31-1 カシオペアからの神保彰櫻井哲夫が脱退した時のような無力感に襲われた。あの時,これからどうやってカシオペアと接していけばよいかが分からなくなった。カシオペアこそが,管理人の「ヒーロー」だったのだから…。

 バンドたるもの。メンバー・チェンジがいつかは必らず訪れる。あの鉄壁の4人組=カシオペアの分裂を目の当たりにして「理想と現実」について学ばされたように思っている。
 その後もメンバー・チェンジのニュースが次々と飛び込んで来たが,大好きな本田雅人スクェア脱退のショックさえも乗り越えてきた。管理人は「雨に濡れながら大人になって」きたのだ(by 山下達郎【さよなら夏の日】)。

 しか〜し,超久々に大ショック。世間的には不謹慎極まりないのを承知で,ここは敢えて比較として書いておく。本年,実の父を亡くしたのだが(父の命はGW前までと宣告されていたため心の準備は出来ていた)それ以上の大ショックだった。
 それこそが,大好きなDIMENSIONキーボード・プレイヤー=小野塚晃の脱退であった。

 『30』から『31』のリリースまで2年半。年に1枚以上のハイペースで新作を作り続けてきたDIMENSIONとしては異例の事だった。内部で何かが起きていることは容易に想像できた。管理人はてっきりソロ活動を加速させた勝田一樹に原因があると読んでいた。それがまさかの小野塚晃…。

 カシオペアの場合はジンサクの「以前以後」で割り切った。第2期の暗黒期には見放してみた。
 本田雅人の場合は本田雅人ソロ活動を追えばいい。却って伊東たけし復帰後のスクェアのメロディーが大好きだから「一挙両得」であった。

 ただし今回はダメ。小野塚晃の脱退は絶対にダメ。DIMENSIONこそが,大人となった管理人のアイドルの一番手だった。
 浮き沈みのあるカシオペアスクェアとは異なり,DIMENSIONは20年前と10年前と2年前との変化を純粋に測ることのできる「指標」のようなフュージョン・バンドであった。
 則ち,J−フュージョンの変化を,時代の変化を,音楽の流行を,メンバー3人の心境の変化を,一番体感できたのがDIMENSIONであった。「盤石な」DIMENSION王国の崩壊により,もはや「安定」という言葉が死語になる。

 それ以上に小野塚晃の脱退が絶対にダメな理由はサウンド面。小野塚晃の別名とは「DIMENSIONの頭脳」。
 増崎孝司勝田一樹小野塚晃の「完璧なトライアングル」とは演奏面に限ってのことであって,DIMENSIONサウンドの骨格は小野塚晃抜きには成り立たない。
 恐らくは,増崎孝司勝田一樹の2人だけではDIMENSIONの活動は長くはもたない。これならいっそ解散してくれた方が…。

 実に長い,曇りの日々が続いていた。4ヶ月間かかってやっと曇りが晴れた。無論,快晴ではない。でもとにかくホッとしたのだ。最悪の内容も覚悟していた。予想以上にまとまっている。新生DIMENSIONの“上々の船出”に拍手喝采である。

 DIMENSIONが完全に若返っている。DIMENSIONは“超絶技巧”で名を馳せてきたバンドであるが,特に『26』以降は壮大系で難解系なアーティスト・グループの色が濃くなっていた。きっと小野塚さんの好みだったのだろう。
 そんな小野塚さんがいなくなって,直感のイメージとしては『21』とか『23』の頃のサウンドを彷彿とさせてくれた。あの直線的でパワー系でメロディアスなDIMENSION! 『31』はいい曲ばかり!

 以前から情報がダダ洩れで,誰の曲かは大体察しがついていたのだが,二人体制のDIMENSIONになって,再び作曲者名がクレジットされるようになった。
 どうやら管理人。自分では気付いていなかっただけで増崎孝司小野塚晃以上に勝田一樹のメロディー・ラインが好きだったことが判明。勝田一樹は「とっておきのいい曲」を自分のソロのためではなくDIMENSIONのために提供し続けてきたことが判明。勝田一樹は“男”であります。

31-2 そういうことで小野塚さん,本当にお疲れ様でした。ラストの2年間,苦しみを抱えながらも,それをおくびにも出さず,全部のツアーを全力で盛り上げてくださったことに心から感謝いたします。

 そしてマスヤンカツオにも心から感謝いたします。大きくなりすぎたDIMENSIONの看板を2人で背負い続けることをよくぞ決断してくれました。
 それから安部潤さん。小野塚さんの後釜はあなたにしか務まりません。これからは則竹さんばりに末永いサポートをお願いできれば幸いです。

 『31』を聴いて管理人が思うこと。DIMENSIONって,増崎孝司勝田一樹小野塚晃が前面に出たバンドだとばかり思っていたが,実はそうではなかった。
 そう。DIMENSIONって,ギターサックスキーボードが前面に出たバンドであった。

 『31』の新生DIMENSIONがいいですねっ。小野塚晃の脱退を感じさせないくらいに,安部潤キーボードをフィーチャリングしているところが最高に好きッス!

 
01. Soul Jam
02. Loop
03. Change The Game
04. ZEBRA
05. Up From The Skies
06. Just For Now
07. Destination
08. Brand New Emotion
09. Silver Shell
10. Are You Ready?

 
DIMENSION
TAKASHI MASUZAKI : Guitar
KAZUKI KATSUTA : Saxophone

GUEST MUSICIANS
JUN ABE : Keyboard, Synthesizer, Programming
KOHSUKE OSHIMA : Keyboard, Synthesizer, Programming
HIROYUKI NORITAKE : Drums
TEPPEI KAWASAKI : Bass
RYOSUKE NIKAMOTO : Bass

(ザイン/ZAIN RECORDS 2020年発売/ZACL-9117)
(☆BLU−SPEC CD2仕様)
(☆スリップ・ケース仕様)

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