BLUES AT MIDNIGHT-1 管理人はハロルド・メイバーンが大好きでエリック・アレキサンダー絡み以外でもハロルド・メイバーンソロ・アルバムも結構な枚数所有している。 ← ってハロルド・メイバーンピアノを一番聴いたのは矢野沙織ちゃんのアルバムで〜す。

 そんなハロルド・メイバーン・フリークとして自信を持ってお勧めできるのが,エリック・アレキサンダー名義の『BLUES AT MIDNIGHT』(以下『真夜中のブルース』)である。
 そう。『真夜中のブルース』は,エリック・アレキサンダーではなくハロルド・メイバーンを聴くためのブルース・アルバムなのである。

 『真夜中のブルース』でのエリック・アレキサンダーの出来は悪くはない。ブルースを題材に黒ノリの新境地にチャレンジしている。
 ただ悲しいかなエリック・アレキサンダーに感情過多は似合わない。オールド・スタイルは似合わない。自然発生的な極上のアドリブは吹き切れていない。

 いいや,エリック・アレキサンダーの出来が悪いのではなくて,ハロルド・メイバーンの出来が良すぎるのだ。
 …って,このままハロルド・メイバーン絶賛レビューを続けようかとも思ったが『真夜中のブルース』のリーダーはエリック・アレキサンダー“その人”であ〜る。

 ひとくちにブルースといっても,そこには様々なテイストがある。『真夜中のブルース』の選曲の中には,例えば12小節の繰り返しのテーマを持っていない,すなわち厳密なブルースではなく,ブルースっぽい曲も取り上げられている。

 そう。形式としてのブルースを基軸にすることによって,かえってエリック・アレキサンダーの持っているコンテンポラリーな個性がくっきり浮かび上がっている。
 ハロルド・メイバーンピアノ・トリオが生み落とす,大らかなスケールで絶妙なGROOVEに乗りまくるハロルド・メイバーンテナーサックスが『真夜中のブルース』の聴き所であろう。

BLUES AT MIDNIGHT-2 『真夜中のブルース』が証明するエリック・アレキサンダーの類まれな個性。エリック・アレキサンダーは保守的なテナーサックス・プレイヤーに違いはないが,ジャズのルーツやモダン・ジャズの伝統を大切にしながらも,様々な音楽的アイディアを盛り込んで,きわめて今日的な感覚で料理してみせる。

 ハロルド・メイバーン基準であれば星5つだが,エリック・アレキサンダー基準としては星4つの『真夜中のブルース』。それでも現代の「テナー・タイタン」エリック・アレキサンダーを「アレキサンダー大王」と呼ぶことに躊躇はない。

 個人的には『真夜中のブルース』から20年後のブルース・アルバムを早くも楽しみにしている。

  01. Sayonara Blues
  02. Hittin' The Jug
  03. Willow Weep For Me
  04. Dis Here
  05. Is It You
  06. Caribe
  07. Dance With Me
  08. St. Louis Blues
  09. Edward Lee

(ヴィーナス/VENUS 2013年発売/VHCD-1124)
(ライナーノーツ/岡崎正通)

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