ブラッド・メルドーを聴かなくなったのは,一体いつ頃のことだろう。
あっ,正確には聴かなくなったのではなく,パタリとニュー・アルバムを買わなくなってしまった。
理由は単純である。ブラッド・メルドーがジャズを演奏しなくなってしまった。
2010年代に入ってからのブラッド・メルドーは,やれヴォーカル・アルバム,やれクラシック・アルバム,やれコラボレーション企画の大連発!
かろうじてソロ・アルバムのリリースは続いていたが,ベースのラリー・グレナディアとドラムのジェフ・バラードと組んだブラッド・メルドー・トリオ名義での活動は実質的にSTOPしてしまった。
『BLUES AND BALLADS』(以下『ブルース・アンド・バラッド』)は,ブラッド・メルドー・トリオ名義として実に3年半ぶりとなる新作である。
管理人はブラッド・メルドー・トリオの音に“飢えていた”のだと思う。ブラッド・メルドーのサイケなピアノが体内の渇きを癒してくれる。『ブルース・アンド・バラッド』のピアノが,ベースが,ドラムが瑞々しい。
『ブルース・アンド・バラッド』の特長とは,ブルースとバラードを題材とした有名曲のカバー・アルバム。だから管理人の性格を知っている方は分かるはずだが『ブルース・アンド・バラッド』も連発しているコンセプト・アルバムの流れっぽくて,初めはスルーしようかと思ったのだが,普通に有名曲を弾くブラッド・メルドーに『ANYTHING GOES』や『DAY IS DONE』路線の再現を連想した…。
この狙いが大当たり! ブラッド・メルドーが“流し”のジャズ・ピアニストとしてビンビンである。特にハマルのがジェフ・バラードのドラミングである。超絶のドラミングが,メロディーのツボを押さえリズムのツボを抑えている。素晴らしい。
“主役”であるブラッド・メルドーの“天才”の業が浮いていない。美メロと融合するためのアイディアが『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』以上に良くできているのが,積み重ねてきた経験の成せる業である。
つまり,管理人としては『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』以上の“傑作”として認定できる。普通に聴いているだけでジャズ・ピアノの良さを味わうことができる名盤だと思う。
そう。ブラッド・メルドー・トリオの上級向けで,複雑なことを簡単にやってのけてしまうテクニカルな演奏を楽しむと言うよりも,淡い表現力で勝負する感じの慈しみ深い演奏に身も心がまどろんでしまう。
あのラリー・グレナディアとあのジェフ・バラードさえも,静かにリズム・キープすることに集中しながら,曲の盛り上がりと共に自分をちょっと出す感じ。
管理人の結論。『ブルース・アンド・バラッド』批評。
『ブルース・アンド・バラッド』は,斬新さを“売り”にしてきたブラッド・メルドー・トリオの特徴的な不思議な音がほとんど鳴らない,大人の「王道」ジャズ・アルバム。
名曲の良さを再確認しながら,名曲の甘さに酔いしれた,シンプルで優しい展開の演奏が気持ち良い。実に「さっぱり」とした清々しい演奏集である。
ブラッド・メルドー・トリオが『ブルース・アンド・バラッド』で「円熟期」に入ってきた。
01. Since I Fell for You
02. I Concentrate on You
03. Little Person
04. Cheryl
05. These Foolish Things (Remind Me of You)
06. And I Love Her
07. My Valentine
BRAD MEHLDAU : Piano
LARRY GRENADIER : Bass
JEFF BALLARD : Drums
あっ,正確には聴かなくなったのではなく,パタリとニュー・アルバムを買わなくなってしまった。
理由は単純である。ブラッド・メルドーがジャズを演奏しなくなってしまった。
2010年代に入ってからのブラッド・メルドーは,やれヴォーカル・アルバム,やれクラシック・アルバム,やれコラボレーション企画の大連発!
かろうじてソロ・アルバムのリリースは続いていたが,ベースのラリー・グレナディアとドラムのジェフ・バラードと組んだブラッド・メルドー・トリオ名義での活動は実質的にSTOPしてしまった。
『BLUES AND BALLADS』(以下『ブルース・アンド・バラッド』)は,ブラッド・メルドー・トリオ名義として実に3年半ぶりとなる新作である。
管理人はブラッド・メルドー・トリオの音に“飢えていた”のだと思う。ブラッド・メルドーのサイケなピアノが体内の渇きを癒してくれる。『ブルース・アンド・バラッド』のピアノが,ベースが,ドラムが瑞々しい。
『ブルース・アンド・バラッド』の特長とは,ブルースとバラードを題材とした有名曲のカバー・アルバム。だから管理人の性格を知っている方は分かるはずだが『ブルース・アンド・バラッド』も連発しているコンセプト・アルバムの流れっぽくて,初めはスルーしようかと思ったのだが,普通に有名曲を弾くブラッド・メルドーに『ANYTHING GOES』や『DAY IS DONE』路線の再現を連想した…。
この狙いが大当たり! ブラッド・メルドーが“流し”のジャズ・ピアニストとしてビンビンである。特にハマルのがジェフ・バラードのドラミングである。超絶のドラミングが,メロディーのツボを押さえリズムのツボを抑えている。素晴らしい。
“主役”であるブラッド・メルドーの“天才”の業が浮いていない。美メロと融合するためのアイディアが『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』以上に良くできているのが,積み重ねてきた経験の成せる業である。
つまり,管理人としては『ANYTHING GOES』『DAY IS DONE』以上の“傑作”として認定できる。普通に聴いているだけでジャズ・ピアノの良さを味わうことができる名盤だと思う。
そう。ブラッド・メルドー・トリオの上級向けで,複雑なことを簡単にやってのけてしまうテクニカルな演奏を楽しむと言うよりも,淡い表現力で勝負する感じの慈しみ深い演奏に身も心がまどろんでしまう。
あのラリー・グレナディアとあのジェフ・バラードさえも,静かにリズム・キープすることに集中しながら,曲の盛り上がりと共に自分をちょっと出す感じ。
管理人の結論。『ブルース・アンド・バラッド』批評。
『ブルース・アンド・バラッド』は,斬新さを“売り”にしてきたブラッド・メルドー・トリオの特徴的な不思議な音がほとんど鳴らない,大人の「王道」ジャズ・アルバム。
名曲の良さを再確認しながら,名曲の甘さに酔いしれた,シンプルで優しい展開の演奏が気持ち良い。実に「さっぱり」とした清々しい演奏集である。
ブラッド・メルドー・トリオが『ブルース・アンド・バラッド』で「円熟期」に入ってきた。
01. Since I Fell for You
02. I Concentrate on You
03. Little Person
04. Cheryl
05. These Foolish Things (Remind Me of You)
06. And I Love Her
07. My Valentine
BRAD MEHLDAU : Piano
LARRY GRENADIER : Bass
JEFF BALLARD : Drums
(ノンサッチ/NONESUCH 2016年発売/WPCR-17274)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/柳樂光隆)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/柳樂光隆)