
その理由は2人共通の音楽スタイルにある。何を演っても「阿吽の呼吸」でジャストで合ってしまう感じ。
ズバリ,グラント・グリーンもビッグ・ジョン・パットンも,良い意味でも悪い意味でも持ち味は「くどさ」にある。
グラント・グリーンもビッグ・ジョン・パットンも,ひたすら気に入ったフレーズを繰り返すクセが凄い!
ビッグ・ジョン・パットンのオルガン・ジャズは,ギター控え目なホーン入りのアルバムが多いのだが『GOT A GOOD THING GOIN’』(以下『ガッタ・グッド・シング・ゴーイン』)は,ホーン抜きのグラント・グリーンの骨太ギターとビッグ・ジョン・パットンの分厚いオルガンとの「熱きせめぎ合い」がハイライト!
そんな絶好調のグラント・グリーンとビッグ・ジョン・パットンの“スカスカ”のバッキングの間隙を縫って,ホーンの代わりに参加したリチャード・ランドラムのパーカッションが炸裂している。
ここまで煽り立てられたが最期。ペンタトニック一発でシツコいフレーズ弾かせたら,どこまでも粘っこいフレーズを,イヤラシイぐらいに繰り返すギターとオルガン。狂喜一歩手前にしてブレーキなんか付いてないギターとオルガンの中毒性のあるロングトーンの丁々発止と「オーイェ〜」ぶりは推して知るべしである。
【THE YODEL】は,スイスのアルプスで何世紀にもわたって歌われてきた“ソウル・ヨーデル”のようであるし,マーヴィン・ゲイとサム・クックの軽快で爽やかなヒット曲も,うだるような熱気を帯びたソウル・ナンバーの高揚感で満ちている。
そうしてデューク・ピアソン大好きな管理人をして【AMANDA】は,デューク・ピアソンの『WAHOO』の名ヴァージョンよりも,ビッグ・ジョン・パットンが好き!

『ガッタ・グッド・シング・ゴーイン』は,リーダー・アルバムにとって代わるグラント・グリーン・ファンのマスト・アイテムな1枚に違いない。
『ガッタ・グッド・シング・ゴーイン』での,乗りに乗ったグラント・グリーンが最高でキレキレである。
いつも通り音数は少なく,ましてや早弾きしているわけではないのだが,グラント・グリーンの音の切り方が絶妙であって,珍しくギター・ソロにスピードを感じる。
いつもより前のめり気味,だけど中心は決して外さず揺るがず! グラント・グリーンの“GROOVE”にアゲアゲですぞ旦那さん!
01. THE YODEL
02. SOUL WOMAN
03. AIN'T THAT PECULIAR
04. THE SHAKE
05. AMANDA
(ブルーノート/BLUE NOTE 1966年発売/TOCJ-4229)
(ライナーノーツ/アラン・グラント,原田和典,市川正二)
(ライナーノーツ/アラン・グラント,原田和典,市川正二)