この記事は「スーパートリビア」の「グラミー賞 ジャズ部門」との連動記事です。
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
全員がレジェンドでマスターの集まりであった“実力派だからここまでできる”軽いセッション・アルバム『LIKE MINDS』とは全くベクトルが違う,ゲイリー・バートン&パット・メセニーの続編が『QUARTET LIVE』(以下『クァルテット・ライヴ』)。
『LIKE MINDS』とは何が違うのか? それこそパット・メセニーの立ち位置である。
『LIKE MINDS』では前へ前へと,俺が俺がと,周りの大人たちに認められて?主役を務めたパット・メセニーが見事に「一介のバンドマン」を務めている。ゆえにパット・メセニーが爆発しない『クァルテット・ライヴ』は,何だか平凡で期待外れで星4つ。
『LIKE MINDS』とはベクトルが異なる『クァルテット・ライヴ』の主役はあくまでもゲイリー・バートンのヴァイヴである。
無論,大半のファンのお目当てはゲイリー・バートン以上にパット・メセニーなのだから,
パット・メセニーが前に出てアドリブを弾く時間も多いのだが,それでもいつもとは雰囲気の違う「抑え目のギター」を弾いている。その意味でも『クァルテット・ライヴ』は「100%メセニー印」が押されていた『REUNION』とも違っている。
渋いぞ! 『クァルテット・ライヴ』で準主役を意識的に演じているパット・メセニーのサイド・ギター〜!
そう。長年のパット・メセニー・フリークにして『クァルテット・ライヴ』を聴いて,人生で初めてパット・メセニーに“いぶし銀”を感じてしまった。
リアルなパット・メセニーは管理人よりも随分年上だし“いぶし銀”の呼称が似合う年齢になったのだが,どうしてもECMでのデビュー時の印象が強くて,管理人の中でのパット・メセニーはいつまでたっても年を取らない,永遠の若者の象徴である。どうしてもボーダー・シャツにジーンズ姿,髪も長髪ボサボサで,でもヒッピーのような危うさなどない好青年。音楽少年。だから『クァルテット・ライヴ』での“イメチェン”に相当面喰ったのだが受け入れようと思っている。はい。
選曲を見渡す限り『クァルテット・ライヴ』の趣旨としては,何か新しいメロディーを産み出そう,ということではなく,昔の名曲を現代風にアレンジして「ねっ,いい音楽でしょ?」と再評価を促す感じ?
それくらいにパット・メセニーのギター・プレイはゲイリー・バートンの独特の世界観に今以って尊敬の念を抱いている感じ?
長らく「芸術指向」に走っていたパット・メセニーとしては,一番演奏しているのが楽しかったあの頃のゲイリー・バートンの胸を借りて「原点回帰」でリフレッシュする意味合いもあったと思う。言わばゲイリー・バートンの名曲を演奏することで,過去の失われた自分を取り戻す作業だったように思う。
それくらいに『クァルテット・ライヴ』直前のパット・メセニーは心身共に疲れていたように思う。音楽活動を休むのではなく走りながらの“癒し”が必要な時期だったと,長年のメセニー・ファンとしては感じていた。
そ・こ・で・ゲイリー・バートン師匠のお出ましである。ゲイリー・バートンのヴィブラフォンは本当にCOOLでHOT! 表面的には静かなのに内面では熱く燃え上がっている!
そう。高度な楽曲とアンサンブルで演者をも魅了する,ゲイリー・バートン・グループで演奏する行為こそが『THE WAY UP』後,燃え尽きて迷走しかけていたパット・メセニーにとって“最良の特効薬”になったと思う。
『クァルテット・ライヴ』で,ゲイリー・バートンの繊細なヴィブラフォンに絡み続け,エモーショナルかつ表情豊かな「抑え目のギター」でついつい自己主張してくるパット・メセニーのギターに「完全復活」を感じ取った自分が今となっては懐かしい。
1974〜1976年でのゲイリー・バートン・グループでの3枚のレコーディング。独立から14年後,1990年の『REUNION』〜1998年の『LIKE MINDS』と来て,2009年の『クァルテット・ライヴ』で3度目のリユニオンを果たしたゲイリー・バートン&パット・メセニーの師弟コンビ。
きっとゲイリー・バートンという人はパット・メセニーの精神状態をケアしようとしてわざわざ声を掛けている? 残念ですが(嬉しいのですが)現在絶好調のパット・メセニーからすると4度目のリユニオンは必要ないのかもしませんねっ。
01. Sea Journey
02. Olhos de Gato
03. Falling Grace
04. Coral
05. Walter L
06. B and G (Midwestern Night's Dream)
07. Missouri Uncompromised
08. Fleurette Africaine (Little African Flower)
09. Hullo, Bolinas
10. Syndrome
11. Question and Answer
GARY BURTON : Vibraphone
PAT METHENY : Guitar
STEVE SWALLOW : Bass
ANTONIO SANCHEZ : Drums
「神への恐れのうちに神聖さを完成」する(コ二6:11-7:16)
和泉宏隆 『A RETURN OF SAGA』
「スーパートリビア」の記事で記したように,CD購入済の「グラミー・受賞作」(または「グラミー・ノミネート作」)の“お祝いレビュー”(あるいは“残念レビュー”)をUPいたします。
それで読者の皆さん,お断り&再確認しておきますが,レビューするのは既に所有済のCDだけですから〜。追加購入はしませんから〜。
Category 48 - Best Jazz Instrumental Album, Individual or Group ; Quartet Live / Gary Burton, Pat Metheny, Steve Swallow & Antonio Sanchez

『LIKE MINDS』とは何が違うのか? それこそパット・メセニーの立ち位置である。
『LIKE MINDS』では前へ前へと,俺が俺がと,周りの大人たちに認められて?主役を務めたパット・メセニーが見事に「一介のバンドマン」を務めている。ゆえにパット・メセニーが爆発しない『クァルテット・ライヴ』は,何だか平凡で期待外れで星4つ。
『LIKE MINDS』とはベクトルが異なる『クァルテット・ライヴ』の主役はあくまでもゲイリー・バートンのヴァイヴである。
無論,大半のファンのお目当てはゲイリー・バートン以上にパット・メセニーなのだから,
パット・メセニーが前に出てアドリブを弾く時間も多いのだが,それでもいつもとは雰囲気の違う「抑え目のギター」を弾いている。その意味でも『クァルテット・ライヴ』は「100%メセニー印」が押されていた『REUNION』とも違っている。
渋いぞ! 『クァルテット・ライヴ』で準主役を意識的に演じているパット・メセニーのサイド・ギター〜!
