PHOTON-1 管理人が林栄一アルトサックスに興味を持ったのは大西順子の影響である。
 大西順子大好き管理人としては林栄一のバンドに大西順子がサイドメンとして参加を志願したとか,大西順子自ら林栄一の自宅へ教えを請いに通ったとかいうエピソードを聴くと,林栄一を聴かないわけにはいかない。

 事実,大西順子の『PIANO QUINTET SUITE』で共演した林栄一の熱演を聴かされれば,上記エピソードの真実味が増すというものである。

 …で,管理人がチョイスした林栄一ソロ・アルバムが『PHOTON』(以下『フォトン』)である。
 正確には『フォトン』は林栄一のリーダー・アルバムではなく,ソプラノサックス中尾勘二チューバ関島岳郎との共作である。

 どうですか! この山下清ばりの妖しげなジャケット写真に喰いついてしまった。ピニストベーシストドラマーもいない編成で林栄一フリーがどう演奏されるのか聴いてみたい! これが『フォトン』の購入理由である。

 管理人の狙い通り『フォトン』は「超アナーキー」なアルバムであった。演奏が3人だけなので多重録音で様々なパートが重ねられているが,基本的にシンプルなアレンジが施されており,力の抜けた楽器の生音が加工されずに,剥き出しで放り込まれた生々しさがある。

PHOTON-2 うーむ。淡々と演奏が進行しては終わっていく。物悲しい雰囲気のメロディーが素朴に響いていく。これが大西順子が憧れた林栄一の音楽なのだろうか…。

 即興のない退屈な音楽である。『PIANO QUINTET SUITE』で主役を張った林栄一は『フォトン』の中にはいない。まるで別人のようである。
 本当の林栄一を探す意欲を失くしてしまった。そのうちに,いつか自然体で出会える日を待つことにしようと思う…。

  01. オーバー・チューン〜ニキシのまだ来ない朝
  02. 1の知らせ
  03. こぶしの踊り(光る人)
  04. 「TATSUYA」より
  05. 反射する道
  06. Em
  07. ハルマゲドン
  08. アジールのマーチ
  09. 耕す者への祈り
  10. ナーダム

(オフノート/OFF NOTE 1999年発売/ON-30)
(ライナーノーツ/神谷一義)

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