JIMBO DE JIMBO 80's-1 結論を書けば,神保彰の『JIMBO DE JIMBO 80’s』(以下『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』)も,カシオペアスクェアの多くのカヴァー・アルバム同様,オリジナル・アルバムを超えることはできなかった。

 ただしそんなの関係ない。『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』は曲がいいのだ。最初から最後までただ聴き流していれば気分が上がる。そんなカヴァー・アルバムの最右翼である。

 「カヴァー・アルバムには良いものが少ない」説を支持する管理人。そんな中で『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』の評価が高いのはオリジナルとフォーマットを変えたのが成功要因としては大きいと思う。
 カシオペア時代はギターキーボードベースドラムで演奏されていたが『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』はキーボードベースドラムである。

 つまりはカシオペアからのギター・マイナスワン。ただし単なるギターレスではない。カシオペアのメインはギター1本。野呂一生抜きのカシオペアカシオペアではなくなるのだ。
 この全てを分かった上で神保さんは,いつもの仲良しギタリストアレン・ハインズを外してきた。それが『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』の“狙い”であろう。

 オトマロ・ルイーズが“歌う”ためのアレンジは,肝となるメロディーさえも微妙に変えてきている。個人的には【ミッド・マンハッタン】はイジッテほしくなかったなぁ。
 実は目立たないが神保さん。今回リズムをかなりイジッテきている。35年かけて『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』のリズムに辿り着いたのだろう。素晴らしいドラミングである。

 特筆すべきはエイブラハム・ラボリエルベースである。『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』のオリジナルは全て桜井哲夫が弾いてきた。
 桜井哲夫ベースはメロディアスなのが特徴的だが,エイブラハム・ラボリエルベースはメロディアス+ファンク

JIMBO DE JIMBO 80's-2 神保彰の名曲が,最初にタイトなドラムが耳に入り,次にファンクベースが腰を浮かし,最後に上物メロディーが遅れて入ってくる。
 そうすると「甦る青春」ではなく「青春」が現在進行形している気分でうれしくなる。だから『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』は,ただ聴き流しているだけで楽しくなれるのだ。

 35年前の名曲は現在でも名曲であった。神保彰の「ルンルン」系はファンキー・ビートで“爽やかさ”プラス&“爽やかさ”UP!
 『ジンボ・デ・ジンボ 80’s』を聴いた翌日は,新アレンジで鼻歌を歌ってしまいます。

  01. Ripple Dance
  02. Sunnyside Feelin'
  03. Mid Manhattan
  04. Fruit Salad Sunday
  05. Street Performer
  06. After Glow
  07. In the Pocket
  08. Touch the Rainbow
  09. Frou Frou

(エレクトリック・バード/ELECTRIC BIRD 2016年発売/KICJ-746)
(ライナーノーツ/神保彰)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)