COISA DE ACENDER-1 管理人がジャヴァンを聴くようになったのは,それこそカシオペアの『PLATINUM』収録【ME ESPERE】だったから1987年頃のことである。
 当時は全くジャヴァンのことなど知らなかったが,カシオペアとの共演を通じてジャヴァンというMPBにハマッテいた時代が懐かしい。『SAMURAI】は永遠の名曲だと思っている。

 しかし,次第に耳が遠のいてジャヴァンに対する“マイ・ブーム”が落ち着いた頃に出会った『COISA DE ACENDER』(以下『コイザ・ヂ・アセンデール』)で,管理人の中の“ジャヴァン・ブーム”が再燃した。

 管理人がジャヴァンに追い求めて,結局は見つからず仕舞いであった【ME ESPERE】のジャヴァンが『コイザ・ヂ・アセンデール』の中にいたのである。

 『コイザ・ヂ・アセンデール』は,MPBでもアメリカン・ポップスでもない,アコースティックエレクトリック・サウンドがジャヴァンヴォーカルギターを基軸として,シンプルな音数が,本当に必要な場所だけで鳴っている。
 世界的な大ヒットを放っていた時のゴージャス感が希薄になり,洗練され,落ち着いたサウンドに変化していて,これぞ管理人が追い求めるジャヴァンの“理想郷”とついに巡り会ったような感じがしていた。

 浮遊感のあるメロディー・ラインを,どことなく憂いや翳りのある“飾り気のない歌声”が音楽している。【ME ESPERE】で強く感じた“生命力”が漲っている。
 ジャヴァン本人がライナーノーツで語っているが,もう“売れ線”はやらないのだ。アメリカンナイズドされたMPBはやめたのだ。ワールド・ミュージックではなく“ブラジリアン”としてのジャヴァンのアイデンティティが聞こえてくる。

COISA DE ACENDER-2 今回,本当に久しぶりに『コイザ・ヂ・アセンデール批評のために聴き直してみた。懐かしさと共に,今まで意識することのなかったナベサダとかリチャード・ボナの音世界を想起した。
 そう。ジャヴァンの方がナベサダリチャード・ボナよりも早かったのだ。この事実に驚くと共にジャヴァンの再評価を強く希望する。

 個人的にジャヴァンには,ミルトン・ナシメント級,イヴァン・リンス級の活躍を期待していたのだが,ナベサダ繋がりで行くとジャヴァンにはトッキーニョの後継者へと登り詰めてほしいと思う。

PS そう言えばカシオペア渡辺貞夫も『PHOTOGRAPHS』で繋がっていましたねっ。

  01. A Rota do Individuo (FERRUGEM)
  02. BOA NOITE
  03. SE…
  04. LINHA DO EQUADOR
  05. VIOLEIROS
  06. ANDALUZ
  07. OUTONO
  08. ALIVIO
  09. BAILE

(エピック・ソニー/EPIC/SONY 1992年発売/ESCA-5646)
(ライナーノーツ/中原仁)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)