CHINESE BUTTERFLY-1 世界最高峰のピアニストであるチック・コリアと世界最高峰のドラマーであるスティーヴ・ガッド
 それぞれソロでも大活躍なのだが,多忙なスケジュールの中,過去に幾度も共演しその度に超名盤を量産してきた「旧知の盟友」である。

 互いに「ほぼバンド・メンバーの仲」である2人が,改めて真剣にレギュラー・バンドを組んだと言うのだから驚いた。今更何を〜!?

 その答えは言葉ではなく音にある! 双頭バンドを主張するバンド名「チック・コリア+スティーヴ・ガッド・バンド」の『CHINESE BUTTERFLY』(以下『チャイニーズ・バタフライ』)の中で表現されている!

 ズバリ「チック・コリア+スティーヴ・ガッド・バンド」が目指したのは「新時代のブラジリアン・フュージョン」である。
 チック・コリアスティーヴ・ガッドの過去の共演盤を例として語るなら「チック・コリア+スティーヴ・ガッド・バンド」が目指したは『FRIENDS』の焼き直しであり『FRIENDS』のレギュラー化である。

 個人的にチック・コリアスティーヴ・ガッドと来れば,真っ先に連想してしまうのが『FRIENDS』である。
 チック・コリアの和やかなエレピに,落ち着いたスティーヴ・ガッドのナイスなグルーヴ。やっていることは凄いのに“ほのぼのセッション”のに雰囲気が堪らなく好き。
 チック・コリアエレピ片手に「新時代のブラジリアン・フュージョン」を始めようと決めた時,イメージしたのは『FRIENDS』で間違いないだろう。

 しかし同時に『FRIENDS』と来ればジョー・ファレルであり,ジョー・ファレル,と来れば『RETURN TO FOREVER』の連想ゲームがチック・コリアの脳裏をよぎったのも間違いない。
 なんだかんだで「チック・コリア+スティーヴ・ガッド・バンド」として新曲を数曲レコーディングした過程において,チック・コリアの頭の中に「新時代のブラジリアン・フュージョン」のイメージが固まった!

 そう。「チック・コリア+スティーヴ・ガッド・バンド」の結成理由は「第一期リターン・トゥ・フォーエヴァー」の焼き直しであり「第一期リターン・トゥ・フォーエヴァー」のレギュラー化である。

 それこそがオール新曲のCD1枚分の録音を終えて,なおも性格の異なる2枚目を吹き込んだ理由である。もっと言えば『RETURN TO FOREVER』発表時以来,45年振りにレコーディングされた【RETURN TO FOREVER】再演の理由であろう。

CHINESE BUTTERFLY-2 「チック・コリア+スティーヴ・ガッド・バンド」は,フロント陣担当のチック・コリアとリズム隊担当のスティーヴ・ガッドの分業化がバンド運営の肝であろうが,チック・コリアジョー・ファレルの代わりに見立てたスティーヴ・ウイルソンが見事にハマッテいる。
 スティーヴ・ウイルソンフルートに運ばれたチック・コリアローズピアノが史上最高に響いている。これはオリジナルを越えたかなぁ。

 全曲ライト・フュージョンであり全曲ライト・ブラジルの『チャイニーズ・バタフライ』。
 その後ろに『FRIENDS』と『RETURN TO FOREVER』を感じられるファンにとっては愛聴盤になるに違いない。

 そうではない,過去のバックボーンなしの新規ファンも大いに楽しめるとは思うのだが…。スティーヴ・ガッドさん,最近はちょっとぬるいのかもしれません…。
 今更何を〜!?パート2だけが心配な星5つの新バンドの誕生です。

  CD1
  01. CHICK'S CHUMS
  02. SERENITY
  03. LIKE I WAS SAYIN'
  04. A SPANISH SONG
  05. CHINESE BUTTERFLY

  CD2
  01. RETURN TO FOREVER
  02. WAKE-UP CALL
  03. GADD-ZOOKS

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 2017年発売/UCCJ-3035/6)
(CD2枚組)
(☆SHM−CD仕様)
(ライナーノーツ/原田和典,チック・コリア,スティーヴ・ガット,リオーネル・ルエケ,スティーヴ・ウィルソン,カリートス・デル・プエルト,ルイシート・キンテーロ)

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