ANGEL EYES-1 デューク・ピアソンの“幻の名盤”というか“幻のレーベル”「JAZZ LINE」の1枚が『ANGEL EYES』(以下『エンジェル・アイズ』)。

 「JAZZ LINE」から正式にカタログとしてリリースされた『ハッシュ!』はまだしも『エンジェル・アイズ』の方は未発表音源のお蔵入り。
 リリースして回収するまでの資金がショートしただけの,内容は完璧&発売目前でのお蔵入り。
 そう。『エンジェル・アイズ』こそが真に“幻の名盤”である。

 『エンジェル・アイズ』は,ピアノデューク・ピアソンベーストーマス・ハワードドラムレックス・ハンフリーズによるピアノ・トリオ作。
 デューク・ピアソンピアノ・トリオと来れば,やはりブルーノートの2枚『PROFILE』と『TENDER FEELIN’S』がいい。いいのだが,ちょっと新感覚すぎるかもしれない。

 その点で『エンジェル・アイズ』でのデューク・ピアソンは,古風で正統派で“センス一本勝負の”ピアノ・スタイル。
 ブルーノート盤のリリカルで色鮮やかなピアノから離れて,何の気負いもなくピアノを楽しみながら弾いているだけなのだが,この心底上品な演奏に心揺さぶられてしまう。
 良く知られたジャズスタンダードを「慈しみながら」デューク・ピアソン流に弾いているのだが,鼻歌まじりのアドリブの美メロが素敵すぎる。メロディーが心に沁み渡ってくる。

 そう。『エンジェル・アイズ』でのデューク・ピアソンのオーソドックスなジャズ・ピアノには雰囲気がある。そして色気がある。

ANGEL EYES-2 管理人の結論。『エンジェル・アイズ批評

 デューク・ピアソンのさりげなく小技を効かせた,あっさり味の「後を引かない」ジャズ・ピアノが聴き流せない。逆に聴けば聴くほどクセになる。

 クライマックスを作らない,自由自在のアドリブメロディーの良さを伝えてくる。これって簡単そうで並みのピアニストには出来ない芸当だと思う。
 デューク・ピアソンの“さらりとした”ジャズ・ピアノが,どうにも心に引っ掛かる。いい演奏である。
 
  01. Bags' Groove
  02. Le Carrousel
  03. Angel Eyes
  04. I'm An Old Cow Hand
  05. Jeannine
  06. Say You're Mine
  07. Exodus
  08. Le Carrousel (alternate take)
  09. I'm An Old Cow Hand (alternate take)
  10. Say You're Mine (alternate take)

(ジャズライン/JAZZLINE 1962年発売/MZCB-1184)
(☆HQCD仕様)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/後藤誠,小川充)

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