FAMOUS PEOPLE-1 シャカタクのリーダーであるビル・シャープの1stソロ・アルバムが『FAMOUS PEOPLE』(以下『フェイマス・ピープル』)。

 管理人は大好きなフュージョン・グループ・メンバーのソロ・アルバムは追いかけていない。意図的に避ける習慣がついてしまった。
 理由は大好きなバンド・サウンドとあまりにもかけ離れているものが多くソロ・アルバムは何回か聞いたら終わりのお蔵行き。それどころか実験的な音造りの,そこまでやるか!的な大変化に,本体まで嫌いになってしまいそうで…。要は手に取ると危ない盤。

 しか〜し,ビル・シャープの『フェイマス・ピープル』は,シャカタク名義のアルバムの1枚にラインナップしてもおかしくない出来である。要は手にして安心盤。
 シャカタク本体の同時期のアルバム『ダウン・オン・ザ・ストリート』の先鋭的な音造りよりも『フェイマス・ピープル』の方が意外にしっくりきた記憶がある。

 特に前半のハイライト・トラック=【愛のシルエット】【ザ・シャッフル】【ウォッシュト・アウェイ】の3曲にはブリティッシュジャズファンクの伝統を感じてしまうし,後半【チェンジ・ユア・マインド】【フェイマス・ピープル】以降のダンス・ビートの連続には,シャカタク以上に“エレガント・ポップ”を感じてしまう。

 ズバリ『フェイマス・ピープル』の聴き所はビル・シャープキーボードではなく,ヴォーカルと電子リズムを使った“仮想”シャカタク・サウンドにある。
 『フェイマス・ピープル』には,シャカタクの頭脳であるビル・シャープの“ロマンシズム”が溢れている。

 シャカタク・サウンドの個性とは,美メロはビル・シャープキーボードジャズファンク色はロジャー・オデルドラム,という明確な役割分担で構築されているのだが,そのリズム部分を『フェイマス・ピープル』ではビル・シャープが操るエレクトロ・ドラムベースの打ち込みでカバーしている。

FAMOUS PEOPLE-2 そう。シャカタクロジャー・オデルのリズムであるなら『フェイマス・ピープル』はビル・シャープのリズムである。
 ロジャー・オデルビル・シャープのアプローチの違いが自然と聞こえてきて,シャカタク・ファンなら俄然楽しめる。

 ただし『フェイマス・ピープル』では電子リズムの存在を忘れさせるほどにヴォーカルの存在が際立っている。
 シャカタクレヴェル42化とも捉えることのできる「本格的なヴォーカル・アルバム」を聴かせられると,シャカタクの今後が心配になる?

 う〜む。やっぱり。内容が良くても悪くてもバンドの行く末が不安になる? やはりフュージョン・グループ・メンバーのソロ・アルバムは追いかけてはいけない。

  01. SILHOUETTES
  02. THE SURVIVOR
  03. BILL'S BLUES
  04. THE SHUFFLE
  05. WASHED AWAY
  06. PEACE
  07. SONG FOR LISA
  08. CHANGE YOUR MIND
  09. FAMOUS PEOPLE
  10. FOOLS IN A WORLD OF FIRE
  11. CATCHING A TRAIN
  12. REMIX, REMAKE, REMODEL
  13. FAIRWEATHER GIRL

(ポリドール/POLYDOR 1984年発売/P33P-20004)
(ライナーノーツ/川名雄二)

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