E.S.T. LIVE IN LONDON-1 「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜が6年振りにリリースされた。ただし,直輸入盤を除いて国内盤購入括りの管理人からすると『301』は発売されていないに等しいゆえ( ← ネットで試聴して,輸入盤は買わない主義を本気で撤廃しようか迷い中 )セラビー宅には『LEUCOCYTE』以来,実に10年振りに到着した「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新譜となる。

 エスビョルン・スヴェンソンの残念な事故死から10年。この10年間で「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」を取り巻く環境は大きく変化した。ポスト・ロックの旗手であり「ジャズを演奏するポップ・バンド」としての評価が上がったのだ。

 エスビョルン・スヴェンソンの死と入れ替わるように登場してきたロバート・グラスパーゴー・ゴー・ペンギンピアノエスビョルン・スヴェンソンの影響が感じられる。
 いいや,巷は「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の起こした革新的な音楽スタイルで溢れている。もはや「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」は,現代の音楽シーンのバックグラウンドなのだと言い切ってしまおう。

 だ・か・ら『E.S.T. LIVE IN LONDON』(以下『ライヴ・イン・ロンドン』)を初めて聴いた時,特段の衝撃を感じなかった。「何だかいつも通りだなぁ」と思ってしまった。こんな感想「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」では初めてのことだった。
 そう。この「並みのアルバム」「普通のライブ」と聴こえてしまう感想こそが「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」がありふれてしまった証拠なのである。

 だ・か・ら『ライヴ・イン・ロンドン』は2週目からが本当に来る。『ライヴ・イン・ロンドン』は「並みのアルバム」「普通のライブ」ではなかった。
 巷に溢れるエスビョルン・スヴェンソンっぽいピアノエスビョルン・スヴェンソンピアノではなかった。

 エスビョルン・スヴェンソンピアノには,ダン・ベルグルンドベースマグヌス・オストラムドラムが必要なのだ。もの凄いリズム!
 10年振りの新作『ライヴ・イン・ロンドン』を聴いたことで「『e.s.t.』はジャズ・バンドではなく,ジャズも演奏するポップ・バンド」の明言を10年の時をかけて再認識させられてしまったように感じる。

E.S.T. LIVE IN LONDON-2 2枚組の『ライヴ・イン・ロンドン』はCD1が『VIATICUM』でCD2が『STRANGE PLACE FOR SNOW』中心のセットリスト。
 『VIATICUM』の楽曲も『STRANGE PLACE FOR SNOW』の楽曲も『ライヴ・イン・ロンドン』で成長している。

 『ライヴ・イン・ロンドン』は『VIATICUM』と『STRANGE PLACE FOR SNOW』の2枚組ライブ盤ではない。
 10年遅れでやってきた「e.s.t.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)」の新作である。現在もエスビョルン・スヴェンソンピアノ・トリオの拍動と鼓動が聴こえてくる。

 そう。エスビョルン・スヴェンソンジャズ・ピアノの音楽は「リアル」である。エスビョルン・スヴェンソンは今だ生き続けている!

  CD 1
  01. Tide Of Trepidation
  02. Eighty-eight Days In My Veins
  03. Viaticum
  04. Mingle In The Mincing-Machine
  05. In The Tail Of Her Eye
  06. The Unstable Table & The Infamous Fable

  CD 2
  01. When God Created The Coffeebreak
  02. Behind The Yashmak
  03. Believe, Beleft, Below
  04. Spunky Sprawl

(キングインターナショナル/ACT 2018年発売/KKE-080)
(CD2枚組)
(☆直輸入盤仕様 ライナーノーツ/オラシオ)

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