
みんなに勧めていた手前,ポシャッタらおしまいという気持ちの中で『FRUITCAKE 2』(以下『フルーツケーキ 2』)がリリースされた。
自分の中では『フルーツケーキ 2』は4曲だけだった。それこそ全曲大好きな『FRUITCAKE』からすると駄盤に思えて「ちょっとまずい」と思っていたが,友達はみんな『フルーツケーキ 2』も気に入ってくれた。
不安から解放されて「そうだろう」的に得意気に自慢していた自分が今もって恥ずかしい。それが『フルーツケーキ 2』についての一番の思い出である。
さて,上記の大当たりの4曲とは【CASINO JUMP】【BREAKFAST AT BENNY’S】【GAME FOR TWO】【MARIMBA】。
この4曲の共通項。それこそ全4曲がシンセ曲。つまりはベニー・バンの世界観である。管理人にとってフルーツケーキの魅力とはベニー・バンの美メロであり,ベニー・バンのキーボードである。あっ,打ち込みっぽい8ビートもかなりの好物でした。
実はフルーツケーキ。『フルーツケーキ 2』からはバンドのメンバーが入れ替わって,レギュラー・メンバーはキーボードのベニー・バンとギターのロブ・タエキマによるユニット体制へと変化している。
それだけではなく『フルーツケーキ』のメイン・コンポーザーはベニー・バンであったが『フルーツケーキ 2』のメイン・コンポーザーはロブ・タエキマになっている。
フルーツケーキのバンド内の事情は知る由もないが,当時中学生だった管理人の耳にもフルーツケーキの音楽性の変化については隠せない。
キーボードとギター以外はサポート・メンバーという立ち位置のせいなのか,カチカチとしたビートからグルーヴ感あるリズムへと変化しているように聞こえる。 スカ,ボサノヴァ,サンバを上手く取り入れた多彩なアプローチが飽きさせない。総勢7人ものサポート・ベーシストとサポート・ドラマーの参加効果ありあり〜。

ギターの妙なアーチキュレーションが気になってしまう『フルーツケーキ 2』。だから長らく『フルーツケーキ』からすると落ちるという印象であったが,今回『フルーツケーキ 2』批評のために何回も聴き直す行為がそれはそれは楽しくて楽しくて…。
『フルーツケーキ 2』が落ちることはなかった。『フルーツケーキ 2』は駄盤ではなかった。
『フルーツケーキ 2』も管理人「青春の1枚」だったことを自分自身で再認識してしまいましたとさ。
01. HEARTBEAT
02. WASHINGTON SQUARE
03. COOL AND GENTLE
04. LOBSTER FUSION
05. CASINO JUMP
06. BREAKFAST AT BENNY'S
07. KAYO
08. SCREEN MUSIC
09. YOU CAN MAKE ME
10. GAME FOR TWO
11. MARIMBA
12. BEN'S BOSSA
13. SUPER STRUTT
(ビクター/JVC 1984年発売/NCS-747)
(ライナーノーツ/苦楽健人,熊谷美広)
(ライナーノーツ/苦楽健人,熊谷美広)