
というのも世はバブルの真っ只中で“桜花爛漫”を楽しんでいた時代である。今のようなデフレで尻つぼみのご時世なら幾分理解できるが,例えばBOOWYから氷室京介と布袋寅泰がソロ・デビューを果たしたように,音楽家足るもの,まずはバンドで売れてからソロで大活躍というのがセオリーであり皆の目標であったと思う。あのマーカス・ミラーもマイルス・デイビスのバンドで売れたから今の栄光がある。
だ・か・ら・すでに全てを手に入れている“売れっ子”の4人。キーボードのボブ・ジェームス,ギターのリー・リトナー,ベースのネイサン・イースト,ドラムのハービー・メイソンがフォープレイというレギュラー・グループを結成したことに驚愕したのであった。
絶好調のバブル景気に企業業績も増収増益。なのに合併とか統合する会社がどこにある。起業し独立するチャンスがあるのに敢えて会社に出戻りして過労死する感じ?
なぜ? どうして? お金にも困っていないだろうし,名声も十分に獲得しているし,ソロ活動に軸足を置いた方が自分のやりたい音楽がやれるであろうに…。
バンドを組む理由が見当たらない4人の決意に当惑しつつデビュー・アルバム『FOURPLAY』を聴いて無言になった。正確には口をふさがれてしまった。『FOURPLAY』を聴いただけで納得させられてしまった。
フォープレイはこれなんだ。この4人が集まったからフォープレイなんだ。
この極上の音楽はボブ・ジェームス1人が,ありったけのお金や時間を費やしても完成させることのできない音楽である。ボブ・ジェームスが全ての私財を投げうってでも手に入れたかった音楽。それが『FOURPLAY』から流れてくる。この上なく素晴らしい。

( 余談ですが,上記の理由で管理人はリー・リトナー時代のフォープレイが一番好きなのです! )
フォープレイの『FOURPLAY』が大好きだ。書きたいことは山ほどあるが『FOURPLAY』批評の誌面上に1つだけ書いておく。
それは『FOURPLAY』の時点では,リー・リトナーの代わりに“ライバル”ラリー・カールトンがメンバーになるとは誰一人として予想できなかっただろうし,現在の“スムーズ・ジャズっぽいフュージョン”に,あのラリー・カールトンが見事にハマルるとは誰一人として予想できなかったということ。バンドも数ある組織の1つだったんだなぁ。
【BALI RUN】の,静寂からの「もうやめて〜」的な猛プッシュの音階上がりに押し倒されてしまったファンたちは皆,管理人と同様の感想を抱いていると思っている…。
01. BALI RUN
02. 101 EASTBOUND
03. FOREPLAY
04. MOONJOGGER
05. MAX-O-MAN
06. AFTER THE DANCE
07. QUADRILLE
08. MIDNIGHT STROLL
09. OCTOBER MORNING
10. WISH YOU WERE HERE
11. RAIN FOREST
FOURPLAY
BOB JAMES : Keyboards
LEE RITENOUR : Guitars
NATHAN EAST : Bass
HARVEY MASON : Drums
Guest Musician
EL DEBARGE : Lead Vocal
DARELL DEBARGE : Lead Vocal
PATTI LABELLE : Background Vocal
PHILIP BAILEY : Background Vocal
(ワーナー・ブラザーズ/WARNER BROTHERS 1991年発売/WPCP-4463)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
伝道の書8章 人の支配は有害
ハービー・マン 『メンフィス・アンダーグラウンド』
コメント一覧 (4)
4人の誰かのソロ名義のアルバムに参加しているという訳じゃなく、個性を主張しすぎないアルバムだと思います。
最初のアルバムで、手探りで音を探しながら作ってたのでは?と思ってしまいます。
今は3人目のチャックローブがギター弾いてますが、
ギターリスト変わっただけで、バンドとしての音の作り方も面白いし、それぞれの個性が光ります。
FOURPLAYはじっくり聴かないとその良さはわからないと思います。
ボブ・ジェームスからして「合う」4人。現代のMJQを地でいっていますね。
bahohoさんご指摘の通り,このアルバムは手探り感が出ていますが,これってまだまとまっていないという意味ではなくて,グループの方向性を模索してのことでしょう。
ギタリストが変わってもフォープレイの世界観は不変なのですが,そのギタリストに合わせて3人が音を変えていますね。
ブルージーなラリー・カールトンとスムーズ・ジャズなチャック・ローブ。私はフュージョン・タッチのリー・リトナーに惹かれます。
さて、fourplay に初めて出会ったのは後にリリースされるベストアルバムです。タワーレコードで何度も試聴して買いました。
1回聴いて、ではなく何度も聴いているうちに馴染んできます。今回取り上げられたアルバムも機会があれば是非改めてじっくり聴いてみたいです。fourplay もいい曲が多いですね!
その通りです。【101 EASTBOUND】はRKBラジオの交通情報BGMです。RKBに限らずFM福岡とかクロスDMでもフォープレイの楽曲がBGMで使われています。この手が大得意なのがボブ・ジェームスですから!
フォープレイは最初にガツンはあまりないのですがスルメ盤よろしくであって 何度も聴いているうちに馴染んできます。私もフォープレイ批評のため改めてじっくり聴いてまたしてもハマッテしまいました。