
その日は特別MALTAを聴こう!と思ったわけではなく,ただ毎週の習慣でNHK−FM「SESSION〇〇」を聴いていた。だからMALTAについての予備知識など一切なしに,あの音色に直面した時の何とも言えない喜びの感情を覚えている。
デビュー当時のMALTAのサウンドは,日本っぽくもあり日本っぽくない,そしてジャズっぽくもありジャズっぽくない,フュージョンっぽくもありフュージョンっぽくない「お洒落なシティ・ジャズ」だと思った。
今思えば,あの時感じた「お洒落なシティ・ジャズ」とは,MALTAのオリジナリティであって褒め言葉になるのだろうが,正直,中学生には退屈なジャズであった。
だから逆説的に,管理人にとってのMALTAとは,美しいサックス吹き,ただそれだけである。
それゆえMALTAのデビュー・アルバム『MALTA』を買って,ライナーノーツのクレジットを見て驚いてしまった。
『MALTA』のサイドメンとして参加したのは,ピアノ&キーボードに深町純と野力奏一と佐藤允彦,ギターにエリック・ゲイルと松原正樹と今剛,ベースに岡沢章,ドラムに渡嘉敷裕一と山木秀夫。えっ,えっ,え〜!
この豪華すぎるサイドメンのラインナップは渡辺貞夫と同格である。無名の新人と思って聴いていたMALTAは,ただの美しいサックス吹きではなかったのだ。
しかし,管理人にとってMALTAの『MALTA』の印象は,何度聴いてもやっぱり「お洒落なシティ・ジャズ」止まり。
こんなに豪華なサイドメンが揃っているのに,肝心のメロディーが頭の中に全く入って来ないし,お気に入りのアドリブもついに見つけることはできなかった。
バブル期のJVCはジャパン・マネーの垂れ流し〜 ← 管理人はMALTAも国府弘子も後追いの再評価組なのです。
( ジャズとフュージョンを定期的に行き来するのがMALTAの音楽性の特長であるのは百も承知であるが「フュージョン8割:ジャズ2割」のMALTAが,そして「サックスはジャズ,バック・サウンドはフュージョン」のMALTAこそが最高の仕上りだと思っている )

MALTAの『MALTA』は「お洒落なシティ・ジャズ」アルバム。
今でも聴いているのは,キュートなフュージョン系の【SHINY LADY】と絶品バラードの【EVENING CALM】の2トラックだけである。
いいや,本気で聴いているのはアルト・サックスの甘美な音色である。← MALTAのアルトの音色はこの後メタリックへと徐々に変化していきます。真にアルト・サックスの甘美な音色が聴けるのは『MALTA』と『SWEET MAGIC』の最初期の2枚だけ!
01. SHINY LADY
02. AMONG THE CLOUDS
03. DANCE AFTER DANCE
04. IN YOUR DREAM
05. BRIGHT SILVER MOON
06. NIGHT MAGIC
07. EVENING CALM
08. WHAT'S UP
09. CRYSTAL RAINDROPS
10. BE MINE
(ビクター/JVC 1984年発売/VDP-7)
(ライナーノーツ/波野未来)
(ライナーノーツ/波野未来)
コメント