
しかし,フレディ・ハバードのトランペットが本当に良いのは「新主流派」以降である。加えてフレディ・ハバードのトランペットが本当に良いのはサイドメンとしての演奏である。
だからフレディ・ハバード初期の演奏は聴いても聴かなくてもどちらでもよい。聴かないよりは聴いた方がよいとお奨めしている。
現に管理人はフレディ・ハバードのデビュー盤『OPEN SESAME』(以下『オープン・セサミ』)ではフレディ・ハバードの演奏は聞いてはいない。
そう。『オープン・セサミ』はフレディ・ハバードのトランペットを聴くためのアルバムではなく,ティナ・ブルックスのテナー・サックスとマッコイ・タイナーのピアノを聴くためのアルバムなのである。
ズバリ『オープン・セサミ』の主役はティナ・ブルックスである。演奏もそうなのだがアルバムが醸し出す雰囲気はティナ・ブルックスの個性そのものである。
結局のところ『オープン・セサミ』の顔である【オープン・セサミ】と【ジプシー・ブルー】はティナ・ブルックスあってこそ!
一聴するとホレス・シルヴァーっぽい曲調だが,元気いっぱいのマイナー調で哀愁してしまうのがティナ・ブルックスの腕前なのである。
多弁で安定感のあるフレディ・ハバードと朴訥で線が細いけれど黒っぽいティナ・ブルックスの組み合わせが強い印象を残している。ティナ・ブルックスの繊細かつソウルフルな味が絶妙に臭い立ってくる。ティナ・ブルックスが好きだ〜。

リリカルで小気味良いピアノ・タッチの流ちょうなフレージングが,フレディ・ハバードとティナ・ブルックスの両雄を自由に転がしていく。
『オープン・セサミ』の後もしばらくフレディ・ハバードを支えることになるマッコイ・タイナー。フレディ・ハバードの成功は“名脇役”マッコイ・タイナーのサポート抜きには語れない。
01. OPEN SESAME
02. BUT BEAUTIFUL
03. GYPSY BLUE
04. ALL OR NOTHING AT ALL
05. ONE MINT JULEP
06. HUB'S NUB
07. OPEN SESAME (alternate take)
08. GYPSY BLUE (alternate take)
(ブルーノート/BLUE NOTE 1960年発売/TOCJ-7075)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,原田和典)
(ライナーノーツ/アイラ・ギトラー,原田和典)