラインナップに上原ひろみを入れたかった!?)。
超豪華メンバーの一員なのに,ドリーム・チームの5人が5人とも,他の共演者の出方など気にも留めない“ビル・エヴァンスの世界観”が最高すぎる。
やっつけではない「1曲入魂」の大熱演。みんながみんな,自分にとってのビル・エヴァンスの愛想曲を愛情を込めて,慈しみを持って奏でている。
全10曲の1曲1曲全てがハイライト! “最大の目玉”であろう,チック・コリア/エディ・ゴメス/ポール・モチアンによる【WALTZ FOR DEBBY】は『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』未収録音源。なんのことはない。没テイクなどではない。『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』のための取り分けていたとしか思えない『ファーザー・エクスプロレイションズ〜ビル・エヴァンスに捧ぐ』の中で最高の演奏である。
小曽根真のこんなにも繊細なソロ・ピアノは久々である。一方,同じソロ・ピアノでも山中千尋の奏でるビル・エヴァンスはスインギー。両者の「静と動」の対比が非常に興味深い。
今回の5人のメンバーの中では大西順子の強烈なタッチが一番ビル・エヴァンスらしく聴こえたのが意外や意外…。
そしてハクエイ・キムである。実は管理人。ハクエイ・キムというピアニストを『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』で初めて聴いた。
一人「格落ち」のような気がして心配していたハクエイ・キムだったが「心配無用」のハイ・クオリティ。ピアノ・トリオの白熱のインタープレイと疾走感は間違いなく“エヴァンス派”でした。

『PIANIST〜ワルツ・フォー・ビル・エヴァンス』とはチック・コリアのアルバムである。あるいは小曽根真のアルバムである。この2人の“天才”がやはり頭一つ飛び抜けていると思う。ジャズ・マニア必聴の4トラックが輝いている。
しかし「勝負に勝って試合に負けた」のが大西順子である。ビル・エヴァンス・トリビュートの真の勝者は大西順子だと思う。
それにしてもユニバーサル・ジャズさん(現在は契約切れのようですが)なんで木住野佳子さんを呼ばなかったのですか?
01. HOW MY HEART SINGS
02. WALTZ FOR DEBBY
03. ISRAEL
04. HERE'S THAT RAINY DAY
05. NEVER LET ME GO
06. NARDIS
07. VERY EARLY
08. YOU AND THE NIGHT AND THE MUSIC
09. WHAT IS THIS THING CALLED LOVE?
10. I SHOULD CARE
(ユニバーサル・ジャズ/UNIVERSAL JAZZ 2011年発売/UCCJ-2087)
(ライナーノーツ/原田和典)
(ライナーノーツ/原田和典)
コメント
コメント一覧 (4)
管理人さんからの返信があった後すぐにAmazonに飛んで行きました。
そして間髪入れずカートに入れ購入。
いやぁ、一応一通り聴いたのですがオシャレですねぇ。Jazzのオシャレさを再確認させられました。
もちろんお目当は『Waltz for Debby』ですが、Chickのコロコロ言うピアノがたまらないですね。
大西順子の8曲目の『You And The Night And The Music』も好きだったりします。
この曲はBob Bergのアルバムで聴いた事があるので違うアレンジで楽しめました。
最近はこのようなトリオジャズアルバムを積極的に聴くようにしています。
気に入っていただきうれしいです。喜んでいただきうれしいです。
全曲名演なのですがそれについては置いておいて,お目当てのチック・コリアの【Waltz for Debby】のコロコロ言うピアノからの『The Boston Three Party』での【Waltz For Debby】の激変ぶり!
この対比が痛快すぎて(そこがチック・コリアらしくて)両者ともに大のお気に入りなのです。
よろしければ次は本家ビル・エヴァンスの【Waltz For Debby】も聴いてみてくださいねっ。
大西順子にも興味を持っていただいたようで光栄であります。
Paul Motianのドラミングを堪能しました。素晴らしかったです
これからもっと聴き込むと思います。
こうとなれば【Further Explorations】も買わないとなりませんね。
Paul MotianがMiles Davisの亡き今の真帝王だという理由も分かります。
ですがPaul Motianも亡き人になってしまいましたね。
真帝王のドラミングが聴けないと思うと【Further Explorations】も【PIANIST〜Waltz for Bill Evans】もグッと来るものがありますね。
本家の【Waltz for Debby】も買って聴きたいと思います。
話はそれますが管理人さんは【Early Days】というアルバムを知っていますか?
一応1989年のリリースとなっているのですが・・・
レア盤のような扱いになっているので知らないのも無理はないと思います。
Chick Corea、Dave Holland、Jack DeJohnette、Woody Shawの参加したアルバムです。
そこで興味深い事に『Waltz for Bill Evans』という曲を演奏しているんですよね。
“一応”Amazonで国内盤のところにあったのですが・・・
結構怪しいんですよね 笑
けどメンバーは凄いですし、YouTubeで1曲だけ聴けたのですが結構いい内容でした
情報提供させていただきました。
ポール・モリアンのドラミング。本当に素晴らしいですよね。プレイ自体はドッタンバッタンしていますが,音楽的で全体を包み込むアクセントは世界一だと思っています。
『Further Explorations』は未聴でしたか? 買わないのは勿体ないですよ〜。
本家エヴァンスの『Waltz for Debby』も未聴でしたか? 買わないのは勿体ないですよ〜。
さて『Early Days』。知りませんでした。レア盤なのですね。GETしようと思います。