そう。長年のパット・メセニー・フリークにして『クァルテット・ライヴ』を聴いて,人生で初めてパット・メセニーに“いぶし銀”を感じてしまった。
リアルなパット・メセニーは管理人よりも随分年上だし“いぶし銀”の呼称が似合う年齢になったのだが,どうしてもECMでのデビュー時の印象が強くて,管理人の中でのパット・メセニーはいつまでたっても年を取らない,永遠の若者の象徴である。どうしてもボーダー・シャツにジーンズ姿,髪も長髪ボサボサで,でもヒッピーのような危うさなどない好青年。音楽少年。だから『クァルテット・ライヴ』での“イメチェン”に相当面喰ったのだが受け入れようと思っている。はい。
選曲を見渡す限り『クァルテット・ライヴ』の趣旨としては,何か新しいメロディーを産み出そう,ということではなく,昔の名曲を現代風にアレンジして「ねっ,いい音楽でしょ?」と再評価を促す感じ?
それくらいにパット・メセニーのギター・プレイはゲイリー・バートンの独特の世界観に今以って尊敬の念を抱いている感じ?
長らく「芸術指向」に走っていたパット・メセニーとしては,一番演奏しているのが楽しかったあの頃のゲイリー・バートンの胸を借りて「原点回帰」でリフレッシュする意味合いもあったと思う。言わばゲイリー・バートンの名曲を演奏することで,過去の失われた自分を取り戻す作業だったように思う。
それくらいに『クァルテット・ライヴ』直前のパット・メセニーは心身共に疲れていたように思う。音楽活動を休むのではなく走りながらの“癒し”が必要な時期だったと,長年のメセニー・ファンとしては感じていた。

そう。高度な楽曲とアンサンブルで演者をも魅了する,ゲイリー・バートン・グループで演奏する行為こそが『THE WAY UP』後,燃え尽きて迷走しかけていたパット・メセニーにとって“最良の特効薬”になったと思う。
『クァルテット・ライヴ』で,ゲイリー・バートンの繊細なヴィブラフォンに絡み続け,エモーショナルかつ表情豊かな「抑え目のギター」でついつい自己主張してくるパット・メセニーのギターに「完全復活」を感じ取った自分が今となっては懐かしい。
1974〜1976年でのゲイリー・バートン・グループでの3枚のレコーディング。独立から14年後,1990年の『REUNION』〜1998年の『LIKE MINDS』と来て,2009年の『クァルテット・ライヴ』で3度目のリユニオンを果たしたゲイリー・バートン&パット・メセニーの師弟コンビ。
きっとゲイリー・バートンという人はパット・メセニーの精神状態をケアしようとしてわざわざ声を掛けている? 残念ですが(嬉しいのですが)現在絶好調のパット・メセニーからすると4度目のリユニオンは必要ないのかもしませんねっ。
01. Sea Journey
02. Olhos de Gato
03. Falling Grace
04. Coral
05. Walter L
06. B and G (Midwestern Night's Dream)
07. Missouri Uncompromised
08. Fleurette Africaine (Little African Flower)
09. Hullo, Bolinas
10. Syndrome
11. Question and Answer
GARY BURTON : Vibraphone
PAT METHENY : Guitar
STEVE SWALLOW : Bass
ANTONIO SANCHEZ : Drums
(コンコード/CONCORD 2009年発売/UCCO-1075)
(ライナーノーツ/ゲイリー・バートン,パット・メセニー,スティーヴ・スワロウ,アントニオ・サンチェス,成田正)
(ライナーノーツ/ゲイリー・バートン,パット・メセニー,スティーヴ・スワロウ,アントニオ・サンチェス,成田正)
「神への恐れのうちに神聖さを完成」する(コ二6:11-7:16)
和泉宏隆 『A RETURN OF SAGA』