
『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』は,2011年11月にニューヨークのブルーノートで行なわれた,全部で10バンド,総勢27名のジャズメンが共演した全23日間連続公演のハイライトを記録した「超豪華」3枚組みスペシャル・ライブ盤。
プログラムは収録順に,スタンリー・クラークとレニー・ホワイトとフランク・ギャンバレとによるリターン・トゥ・フォーエヴァー・アンプラグド,ゲイリー・ピーコックとブライアン・ブレイドとによるチック・コリア・トリオ,ジョン・マクラフリンとケニー・ギャレットとジョン・パティトゥッチとブライアン・ブレイドとによるファイヴ・ピース・バンド,ボビー・マクファーリンとのデュオ,ゲイリー・バートンとのデュオ(WITH ハーレム・ストリング・カルテット・フューチャリング・ゲイル・モラン・コリア),ウォレス・ルーニーとゲイリー・バーツとエディ・ゴメスとジャック・ディジョネットとによるフロム・マイルス,コンチャ・ブイカとカルレス・ベナベントとホルヘ・パルドとジェフ・バラードとニーニョ・ホセレとによるフラメンコ・ハート,マーカス・ロバーツとのデュオ(フューチャリング・ウィントン・マルサリス),ハービー・ハンコックとのデュオ,フランク・ギャンバレとエリック・マリエンサルとジョン・パティトゥッチとデイヴ・ウェックルとによるエレクトリック・バンド。
『ランデヴー・イン・ニューヨーク』での2枚組から『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』では3枚組へとスケールアップしているが,演奏の量だけではなく演奏の質までが更に良くなっているように思う。
中には眉間にシワ的なお披露目エキシビションも含められていると予想したのが大間違い。全セット&全トラックが最高に素晴らしい。どれがどうだと細かく指摘するのは意味を持たない。「軒並み」最高の演奏が続くので「月並み」最高という言葉で統一しようと結論したい。
『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』を聴く限り,他の誰よりもチック・コリアが一番この演奏を楽しんでいる!
全ての主演者,関係者,観客からの祝福を受けたチック・コリアさん,音楽生活50周年おめでとうございます!
チック・コリアが『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』でのスペシャル・ライブを楽しんだ最大の理由は,それぞれの経験を糧にしたフレンズたちとの「新感覚のコミュニケーション」にあると思う。
それぞれのユニット毎に,そのユニットでの代表曲を演奏しているのだが,単なる過去の焼き直しでは終わらない,斬新なアレンジで歌い上げるチック・コリアの極上のピアノが響いている。
『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』は,スペシャル・ライブの性質上,チック・コリアの“音楽性の広さ”を堪能するためのプロジェクトであるが,どの演奏にもグッと来てしまう“音楽性の深いつながり”も感じられる。
やっぱりチック・コリアこそが「ジャズ/フュージョン」界の“スーパー・スター”であった。
『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』を聴いていると,何だか『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』がダイジェスト盤のように感じてくる。この後に発売される「本編プロモーションのための予告編」のように思えてくる。
そう。『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』における「チック・コリア・オールスターズ」の“演り逃げ”を聴かされては,到底満足などできやしない。2枚組では足りないのだ。1ユニット1曲か2曲では欲求不満を覚えてしまう。あの23日間連続公演のコンプリート盤を渇望してしまう。
それにしても『ランデヴー・イン・ニューヨーク』と『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』とでは,ほとんどのセットリストが被っていないではないか!
この事実に本当に驚かされた。そして改めてチック・コリアの音楽性の「幅と深さ」に圧倒されてしまった!
特に(チック・コリア・フリークとしては恥ずかしいのだが)管理人的に“初共演”となる,ゲイリー・ピーコックとのトリオ,マーカス・ロバーツとのデュオ+ウィントン・マルサリス,そして「タッチストーン」の後釜となった「フラメンコ・ハート」セッション。これらの名演を聴き逃してきたのは猛反省! またチック・コリアを集め始めます!

久々に聞いたチック・コリアとジャック・ディジョネットとの共演も判断基準として,どうしてもキース・ジャレットを聴いてしまう。キース・ジャレットを離れたジャック・ディジョネットも自由なのが鼻につく。なんでなのだ〜。
あるいはハービー・ハンコックつながりのはずのウィントン・マルサリスが,なんでハービー・ハンコックではなくマーカス・ロバーツなのだろう。いろんな知識が邪魔をして来るんだな。これがっ。
『ランデヴー・イン・ニューヨーク』ではアコースティック・バンドとオリジン。『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』ではリターン・トゥ・フォーエヴァーとエレクトリック・バンド。憎いね〜,チック・コリア。
『ランデヴー・イン・ニューヨーク』と『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』でのレギュラーはゲイリー・バートンとボビー・マクファーリン。憎いね〜,チック・コリア。
…で,実は『ザ・ミュージシャン〜ライヴ・アット・ブルーノート・ニューヨーク』の発売時点で,チック・コリアの生誕75周年記念のスペシャル・ライブが既に決行済と来た。ますます憎いね〜,チック・コリア。第3弾は4枚組確定なのかな?
