「KEEP」の骨格は深町純の細部まで書き込んだ譜面でまず間違いないだろう。
「KEEP」結成に至るまでの深町純は,本場アメリカの凄腕プレイヤーたちとの交流を深めることによって,自らの思い描くフュージョン・サウンドを追及してきた。
しかし,出来上がったフュージョン・サウンドは,それが深町純のペンによるものだとしても,どうしても&何回演っても,スタッフやブレッカー・ブラザーズっぽさが感じられる「アメリカン・フュージョン・タッチ」。
当然である。フュージョンの主役は曲ではなく演者の方なのだから…。
そこで深町純が考えたのが,オール日本人によるフュージョン・バンドの結成である。
ニューヨーク・オールスターズで“天下を獲った”深町純が欲したのは,世界的にも稀有なミュージシャンがガラパゴス化している「J−フュージョン・オールスターズ」を率いる深町純であった。
しかし,ここが最高に面白い部分なのだが,深町純の細部まで書き込まれた譜面を,すでにビッグネームとなっていたギターの和田アキラ,ベースの富倉安生,ドラムの山木秀夫の3人が「自分ならどう表現しようか」と譜面と格闘しているのが「KEEP」なのである。
深町純の願いかなわず,深町純の狙いとは真反対に「バンドの力学」が動いている。
ズバリ,1stである『DG−581』は「KEEP」4人によるセッション・アルバムである。
互いにけん制しあいながら,どこまで踏み込むべきか“腹の探り合い”の雰囲気がなんとも微笑ましく,それでいて音楽としての完成度がメチャメチャ高い。和田アキラ,富倉安生,山木秀夫のミュージシャン・シップが深町純の「書き譜の音世界」を大きく越えてしまっている。痛快極まりない!
『DG−581』について語るなら,テクニカルな演奏に違いないが,それ以上にメロディアスで温かみのあるサウンドが前面に出ていると思う。
フュージョンを基本としつつ,ジャズっぽくロックっぽくプログレっぽいところもあるが,マニアックな空気は薄く風通しの良い雰囲気に満ちている。
そう。「KEEP」はバンド・サウンドを目指しながらも,形として最後までバンドになりきることのできなかった“バンド崩れ?”のセッション・バンドである。
和田アキラは「プリズム」で,富倉安生は「トランザム」で,山木秀夫は「マライア」と「香津美バンド」で,バンド・サウンドを奏でることが出来ているが,唯一,深町純だけが,生涯,バンドの一部となりきれることのなかったセッション・ミュージシャンだと思っている。
だからこそ「KEEP」が光り輝いている。「KEEP」が最強なのは,メンバー4人が4通りに思い描く音楽イメージが全部放出されている点にある。
4人が1つのイメージを共有するのがバンドであるなら「KEEP」は4人が4つのイメージを共有している。こういけばこうである。4人が局面を打開するためのアイディアを数多く持っているから,誰かが仕掛けた創造的なアプローチにも,あらかじめ譜面に書かれていたかのように即興で対応できてしまう。そんな感じの演奏が続いている。
管理人にとっては『DG−581』とは,いいや「KEEP」とは【SONATINE】のことである。この1曲の中に「KEEP」の全てが収められている。
深町純の“最高傑作”をもってしても,和田アキラの“最高傑作”をもってしても,富倉安生の“最高傑作”をもってしても,山木秀夫の“最高傑作”をもってしても『DG−581』の【SONATINE】には遠く及びやしない。
【SONATINE】の世界観はソロでは表現できないし,バンドでも表現できない。ウルトラ・スーパー・セッション・バンド=「KEEP」だから表現できたのだと思う。素晴らしい。
01. OWL FLIGHT
02. PAN NEO
03. NEVER ENDING SAD
04. DANCE OF PARANOIA OPUS 3
05. SONATINE
「KEEP」結成に至るまでの深町純は,本場アメリカの凄腕プレイヤーたちとの交流を深めることによって,自らの思い描くフュージョン・サウンドを追及してきた。
しかし,出来上がったフュージョン・サウンドは,それが深町純のペンによるものだとしても,どうしても&何回演っても,スタッフやブレッカー・ブラザーズっぽさが感じられる「アメリカン・フュージョン・タッチ」。
当然である。フュージョンの主役は曲ではなく演者の方なのだから…。
そこで深町純が考えたのが,オール日本人によるフュージョン・バンドの結成である。
ニューヨーク・オールスターズで“天下を獲った”深町純が欲したのは,世界的にも稀有なミュージシャンがガラパゴス化している「J−フュージョン・オールスターズ」を率いる深町純であった。
しかし,ここが最高に面白い部分なのだが,深町純の細部まで書き込まれた譜面を,すでにビッグネームとなっていたギターの和田アキラ,ベースの富倉安生,ドラムの山木秀夫の3人が「自分ならどう表現しようか」と譜面と格闘しているのが「KEEP」なのである。
深町純の願いかなわず,深町純の狙いとは真反対に「バンドの力学」が動いている。
ズバリ,1stである『DG−581』は「KEEP」4人によるセッション・アルバムである。
互いにけん制しあいながら,どこまで踏み込むべきか“腹の探り合い”の雰囲気がなんとも微笑ましく,それでいて音楽としての完成度がメチャメチャ高い。和田アキラ,富倉安生,山木秀夫のミュージシャン・シップが深町純の「書き譜の音世界」を大きく越えてしまっている。痛快極まりない!
『DG−581』について語るなら,テクニカルな演奏に違いないが,それ以上にメロディアスで温かみのあるサウンドが前面に出ていると思う。
フュージョンを基本としつつ,ジャズっぽくロックっぽくプログレっぽいところもあるが,マニアックな空気は薄く風通しの良い雰囲気に満ちている。
そう。「KEEP」はバンド・サウンドを目指しながらも,形として最後までバンドになりきることのできなかった“バンド崩れ?”のセッション・バンドである。
和田アキラは「プリズム」で,富倉安生は「トランザム」で,山木秀夫は「マライア」と「香津美バンド」で,バンド・サウンドを奏でることが出来ているが,唯一,深町純だけが,生涯,バンドの一部となりきれることのなかったセッション・ミュージシャンだと思っている。
だからこそ「KEEP」が光り輝いている。「KEEP」が最強なのは,メンバー4人が4通りに思い描く音楽イメージが全部放出されている点にある。
4人が1つのイメージを共有するのがバンドであるなら「KEEP」は4人が4つのイメージを共有している。こういけばこうである。4人が局面を打開するためのアイディアを数多く持っているから,誰かが仕掛けた創造的なアプローチにも,あらかじめ譜面に書かれていたかのように即興で対応できてしまう。そんな感じの演奏が続いている。
管理人にとっては『DG−581』とは,いいや「KEEP」とは【SONATINE】のことである。この1曲の中に「KEEP」の全てが収められている。
深町純の“最高傑作”をもってしても,和田アキラの“最高傑作”をもってしても,富倉安生の“最高傑作”をもってしても,山木秀夫の“最高傑作”をもってしても『DG−581』の【SONATINE】には遠く及びやしない。
【SONATINE】の世界観はソロでは表現できないし,バンドでも表現できない。ウルトラ・スーパー・セッション・バンド=「KEEP」だから表現できたのだと思う。素晴らしい。
01. OWL FLIGHT
02. PAN NEO
03. NEVER ENDING SAD
04. DANCE OF PARANOIA OPUS 3
05. SONATINE
(トリオ/TRIO 1981年発売/CRCD5030)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/笠木脩治,福原武志)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/笠木脩治,福原武志)