30-1 『30』が好きだ。『30』は「ただ派手だとか,ただカッコ良いとか,ただ楽しいとか」そういうレベルのアルバムではない。

 『30』には,増崎孝司ギターにしても,小野塚晃キーボードにしても,勝田一樹アルトサックスにしても「近未来フュージョンユニット」の過去のDIMENSIONに憧れて作ったような雰囲気を感じる。

 『30』はDIMENSIONの25周年記念盤である。ただし,DIMENSIONとは,1枚1枚のアルバム制作に精魂込めて全力投球するバンドである。
 普段のメンバーのコメントを聴いている限り,キリ番の『30』だからといって「特別なアニバーサリー感」など無いはずである。

 『30』は惜しくも“最高傑作”の更新とはならなかったが,管理人は『30』に特別な地位を付与したい。『30』こそがDIMENSIONのDNAを受け継ぐ「ザ・ディメンション」“象徴”の1枚に違いない。

 つまり『30』こそが,DIMENSIONの最初の1枚にふさわしく,DIMENSIONの最後の1枚にも成り得る要素を備えている。
 DIMENSIONの過去と現在,そして未来を結び合わせる特別な1枚だと思う。

 管理人は考えた。DIMENSION25周年を1枚で網羅する『30』には,今年の4月にリリースされた『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』の影響が少なからずあると思う。

 『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』の“売り”は,オール・ヒットのベスト盤ではない。『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』の“売り”は,リマスタリングであり,音源を差し替えた過去音源のブラッシュアップにある。
 このスタジオ・ワークを行なった影響が『30』で去来する,過去のDIMENSIONへの憧れを生じさせたように思う。

 DIMENSIONとは「超絶であり,メロディアスであり,バラード」である。そのことを再確認したがゆえの「超絶ありの,メロディアスありの,バラードありの」『30』の完成なのだ。
 今の“成熟した”DIMENSIONが,過去の“青二才”のDIMENSIONを演奏してみせた。そんなアルバムだと思う。

30-2 『BEST OF BEST 25TH ANNIVERSARY』のパワーを原動力として,突っ走った『30』の「超絶も,メロディアスも,バラードも」これぞ「ザ・ディメンション」の一級品。

 若い頃のDIMENSIONは,当然カッコ良かったが,歳を重ねた「近未来フュージョンユニット」が超カッコ良い。
 過去のどのDIMENSIONでも表現できなかった「派手さ,カッコ良さ,楽しさ」のレベルが奥深い。25年間,DIMENSIONを続けてきたからこその『30』の完成であろう。

 DIMENSIONにとって『30』とは,いつも通りの年一の1枚に過ぎないのだろう。
 ただし,25年間,DIMENSIONを聴き続けてきたファンにとっては『30』の響きは,間違いなく「特別なアニバーサリー盤」そのものである。

 そう。『30』はDIMENSIONの自然体の大名盤。無意識のうちに作り上げられた“現在進行形”『30』の響きは,ちょっとやそっとでは超えることのできない高みに達している。

  01. Delusion
  02. Alive The Edge
  03. Mystic Eyes
  04. An Empty Dream
  05. Take It Up
  06. Turning Point
  07. Dance The Dance
  08. Fish Story
  09. Shadowy
  10. Unnatural Life

(ザイン/ZAIN RECORDS 2017年発売/ZACL-9097)
(☆スリップ・ケース仕様)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)

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