
だから管理人が『バード・オブ・パッセージ』の“最高”について語ろうと思うと,いつでも『バード・オブ・パッセージ』単体の話から反れて,渡辺貞夫のセルフ・セレクテッド盤の話になってしまう。今回もご勘弁いただきたい。
そう。『バード・オブ・パッセージ』の“最高”とは『SELECTED』の中にある!
渡辺貞夫の代表曲を選ぶのは至極困難な作業であるが,世間的には【マイ・ディア・ライフ】【カリフォルニア・シャワー】【オレンジ・エクスプレス】【ランデブー】といったヒット曲に落ち着くと思う。
その4曲が漏れることなく入っている『SELECTED』の全15曲中『バード・オブ・パッセージ』から3曲もランクインしているのだ。どうですかっ!
しかも『バード・オブ・パッセージ』の1曲目【ラウンド・トリップ】〜2曲目【パストラル】〜3曲目【サルヴァドール】が『SELECTED』では8曲目【ラウンド・トリップ】〜9曲目【パストラル】〜10曲目【サルヴァドール】と曲順通りにそのまんま入っている。
そう。『SELECTED』の中盤は完全なる『バード・オブ・パッセージ』のショータイム!
この印象が余りにも強すぎて『バード・オブ・パッセージ』のアルバム名を聞くと『バード・オブ・パッセージ』単体ではなく『SELECTED』の「黄金の中盤」の方を先にイメージしてしまう。我ながら困ったものだ。
渡辺貞夫の『BIRD OF〜』と来れば『BIRD OF PASSAGE』ではなく,ハンク・ジョーンズのグレイト・ジャズ・トリオと共演した『BIRD OF PARADISE』の方が先に来てしまうし…。

だから総合力では落ちるのかなぁ。個人的にナベサダの代表作は?と聞かれたら『バード・オブ・パッセージ』はとっさに出て来ない。ゆっくりとディスコグラフィーを見回す時間があれば「BEST5」入りする名盤なのにねぇ。
おおっと,こんな口調で書いていると,読者の皆さんにセラビーは本当に『バード・オブ・パッセージ』を「BEST5」入りすると考えているのか?と疑われてしまいそう?
ハッキリと書く。『バード・オブ・パッセージ』は,イエロージャケッツとカリズマとコイノニアの合体バンド+ジョージ・デュークがナベサダのバックを務めるLAフュージョンのいいとこどり〜。
ナベサダの個人的な好みが管理人の個人的な好みと一致した素晴らしい音楽。それが『バード・オブ・パッセージ』「BEST5」入りの確かな根拠なのである。
01. ROUND TRIP
02. PASTORAL
03. SALVADOR
04. JUST A TOUCH
05. BURUNG BURUNG "BIRDS"
06. BIRDS OF PASSAGE
07. CHASER
08. TANZA NIGHT
SADAO WATANABE : Saxophone, Background Vacal
GEORGE DUKE : Synclavier
RUSSELL FERRANTE : Keyboards
DAN HUFF : Guitar
PAUL JACKSON JR. : Guitar
ABRAHAM LABORIEL : Bass
VINNIE COLAIUTA : Drums
CARLOS VEGA : Drums
JOHN ROBINSON : Drums
ALEX ACUNA : Percussion, Background Vacal
HUBERT LAWS : Flute
FREDDIE HUBBARD : Flugel Horn
PAULINHO DA COSTA : Percussion, Background Vacal
CARL CARWELL : Background Vacal
MARIA LEPORACE : Background Vacal
LYNN DAVIS : Background Vacal
ALEXANDRIA : Background Vacal
DIANA ACUNA : Background Vacal
REGINA ACUNA : Background Vacal
DANIEL ACUNA : Background Vacal
PETSYE POWELL : Background Vacal
JIMMY HASLIP : Background Vacal
(エレクトラ/ELEKTRA 1987年発売/32XD-810)
コメント一覧 (2)
後にランディ クロフォードが歌った〈JUST A TOUCH〉もめちゃくちゃ最高なのですが、あえて今作ではボーカル曲なしで勝負しているところにひかれています。
やはり「地味にとらえられがちです」が,ナベサダ・ファンの共通認識なのですね。でもKANAさんも認める「エレクトラ期の傑作」です。ナベサダとバブルは直接は無関係ですが80年代から90年代のナベサダのゴージャスで,でも実に紳士な音楽が本当に大好きです。
この辺のアルバムはセールスが良かろうが悪かろうが無関係にコマーシャルなジャズを追及したナベサダの夢が形になった名盤群。その中でも頭一つ抜け出ている『BIRD OF PASSAGE』は一生付き合っていくように思っています。