
野獣王国の良い所は,メンバー全員がフュージョン界の重鎮ながら,バンドとしてはまだ走り出したばかりの「新人バンドの1つ」に所属。他の仕事との掛け持ちにして,定期練習を欠かさない趣味バンドのポリシーとして,バンド・サウンドを固めていく過程が聴ける所。
もう成長するも何も関係ないレベルの完成されてしまっている4人の野獣メンバー。個人としては「押しも押されぬ大御所」の4人の演奏だが,野獣メンバーの一人として耳を傾けると,ウソか誠か,成長して聴こえてしまうのだからタマラナイ。

これもやっぱり,フュージョンの洗練されたしなやかさはもちろん,ロックの野趣溢れる醍醐味も押し出した野獣王国のバンド・サウンドは,まさしく“パワー・フュージョン”と呼ぶに相応しい。
音楽にパワーを注入しながら自分自身のパワーもチャージできる。そんな良い循環が野獣王国のバンド・サウンドにはあるのだろう。
野獣王国の第三作『SWEET & THE BEAST』(以下『スイート&ザ・ビースト』)は,濃厚なのにうっとうしくはなく,勢いがありながらも実に繊細な音楽言語で表現されている。オヤジたちが成長している部分である。

『スイート&ザ・ビースト』の「THE BEAST」担当曲は,アイアン・メイデンばりのヘビィ・メタルというよりも,難波弘之お得意のプログレから来た“パワー・フュージョン”仕上げである。
管理人の結論。『スイート&ザ・ビースト』批評。
『スイート&ザ・ビースト』の聴き所は,メンバー個人のフレッシュな演奏力とバンド・サウンドの真新しさ&新鮮さにある。
通常のバンド運営であれば,時間を共有するにつれ,暗黙の了解のうちに演奏がまとまる良さがあるのだが,野獣王国に関しては,時間を共有するにつれ,暴れて良いギリギリの線で勝負できる良さがある。そうしてどんなに暴れようとも,決して外さない信頼感関係がある。

出でよ「THE BEAST」! 出でよ,第二の野獣王国!
PS 普段インナーはスキャンしないのですが「SWEET & THE BEAST-3」「SWEET & THE BEAST-4」の封入漫画は読者の皆さんにも読んでほしいと思いました! 拡大して見て&楽しんで!
01. THREE FUNK BEARS
02. THE COURT OF THE BEAST KING
03. MAHOROBA '99
04. RIPPLET
05. HURRICANE-Z
06. EUROPEAN RATS
07. VIOLET PAPILLON
08. MY FOOLISH HEART
09. ORBIT
10. JINGLE JANGLE JAM
11. THEME FROM “E.T.”
(パドルホイール/PADDLE WHEEL 1999年発売/KICP-695)
(ライナーノーツ/吉留大貴)
(ライナー・コミック/とり・みき)
(ライナーノーツ/吉留大貴)
(ライナー・コミック/とり・みき)