
渡辺貞夫名義でトッキーニョがゲストとして参加したのが『エリス』であり,トッキーニョ&渡辺貞夫の共同名義の『メイド・イン・コラソン』は,トッキーニョのソロ名義では売れないからコラボになったとかならなかったとか…。
事実,良作の『エリス』は,アメリカのジャズ・チャート4週連続の第1位獲得。二卵性双生児ゆえ,どうしても比較される『エリス』と『メイド・イン・コラソン』の評価は9:1で『エリス』の圧勝だったと記憶する。
あれから21年。リマスタリングされた『エリス』と『メイド・イン・コラソン』の両盤を買い直してみた。そうして聴き直してみると,印象がガラリと変わってしまった。
管理人の『エリス』=“最高傑作”の評価は揺らがないが『メイド・イン・コラソン』の,ほっこりとした温かな歌心に心が揺さぶられる。一気に『メイド・イン・コラソン』が『エリス』と同じレベルで肩を並べてしまったのだ。
この全てはトッキーニョのヒューマンな音楽性に尽きる。ハッキリ言えばトッキーニョより上手なヴォーカリスト,トッキーニョより上手なギタリストは五万といる。
でもどんなに超一流のヴォーカリストやギタリストが集まろうともトッキーニョ1人のヒューマンな音楽性の魅力にはかなわない。渡辺貞夫がトッキーニョに惚れ込んでいる理由を管理人も21年かかってようやく理解できた思いである。
いいや『メイド・イン・コラソン』の真実とは,トッキーニョから捧げられた渡辺貞夫への“賛歌”である。
『メイド・イン・コラソン』の全10トラック中,渡辺貞夫の楽曲が6曲。つまり『メイド・イン・コラソン』とは「TOQUINHO PLAYS SADAO WATANABE FEATURING SADAO WATANABE」なのである。
『エリス』で新録された渡辺貞夫の【ELIS】【O QUE PASSOU PASSOU】の2曲にトッキーニョが詩を付けた。それだけではなく【BLUE LOVE LETTER】【MORNING ISLAND】【SERENADE】【STRAY BIRDS】の渡辺貞夫の既発4曲にもトッキーニョが詩を付けた。

そう。渡辺貞夫がトッキーニョに惚れ込み,トッキーニョが渡辺貞夫に惚れ込んで制作されたのが「TOQUINHO PLAYS SADAO WATANABE FEATURING SADAO WATANABE」=『メイド・イン・コラソン』。
いつの日か『メイド・イン・コラソン』が『エリス』を凌駕する日がやってくることを,実はひそかに期待しちゃったりして…。
01. SAUDADES DE ELIS
02. MINHA PROFISSAO
03. MADE IN CORACAO
04. O QUE PASSOU PASSOU
05. FILHO MEU
06. SAMBA DA VOLTA
07. CARINHOSO
08. SENTIMENTOS IGUAIS
09. BONS MOMENTOS
10. INQUIETO AMOR
(エレクトラ/ELEKTRA 1988年発売/WPCL-10648)
(ライナーノーツ/中原仁)
(ライナーノーツ/中原仁)
コメント一覧 (6)
「ブルーラブレター」のオリジナルがどこに収録されているのか、ずっと気になっていました。最近、別の方のブログ記事で、松田聖子に提供した同名曲があること知りました。ナベサダ自身のアルバムには未収録なのでしょうか?
結論としては〈渡辺貞夫フィーチャリング トッキーニォ〉で間違いないです。基本的にはナベサダ主役のブラジル・アルバムに仕上がっていますねっ。
さて【ブルー・ラブ・レター】の件ですが,勿体ないのですがオリジナルはナベサダのアルバムには未収録です(多分)。あまりにもPOPな楽曲のカラーがある意味異端児ものだから? アドリブなしでも綺麗なメロディー・ラインだと思います。
やはり【ブルー・ラブ・レター】には松田聖子とサントリーがお似合いのようです。
ブルーラブレターの件、スッキリしました。やはりナベサダはKIRINですからね。
それにしてもCM絡みの曲は結構あるはずなので、いつかは未収録集を発表して頂きたいです。
「KIRIN THE CLUB」。行きましたね。懐かしいですね。
ブラバス・クラブの時代にトッキーニョのステージがFMでオンエアされていました。ナベサダがステージに上がらないトッキーニョのソロ・ライブのエアチェック・テープ。きっと実家に残っているはずなのですが,無性に聴きたくて身体がかゆいです?
ブラバスクラブ、懐かしいですね。
「バモス ジェントス」。買い逃して以降,捜し続けているCDの1枚です。