
それが「日野皓正=菊地雅章オクテット」改め「東風」名義での『WISHES』(以下『ウィッシズ』)である。
「東風」とは,キーボードと琵琶の菊地雅章,トランペットとパーカッションの日野皓正,ソプラノ・サックスとフルートのデイヴ・リーブマン,テナー・サックスとソプラノ・サックスのスティーヴ・グロスマン,ギターのレジー・ルーカス,ベースのアンソニー・ジャクソン,ドラムのアル・フォスター,パーカッションのエムトゥーメの面々。
『アガパン』の数年前の布陣である。1976年のマイルス・デイビスは6年にも渡る引退生活の真っ只中。『イン・ア・サイレント・ウェイ』『ビッチェズ・ブリュー』『アット・フィルモア』『ライヴ・イヴィル』『オン・ザ・コーナー』『ゲット・アップ・ウイズ・イット』『アガルタ』『パンゲア』ETC
マイルス・デイビスの新作がでなくても,上記のどれか1枚があれば「一生事足りる」級の名盤がザックザク。誰も菊地雅章に,引退中のマイルス・デイビスの代わりを務めろ,なんて言っていない。
そのことを菊地雅章は誰よりも分かっている。後の『SUSUTO』にしても『ONE WAY TRAVELLER』にしてもプーさんなりの“電化マイルス”を演ったわけではなかったのだ。
そう。菊地雅章が手掛けた「擬似・電化マイルス」作『ウィッシズ』は,マイルス・デイビスが追い求めていたのと同じゴールを,マイルス・デイビスとは全く別のアプローチで追い求めてみせた実験作。
マイルス・デイビスのロック&ファンク的なアイディアにはまだまだ手の付けられていない領域がある。可能性が広がっている。

アンソニー・ジャクソンのベース・ラインが最高である。どうしてマイルス・デイビスはアンソニー・ジャクソンを自分のバンドで起用しなかったのだろう。
『ウィッシズ』と来れば,アルバム冒頭の菊地雅章が演奏する“雅楽そのまんま”が有名なのだけれど,個人的にはその続く部分である。
【オーロラル・フレアー:パート2】でのインプロヴィゼーション・ジャズ・ファンク! アンソニー・ジャクソンの柔軟なベース・ラインが脳裏の「奥の奥まで」突き刺さる!
管理人は『ウィッシズ』が大好き。そして恐らくはマイルス・デイビスも『ウィッシズ』が大好き。
『ウィッシズ』での大名演があったから1978年のプーさんとマイルス・デイビスとのレコーディング・セッションが実現したのかな?
01. AURORAL FLARE; PART 1 (BASED ON GAGAKU−"HYOJO:KANSHU")〜AURORAL FLARE; PART 2
02. CARIBBEAN BLUE
03. LA MOCA ESTA DORMINDO
04. PACIFIC HUSHES
05. ELECTRIC EPHEMERON
06. ALONE
KOCHI
MASABUMI KIKUCHI : Acoustic Piano, Fender Rhodes, Electric Piano, Yamaha YC-45D Organ, ARP Odyssey Synthesizer, Korg Synthe-Bass, Biwa
TERUMASA HINO : Trumpet, Percussion
STEVE GROSSMAN : Soprano Saxophone, Tenor Saxophone
DAVE LIEBMAN : Soprano Saxophone, G Flute
REGGIE LUCAS : Electric Guitar
ANTHONY JACKSON : Electric Bass
AL FOSTER : Drums
M'TUME : Conga Drums
(イースト・ウィンド/EAST WIND 1976年発売/PHCE-2039)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/児山紀芳)
形勢は逆転する(エス6:1-7:10)
秋吉敏子=ルー・タバキンビッグバンド 『花魁譚』