SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY-1 日本のトップ・ミュージシャンが「宇宙」をテーマに「宇宙戦艦ヤマト」「スター・ウォーズ」「未知との遭遇」「火の鳥」「2001年宇宙の旅」のテーマ・ソングを演奏したスタジオ盤+ライブ盤のオムニバスが『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』である。

 『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』のリーダーはサウンド・デザインを担当した松武秀樹。アレンジャーは乾裕樹
 松武秀樹乾裕樹シンセサイザーを演奏するのだが,実際の演奏は深町純に任せている。

( ここで後日談。深町純は『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』のサウンド・デザインやアレンジが気に入らなかったのだろう。自分で『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』の焼き直しに当たる『宇宙戦艦ヤマト〜シンセサイザー・ファンタジー』なるアルバムを制作している )

 要するに『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』の時点では,深町純の参加はシンセサイザー・プレイヤーとしての評価であって,音楽全体のイメージは松武秀樹乾裕樹のものだということ。
 個人的にはその方が良い。深町純のファンとしては,迷盤『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』を深町純の音だと勘違いしたくないから…。

 そういうことでここからは深町純への感情を除いた『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』の評価について書く。

 そもそも『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』というアルバムは“シンセサイザー有き”の企画盤である。
 シンセサイザー=宇宙的・未来的なイメージが連想される時代があった。管理人は『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』のリリース後,数年経過してからYMOの洗礼を受けた世代である。

 とは言え,シンセサイザーを強烈に意識したのはYMOではなく喜多郎である。もっと言えば喜多郎というよりFM東京系「サントリー・サウンド・マーケット」のBGMが全てである。

 「サントリー・サウンド・マーケット」の“天にも昇る感じ”の音イメージはオーケストラシンセサイザーあってのこと! 壮大な未来。すっごいことが起こりそうな未来。今まで聴いたことのないサウンドの広がりはシンセサイザーであればこそ!
 「スター・ウォーズ」が今でも爆発的な人気を拡げている現状と比較すると,現状では,なぜシンセサイザーがここまで廃れてしまったのか不思議である。

SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY-2 その答えは『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』を聴いて感じる「古臭さ」にあるように思う。

 『SPACE FANTASY + LIVE SPACE FANTASY』斬新だったのは「未来志向のシンセサイザー・ミュージック」というカテゴリーだけであって,肝心の音楽自体はクリエイトされていない。

 テクノロジーの実験の場だったから,有名曲をシンセサイザーで演奏するとこんな感じ,で面白かったのだと思う。この企画ものを一番面白がっているのはドラマー村上秀一であろう。ビシビシと決まるリズムが一級品です。

 若き日の野呂一生渡辺香津美の両雄が“エレキ”って感じのギターを弾いています。これもアナログ・シンセのおかげだと思います。

  DISC-1 SPACE FANTASY
  01. 序曲―宇宙戦艦ヤマト
  02. 深夜の追跡
  03. イスカンダル
  04. 白い朝
  05. 真っ赤なスカーフ
  06. 宇宙戦艦ヤマト
  07. 飛行中隊
  08. エンジェルダスト
  09. 未知との遭遇
  10. 明日への希望―夢

  DISC-2 LIVE SPACE FANTACY
  01. プロローグ〜イスカンダル〔宇宙戦艦ヤマト〕
  02. マーメード ブールヴァード
  03. “スターウォーズ”のテーマ
  04. ザ・バランス
  05. “火の鳥”のテーマ
  06. ザ・スカードロン
  07. “2001年宇宙の旅”のテーマ ツァラトストラはかく語りき

(フォーライフレコード/FOR LIFE RECORDS 1978年発売/FLCF5027)
(CD2枚組)
(紙ジャケット仕様)
(☆BLU−SPEC CD仕様仕様)
(ライナーノーツ/松武秀樹)

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