CD1
<RETURN TO FOREVER UNPLUGGED>
01. Captain Marvel
02. Light as a Feather
<CHICK COREA TRIO WITH GARY PEACOCK & BRIAN BLADE>
03. I Hear a Rhapsody
<FIVE PEACE BAND>
04. Spirit Rides
05. Special Beings
<CHICK COREA & BOBBY McFERRIN DUET>
06. I've Got the World on a String
07. Spain
CD2
<CHICK COREA & GARY BURTON WITH HARLEM STRING
QUARTET>
01. Overture
02. Your Eyes Speak to Me
<FROM MILES>
03. If I Were a Bell
04. Nefertiti
<FLAMENCO HEART>
05. Zyryab
06. Mi Nina Lola
CD3
<CHICK COREA & MARCUS ROBERTS DUET>
01. CC's Birthday Blues
02. Caravan
<CHICK COREA & HERBIE HANCOCK DUET>
03. Hot House
04. Dolphin Dance
05. Cantaloupe Island
<THE CHICK COREA ELEKTRIC BAND>
06. Ritual
07. Silver Temple
(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2016年発売/UCCO-1185/7)
(☆SHM−CD仕様)
(CD3枚組)
(ライナーノーツ/ロビン・D.G.ケリー,熊谷美広)
(☆SHM−CD仕様)
(CD3枚組)
(ライナーノーツ/ロビン・D.G.ケリー,熊谷美広)
コメント一覧 (4)
いやあーついに買いましたか!首を長くして待っていました!
【The Musician】の喜びを共有できて嬉しいです。
どのグループも素晴らしかったのですが、私の口から語るのは【Elektric Band】くらいですかね。
やはり歳をとっても攻め続ける【Elektric Band】の音楽性には脱帽です。
私がものすごく感じるのは、Chick Coreaは歳をとるにつれて「進化」している所ですね。
多分彼は昔より音楽により「ラフ」に、より「何も考えずに」接しているような気がします。音楽との間に何も感じないのです。いい意味で。
利益も、エゴも、遠慮も、何もなくただメンバーの「個性」と「味」を尊重し全力でぶつかる姿勢が素晴らしいのです。
そこで生まれた化学反応が見事に「音の塊」となり、押し寄せるわけです。
それでいて涼しい顔でやってのけるのですから・・・
75周年の方はもっと凄い事になってます 笑 もっと憎い感じになっています 笑
実はChick Coreaの公式Youtubeチャンネルで生誕75周年のグループごとのダイジェスト映像がUPされています。
8週間くらいやっていたのでしょうか。
特に管理人さんには「Wk.3」「Wk.7」「Wk.8」がオススメです。
私の口から語る事はありません。
ただ75周年の方は【Rendezvous In New York】よりも【The Musician】よりも素晴らしいと思います。
Youtubeのダイジェスト映像の感想待ってます。
今回は興奮のあまり文章にまとまりがありませんでしたね 汗
お体に気をつけてこれからもブログ頑張ってください。
私は陰ながら応援しております。
【The Musician】の全セットが素晴らしいです。静かな演奏が続いてからのエレクトリック・バンドは異色ですね。特にデイヴ・ウエックルとフランク・ギャンバレのソロが長いので何だか別世界が描かれている雰囲気がします。でも長くてもとてもいいソロなので編集できなかったのでしょう。いつの日かコンプリート盤が発売されることを望みます。
さて,ドム男さんが教えてくれた75周年の公式映像を早起きして幾つか見てみました。フロム・マイルスがまたいいですしエレクトリック・バンドもいい。でもゲイリー・バートン&オリジンが来てますね〜。これは凄いことになっています。早くCDでも聞きた〜い!
チック・コリアは私のマストバイで間違いないのです!
今更になってしまいましたが【Flamenco Heart】の熱い情熱的な演奏良いですよねぇ。
実は【Rhumba Flamenco】というアルバムで、このレパートリーを演っているんですよね。
メンバーは【The Ultimate Adventure】の主要メンバーで構成されている感じです。
短期間でのツアーでしたが、そのバンドの名前が【Touchstone】という名前なんですよね。興味深いですね。
ですが残念なことに国内盤その物が存在しないのです。
この展開どこかで見ましたね 笑
このアルバム自体2005年のリリースなのですが、この時点で国内盤がリリースされていないという事は・・・
ほぼ確率は0%に近いでしょう。
ですが、一応情報提供させていただきました。
それともう1枚。管理人さんならきっと好きになるアルバムを1枚知っています。
この批評を見る限りChick CoreaとGary Peacockとの共演が結構良かったのではないでしょうか?
そこでオススメしたいのですが、管理人さんは【Live In Montreux 】という1980年リリースのアルバムを知っていますか?
Chick Corea、Gary Peacock、Joe Henderson、Roy Haynesという豪華な人選。
これに関してはAmazonで国内盤が見つかりました。
是非買ってみてはいかがでしょうか?
情報提供させていただきました。
たくさんの情報提供にいつも感謝しています。
【Flamenco Heart】。本当にいい演奏ですよね。『The Ultimate Adventure』の主要メンバーで構成されている感じそのまんまですね。
【Touchstone】はチック・コリアを語る上で外せないプロジェクトだと思っています。
Gary Peacock、Joe Henderson、Roy Haynesとの『Live In Montreux』。当然知っていますし店頭で何度も買おうと手にしました。福岡の中古CD屋で最近2枚置かれているのを見ましたので多分今でも入手できるはずですし。
また背中を押してくださりありがとうございます。アマゾンでポチしますねっ。