MY FOOLISH HEART-1 『煙が目にしみる』で十分に理解していたはずなのに『MY FOOLISH HEART』(以下『マイ・フーリッシュ・ハート』)で改めてスコット・ハミルトンテナーの響きに速攻でやられてしまった。

 タイトル・チューンにしてオープナーの【MY FOOLISH HEART】のエロいこと。とにもかくにも生々しいタンギングやブレスやビブラートをエロスと表現するしか他にない。ただし清潔感があって潔い「芸術性のエロスの香り」。そこのところを読み間違えないでいただきたい。

 だから管理人としては『マイ・フーリッシュ・ハート』はエディ・ヒギンズスコット・ハミルトンの共演盤とは考えていない。
 『マイ・フーリッシュ・ハート』はスコット・ハミルトンテナーサックスを聴くべきアルバムだと断言しよう。

 ズバリ『マイ・フーリッシュ・ハート』とは,マル・ウォルドロンの『レフト・アローン』と同じ立ち位置に位置するアルバムである。
 マル・ウォルドロンのリーダー作『レフト・アローン』。しかし真の主役はマル・ウォルドロンピアノではなくジャッキー・マクリーンアルトサックスの方である。

 ジャッキー・マクリーンの『レフト・アローン』を聴いている時,そしてスコット・ハミルトンの『マイ・フーリッシュ・ハート』を聴いている時,マル・ウォルドロンピアノエディ・ヒギンズピアノも消えている。
 要は完全にサイドメンとしての伴奏に徹している。

MY FOOLISH HEART-2 マル・ウォルドロンと来ればビリー・ホリデイの伴奏者として余りにも有名である。そしてエディ・ヒギンズも『懐かしのストックホルム』のライナーノーツを読むと,氏のワイフであるメレディス・ダンブロジオを始めとして「私はありとあらゆる歌手の伴奏をやってきた」との記載がある。やっぱり!

 『マイ・フーリッシュ・ハート』はスコット・ハミルトンテナーサックスを聴くべきアルバムであるが,そこには名手=エディ・ヒギンズジャズ・ピアノが常に寄り添っている。

 エディ・ヒギンズスコット・ハミルトンの2枚目の共演盤『マイ・フーリッシュ・ハート』の内容が真に上質。ただし『煙が目にしみる』を聴いた時のようなインパクトは薄い。

 『マイ・フーリッシュ・ハート』は【MY FOOLISH HEART】の超名演を聴いて満足すればそれでよろしい。
 何となく予定調和的な,まぁ,それだけ完璧な出来ということで…。

  01. My Foolish Heart
  02. Russian Lullaby
  03. What Is There To Say
  04. That Old Black Magic
  05. Skylark
  06. Night And Day
  07. Embraceable You
  08. Am I Blue
  09. These Foolish Things
  10. The More I See You
  11. The Song Is You
  12. This Love Of Mine

(ヴィーナス/VENUS 2003年発売/TKCV-35316)
(ライナーノーツ/馬場啓一)

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