DJANGOLOGY-1 管理人にとってジャンゴ・ラインハルトと来れば,ジャンゴ・ラインハルト本人ではなく,モダン・ジャズ・カルテットMJQ)の【DJANGO】である。

 MJQの【DJANGO】がとにかく好きで【DJANGO】を演奏しているアルバムがあると片っ端から買い漁った時期がある。
 だから管理人はジャンゴ・ラインハルト本人を聴く前に擦り込まれた【DJANGO】に対するイメージで,実は全く無関係なジャンゴ・ラインハルトのイメージを形作っていた。
 【DJANGO】は買い集めるも,ジャンゴ・ラインハルト本人は聴いていない。このいびつな状態が10年間は続いていたように思う。

 なぜジャンゴ・ラインハルト本人の演奏は聴かなかったのか? それはジャズ好き=オーディオ好き!
 演奏内容に興味はあるが,あの古臭い音質で聴く気にはなれない。以前にチャーリー・パーカーの全曲集を買ったのだが,あれがトラウマになった。チャーリー・パーカーは,チャーリー・パーカー本人でなくても「パーカー派」を聴いていればよい,と思っていたものである。← 深く反省。

 だから『DJANGOLOGY』(以下『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』)の購入理由はリマスタリング!
 聴いてみた感想は,それなり,であったが,それほどまでに聞き難くはない。聴き続けるうちに耳が慣れて気にならなくなるレベル。「OK GOOGLE」からの「HEY SIRI」。

 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』における「古き良き時代の音造り」に「うっとり」! とても心地良くゆったりと和んでしまう。最新マスタリングを施そうとも,この手の音が流れ出すとモノクロのヨーロッパ映画の世界に連れて行かれてしまう。雰囲気あるよなぁ。
 しかもそれだけではなくスリリング! ジャンゴ・ラインハルトが演奏するシャンソン・ナンバー,クラシック・ナンバーがジャズしている!

 ジャンゴ・ラインハルトの奏でるギターのアプローチは,同時代のジャズ・ギタリストたち,例えばジム・ホールケニー・バレルジョー・パスウェス・モンゴメリー等と比較すると,バンジョー仕込みの演奏スタイルが異質に響く。
 元来,ジャンゴ・ラインハルトはジプシーなのだから,ジャズギターに“おフランス的な哀愁が漂っている”のも当然であろ。

 でもでも,ジャンゴ・ラインハルトジャズギターに付随するエスプリ,渋さ,歌心などは「ツボ中のツボ」!
 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』はクインテット編成での録音であるが,ステファン・グラッペリとのヴァイオリンデュオで聴かれる「アドリブの応酬」が「ジャズの王道中の王道」!

 成功の秘密はジャンゴ・ラインハルトステファン・グラッペリを,ステファン・グラッペリジャンゴ・ラインハルトを,それぞれ生かすためにフロントで演奏していてもバッキングに回っても“相手を活かし自分も活かす”表情豊かな模範演奏にあると思う。
 ステファン・グラッペリジャズヴァイオリンもまた『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』の聴き所の1つであろう。素晴らしい。

DJANGOLOGY-2 最良のパートナーを得て,創造性豊かなアドリブを演奏する“小粋さ”にグイグイ引き込まれてしまう。アーリー・ジャズだからと言って放置したのは間違いだった。
 と言うよりも,この演奏スタイルには古い録音の方が合っている,となんだか訳の分からない信念を抱くようになったオーディオ・マニアとしては「失格選手」な管理人…。

 最後に,管理人のような「ジャズは高音質で楽しないと!」主義の読者の皆さんへ。
 『ジャンゴロジー〜スペシャル・エディション』だけはポリシーから積極的に除外すべき1枚です。是非,騙されたと思って聴いてみてくださいねっ。すぐに音質のことは忘れて演奏に耳が向いてしまうこと間違いなし。本当に音も悪くないから。

  01. I Saw Stars
  02. After You've Gone
  03. Heavy Artillery (Artillerie Lourde)
  04. Beyond The Sea (La Mer)
  05. Minor Swing
  06. Menilmontant
  07. Brick Top
  08. Swing Guitars
  09. All The Things You Are
  10. Daphne
  11. (It's Only A) Paper Moon
  12. Improvisation on Tchaikovsky'S "Pathetique" (Andante)
  13. The World Is Waiting For the Sunrise
  14. Djangology
  15. Ou es-tu, mon amour? (Where Are You, My Love?)
  16. Marie
  17. I Surrender, Dear
  18. Hallelujah
  19. Swing 42
  20. I'll Never Be The Same
  21. Honeysuckle Rose
  22. Lover Man (Oh, Where Can You Be?)
  23. I Got Rhythm

(BMG/BLUEBIRD 1949年発売/BVCJ-37330)
(ライナーノーツ/フランク・ヴィニョーラ,ドン・ゴールド)

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