
そう。『ボサ・ノヴァ・バッカナル』とは,ボサノヴァ・アルバムではなく純粋なジャズ・アルバムなのである。
チャーリー・ラウズがボサノヴァを題材として選んだのは,メロディー・ラインやベース・ライン,そしてコード進行がアドリブで崩してみるのに面白いと感じていたからである。
ピアノレスで例のツイン・ギターの「乾いた」バチーダが鳴っているので,フォーマットとしては完全なるボサノヴァ集の形であるが,コマーシャルに走った部分もなく,逆にアーティスティックで実験作の印象が残るし,アルバム全編でリズミカルなフレーズが次々に飛び出してくるので,こんなジャズ・アルバムをBGMとして聞き流すことなどできやしない。完全に「拝聴」姿勢のアルバムである。
チャーリー・ラウズと来れば,長らくセロニアス・モンクのバンドのフロントマンとして活躍したテナー・サックス・プレイヤー。
あの超個性的なセロニアス・モンクのピアノを邪魔せず,それでいて「モンクス・ミュージック」の世界の成立に欠かすことのできないテナー・サックス・プレイヤー。

アルフレット・ライオンの意向を汲んだチャーリー・ラウズがブルーノートらしいテナー・サックスを吹いている。
そう。『ボサ・ノヴァ・バッカナル』は,やっぱりブルーノートのジャズ・アルバムなのである。アルフレット・ライオンのジャズ・アルバムなのである。
01. BACK TO THE TROPICS
02. ACONTECEU
03. VELHOS TEMPOS
04. SAMBA DE ORFEU
05. UN DIA
06. MECI BON DIEU
07. IN MARTINIQUE
(ブルーノート/BLUE NOTE 1963年発売/TOCJ-4119)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,藤田邦一)
(ライナーノーツ/レナード・フェザー,上条直之,藤田邦一)