
フュージョンの老舗であるCTIの『FUSE』(以下『フューズ』)は,フュージョン・ブームの末期に発売された,フュージョン・ブームの再燃を狙った起死回生の企画盤である。
『フューズ』の収録曲【DOUBLE STEAL】がTDKの「ドル箱」TVCM曲として採用されたのも,そんな両者の思惑があったりなかったり…。
話のついでに脱線するが,俗に【DOUBLE STEAL】を「フュージョン・ブーム最後の名演」と呼ぶことに抵抗はないが,どうせだったら【GRAND PRIX】か【TAXI BLUES】のどちらかがTVCM曲として流されていたならフュージョン・ブームも延命していた,と管理人は信じている。
「フューズ・ワン」のメンバーは,テナー・サックスとソプラノ・サックスとフルートのジョー・ファレル,ギターのジョン・マクラフリン,ギターのラリー・コリエル,キーボードのロニー・フォスター,キーボードのドン・グルーシン,キーボードのジェレミー・ウォール,キーボードのホルヘ・ダルト,ピアノのヴィクター・フェルドマン,ハーモニカのヒュー・マクラッケン,ベースのスタンリー・クラーク,ベースのウィル・リー,ドラムのトニー・ウィリアムス,ドラムのレニー・ホワイト,ドラムのレオン・チャンクラー,パーカッションのポウリーニョ・ダ・コスタ,パーカッションのロジャー・スキーテロ ETC
『フューズ』の最高とは,上記クリード・テイラー人脈の超豪華スーパー・スター軍団の演奏の良さに秘密があるのか? それとも名曲ばかりの選曲の良さに秘密があるのか? いやいや,演奏とメロディーの相乗効果にある!で決まりでしょう。
『フューズ』はとにかく曲がいいアルバムなのだが「フューズ・ワン」の名手たちが,美メロをこれ以上ないハーモニーで表現しきっている。凄いんだけど聴き馴染みが本当に良い。頭の中でいつまでもリフレインする名曲&名演の決定版な1枚である。

ズバリ,裏『フューズ』批評の真実とは「フューズ・ワン・フィーチャリング・スタンリー・クラーク」であろう。
とにかくスタンリー・クラークのベースのバカテクこそが『フューズ』最大の聴き所であって,曲調にしてもベース・ソロのスペースにしても,言わば楽曲を構成する全ての要素がスタンリー・クラークのバカテクを中心に“お膳立てされている”で間違いない。
ここまであからさまに贔屓されているスタンリー・クラークのどの部分にクリード・テイラーがここまで魅了されたのかは不明であるが,クリード・テイラーの「心の声」は明らかである。
「ECMのマンフレート・アイヒャーとRTFのチック・コリアよ,スタンリー・クラークを横取りしやがって〜」。
01. GRAND PRIX
02. WATERSIDE
03. SUNSHINE LADY
04. TO WHOM ALL THINGS CONCERN
05. DOUBLE STEAL
06. FRIENDSHIP
07. TAXI BLUES
FUSE ONE
JOE FARRELL : Tenor Sax, Soprano Sax, Flute
JOHN McLAUGHLIN : Electric Guitar, Acoustic Guitar
LARRY CORYELL : Acoustic Guitar, Electric Guitar
RONNIE FOSTER : Fender Rhodes, Synthesizers
JEREMY WALL : Synthesizers, Electric Piano, Acoustic Piano
JORGE DALTO : Fender Rhodes
VIC FELDMAN : Acoustic Piano, Fender Rhodes
DON GRUSIN : Keyboards
STANLEY CLARKE : Bass, Tenor Bass
WILL LEE : Electric Bass
NDUGU LEON CHANCLE : Drums
LENNY WHITE : Drums
TONY WILLIAMS : Drums
PAULINHO DA COSTA : Percussion
ROGER SQUITERO : Percussion
HUGH McCRACKEN : Harmonica
(CTI/CTI 1980年発売/KICJ 2169)
(ライナーノーツ/中原仁)
(ライナーノーツ/中原仁)
使徒の活動9章 惜しみなく与えるドルカスの復活
PRISM 『PRESENT I』
コメント一覧 (2)
シルクやアイスが、フューズ ツーやスリーにならなかったのが不思議です。
フューズ・ワンですが元々はフューズで行きたかったのでしょうが,フューズ・ワンが定着してしまったのでそのままなのは芸名の使用と同じ理由なのでしょう。本当なら『シルク』はフューズ名義のフューズ・ツーだったのでしょうね。スタンリー・クラーク&フレンズにならなかっただけ良かったと思っています。
バンド名とアルバム名がクロスするパターンって結構あるように思います。
、わが祖国が変貌した「ウォーターサイド」が好きです。
シルクやアイスが、フューズ ツーやスリーにならなかったのが不思議です。