SAUDADE-1 高中正義のアルバムは基本的に楽曲重視。だから「タカナカ・サウンド」では打ち込みが多いし,生楽器を使用することはあってもギタリストのバックバンド的で共演者の個性はほとんど目立たない。

 その意味で豪華メンバーと「初めて対等に共演した」『SAUDADE』(以下『サダージ』)がいい。高中正義ギターがいつも以上に素晴らしい。
 『サダージセッションの大盛り上がりが「タカナカ・サウンド」に艶を与えているのだ。

 共演者からの熱い刺激を受けて“フュージョンギタリスト高中正義が「ギター小僧」のバイブルとでも言えそうなバリバリにメロディアスなギターを弾いている。弾きまくっている。

 ズバリ『サダージ』の聴き所は,いつもの自己プロデュースを封印し(『サダージ』は高中正義が初めて他人にプロデュースを依頼したアルバム)高中正義自身は1人の“フュージョンギタリスト”に徹している演奏にある。
 
 『サダージ』の参加メンバーとは,ドラムナラダ・マイケル・ウォルデンギターワーキン・リエヴァノベースT.M.スティーブンスキーボードフランク・マーティンパーカッションシーラ・E。本場の洋楽っぽい高揚感あるバック・サウンドが真にカッコイイ!

 サンフランシスコの強力なリズム隊に乗せられて高中正義ギターが“軽やかに”歌いまくっている。実に楽しそうな「ギター小僧」高中正義の参上である。

SAUDADE-2・風を切って走るような【A FAIR WIND】が爽快で,高中正義ギターで「夏を連れてくる」。
スチール・ドラムパーカッションがカリビアンなのに,マイナー調で日本的な哀愁がはじける名曲【SAUDADE】。
・ブルージーなバラードEONA】の世界観が実に切ない。何度でも聞きたくなる味が沁み出している。
・シャッフル・ビートの上を歌謡ロックでモッタリ弾きまくる【BREAKIN’ LOOSE】。
・能天気でファンキーな,これぞサンフランシスコのJAM・ナンバー的な【RIDE’EM HIGH】。
・Aメロ,Bメロのみの,お洒落でメロディックなディスコ・チューンの【CHILL ME OUT】。
・【NEW YORK STRUT】の最高のタイム感。展開が変わろうともギターのノリは最後まで〜。
・泣きたくなるほど甘く切ないギターが染み入る【THE FOREST OF MY HEART】。
・【MANIFESTATION】で,狂ったようにロック・ギターを弾きまくる高中正義こそが“ギター・ヒーロー”である。

  01. A Fair Wind
  02. Saudade
  03. Eona
  04. Breakin' Loose
  05. Ride'em High
  06. Chill Me Out
  07. New York Strut
  08. The Forest of My Heart
  09. Manifestation

(キティ・レコード/KITTY RECORDS 1982年発売/UPCY-9059)
(紙ジャケット仕様)

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