QUARTET LIVE-1 全員がレジェンドでマスターの集まりである“実力派だからここまでできる”軽いセッション・アルバム『LIKE MINDS』とは全く違う,ゲイリー・バートンパット・メセニーの続編が『QUARTET LIVE』(以下『クァルテット・ライヴ』)。

 『LIKE MINDS』とは何が違うかって? それこそパット・メセニーの立ち位置である。『LIKE MINDS』では前へ前へと,俺が俺がと,周りの大人たちに認められて?主役を務めたパット・メセニーが見事に「一介のバンドマン」を務めている。

 そう。『クァルテット・ライヴ』の主役はあくまでもゲイリー・バートンであり,パット・メセニーはサイドメンとして,得意とするライブ演奏にも関わらず「抑え目のギター」を弾いている。
 その意味でも100%“パット・メセニー印”であった『REUNION』とも違っている。うん。渋いぞ,メセニー〜!

 選曲を見渡す限り『クァルテット・ライヴ』の趣旨としては,何か新しいメロディーを産み出そう,ということではなく,昔の名曲を現代風にアレンジして「ねっ,いい音楽でしょ?」と再評価を促す感じ?
 それくらいにパット・メセニーギター・プレイはゲイリー・バートンの独特の世界観に今以って尊敬の念を抱いている感じ?

 長らく「芸術指向」に走っていたパット・メセニーとしては,一番演奏しているのが楽しかったあの頃のゲイリー・バートンの胸を借りて「原点回帰」でリフレッシュする意味合いもあったと思う。
 ゲイリー・バートンの名曲を演奏することで,過去の失われた自分を取り戻す作業だったように思う。

 それくらいに『クァルテット・ライヴ』前のパット・メセニーは疲れていたと思う。休むのではなく走りながらの“癒し”が必要な時期だったと,長年のメセニー・ファンとしては感じていた。

 そ・こ・で・ゲイリー・バートン師匠のお出ましである。ゲイリー・バートンヴィブラフォンは本当にCOOLでHOT! 表面的には静かなのに内面では熱く燃え上がっている!
 そう。高度な楽曲とアンサンブルで演者をも魅了する,ゲイリー・バートン・グループで演奏する行為こそが『THE WAY UP』後,燃え尽きて迷走しかけていたパット・メセニーにとって“最良の特効薬”となったと思う。

QUARTET LIVE-2 『クァルテット・ライヴ』で,ゲイリー・バートンの繊細なヴィブラフォンに,エモーショナルかつ表情豊かな「抑え目のギター」で絡み続けるパット・メセニーに“完全復活”を感じた自分が今となっては懐かしい。

 1974〜1976年でのゲイリー・バートン・グループでの3枚のレコーディング。独立から14年後,1990年の『REUNION』〜1998年の『LIKE MINDS』と来て,2009年の『クァルテット・ライヴ』で3度目のリユニオンを果たしたゲイリー・バートンパット・メセニーの名コンビ。

 『クァルテット・ライヴ』から約10年。そろそろ4度目のリユニオンの時期でしょうか?

  01. Sea Journey
  02. Olhos de Gato
  03. Falling Grace
  04. Coral
  05. Walter L
  06. B and G (Midwestern Night's Dream)
  07. Missouri Uncompromised
  08. Fleurette Africaine (Little African Flower)
  09. Hullo, Bolinas
  10. Syndrome
  11. Question and Answer

(コンコード/CONCORD 2009年発売/UCCO-1075)
(ライナーノーツ/ゲイリー・バートン,パット・メセニー,スティーヴ・スワロウ,アントニオ・サンチェス,成田正)

人気ブログランキング − 音楽(ジャズ)