B.L.U.E. NIGHTS-1 ジャズフュージョンに目覚めるまで。管理人はその昔ヘビィ・メタル少年であった。ゆえにプログレも愛好していたしキング・クリムゾンも聴いていた。
 “隠れ”ではあるが,ビル・ブラッフォードトニー・レヴィンを現在でもリスペクトしている。

 ただし,だからといってビル・ブラッフォードトニー・レヴィンが結成した「ブラッフォード・レヴィン・アッパー・エクストリミティーズ」のCDを購入することはない。
 管理人の目に入ったのは“トランペット界の貴公子”クリス・ボッティの存在である。「美男子」クリス・ボッティが「野獣」ビル・ブラッフォードトニー・レヴィンジャズ・ロックを演る。ただそれだけで『B.L.U.E.NIGHT』を衝動買いしてしまった。読者の皆さん,これって常識では有り得っこない共演なのですぞ〜!

 『B.L.U.E.NIGHT』は「ブラッフォード・レヴィン・アッパー・エクストリミティーズ」初のライヴ盤である。
 「ブラッフォード・レヴィン・アッパー・エクストリミティーズ」の音楽とは,プログレのフィールド内におけるジャズ・ロックである。自由度の高い演奏,しかもライヴ

 これはクリス・ボッティの独壇場かと思いきや,ビル・ブラッフォードトニー・レヴィンは余裕でついていっている。いいや,起伏に富んだリズムがバンドの中心であって,クリス・ボッティトランペットデイヴィット・トーンギターは「色付担当役」である。

 「ブラッフォード・レヴィン・アッパー・エクストリミティーズ」の音楽がカッコイイ。老練のビル・ブラッフォードトニー・レヴィン主導ゆえ,最先端のプログレとはお世辞にも言えないが,ドライでモノクロっぽいスタイリッシュさが香っている。
 これにはライヴではあっても,手癖にまみれたアドリブではなく,あくまでも「楽曲を演奏する」ことに意識を集中しているからであろう。

 そう。ビル・ブラッフォードトニー・レヴィンにとって,クリス・ボッティデイヴィット・トーンこそがジャンルを越えた最高の共演者。
 楽曲を彩り,インスピレーションを受けることのできる,最高のトランペッターであり,最高のギタリストである。

B.L.U.E. NIGHTS-2 管理人の結論。『B.L.U.E.NIGHT批評

 『B.L.U.E.NIGHT』は,4人が4人とも相当にテクニカルな演奏であって,複雑で音を乗せるのが難しいビートの嵐なのに,フロントのストレートなメロディーがアバンギャルドでありながらも実に聴きやすい。
 早弾きなのに弾きすぎず,音の空間を上手に埋めながら高みに昇っていく演奏は「ジャズ・ロックするクリムゾン」としての代表作であろう。

 ただし管理人的にビル・ブラッフォードと来れば,どうしても渡辺香津美とのギター・トリオなのです。
 クリス・ボッティがプログレ方面で大暴れした『B.L.U.E.NIGHT』をもってしても『THE SPICE OF LIFE』を越えることは難しかった!

  CD 1
  01. PIERCING GLANCES
  02. ETUDE REVISITED
  03. A PALACE OF PEARLS (on a Blade of Grass)
  04. ORIGINAL SIN
  05. DENTURES OF THE GODS
  06. DEEPER BLUE
  07. COBALT CANYONS

  CD 2
  01. FIN DE SIECLE
  02. PICNIC ON VESUVIUS
  03. CERULEAN SEA
  04. BENT TAQSIM/TORN DRUMBASS
  05. CRACKING THE MIDNIGHT GLASS
  06. PRESIDENTS DAY
  07. 3 MINUTES OF PURE ENTERTAINMENT

(ディシプリン・グローバル・モービル/PAPA BEAR 1999年発売/PCCY-01435)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/松崎正秀,トニー・レヴィン)

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