
『あなたは恋を知らない』は,エディ・ヒギンズ自らソロ・ピアノに合うと選曲した既発表曲の再演集。エディ・ヒギンズ好きとしては,王道のピアノ・トリオとの既発テイクとの聴き比べも楽しみの1つと購入前は思っていたのだが,未だに聴き比べはしていない。
もう,何て言うか,エディ・ヒギンズの圧倒的に美しい小品集を聴いていると,ピアノ・トリオだから云々,ソロ・ピアノだから云々などは不毛の作業に思えてしまう。
とにかく,エディ・ヒギンズのジャズ・ピアノが“語りかけてくる”。警戒していないと一発で心の中に入ってくる。ハートを盗まれるとは正にこのことだ。
“手垢のついた”有名スタンダードのオンパレードなのに,これほど素直な魅力に満ちているアルバムは余りないと思う。それは達観したエディ・ヒギンズの愛が込められているから…。← ロマンティック風?
とにかくイントロからAメロに入るまでが最高で,その後のアドリブの麗しい歌いっぷり! 1つ1つのフレーズが日々の喧騒を忘れさせてくれるような,本当に美しいピアノが頭の中で鳴り響く…。← ロマンティック風2?
おおっと,つい褒めすぎてしまった。『あなたは恋を知らない』の本質は“大仰な”アルバムなどではないところ。『あなたは恋を知らない』の魅力を文章で表現するなら「子犬のようなかわいらしさ」という感じかなぁ。
優雅で穏やかに,時折ユーモアを交えたような軽快なタッチもあり,エディ・ヒギンズの“懐の深さ”を感じずにはいられない。シンプルで暖かく優しい音に包まれていく。巧みなピアノで表現される詩的情緒の世界にどっぷりと耽てしまう。
心に突き刺さる演奏ではないが,これだけは伝えたい,と言うパッションが感じられる。聴けば聴くほどメロメロに魅了されてしまう。思わず小さなガッツポーズをとってしまう。

正直『あなたは恋を知らない』と出会ってから,熱心にエディ・ヒギンズを聴き直す日々。すなわち「宝探し」に没頭したものだ。
最近,あんまりエディ・ヒギンズを聴かなくなっていたのだが『あなたは恋を知らない』を聴いてから,久しぶりに“エディ・ヒギンズ漬け”の毎日を送っている今日この頃です。
01. When You Wish Upon A Star
02. My Funny Valentine
03. Detour Ahead
04. Beautiful Love
05. Dance Only With Me
06. Danny Boy
07. All This And Heaven Too
08. Yellow Days
09. Skylark
10. Again
11. You Don't Know What Love Is
12. Over The Rainbow
(ヴィーナス/VENUS 2003年発売/TKGV-1001)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)
(☆SACDハイブリッド盤仕様)
コメント一覧 (2)
こちらこそご無沙汰してます。滋賀県の方は大雪大丈夫でしょうか? 暖かくしてお過ごしくださいませ。
相変わらずのキース・ファンぶりでうれしいです。トリオの『アフター・ザ・フォール』。勿論購入済です。音源としては歴史的な価値があるという位置付けなのでしょうが,そこはキース・トリオですから,誰かが不調でも,あるいは3人中2人が不調だとしても残る1人がカバーできる毎回が名演の史上最高のトリオです。悪いわけないです。『ウイスパー・ノット』前後の演奏はどれも新鮮味があっていい演奏なのでしょう。
和仁さんのブログ。また再開されましたら覗きに行きます。落ち着いたら良い知らせをお願いします。いつかキース話でまたお食事でもできたらうれしいです。