多くの人にとってビル・エヴァンスと来れば,この辺のブラコン路線でクラブ・ジャズ路線でスムーズ・ジャズ路線のビル・エヴァンスをイメージするのではなかろうか?
セールス的にはビル・エヴァンスのアルバムで一番売れているのが『PUSH』(以下『プッシュ』)であり「ビル・エヴァンス&プッシュ」名義の一連のアルバムである。
だから残念でしょうがない。こんなにも才能あるサックス奏者が“色眼鏡”で見られ続けることに我慢ならない。
『プッシュ』の中のビル・エヴァンスは,ジャズ/フュージョン界を「ブイブイ言わせた」ビル・エヴァンスとは別人のビル・エヴァンス。
『プッシュ』が売れ続けることはビル・エヴァンスにとってマイナスである。ビル・エヴァンスにとって大損失なのである。
駄盤『プッシュ』のおかげでビル・エヴァンスの“過去の栄光”は地に落ちてしまった。
あのマイルス・デイビスが復帰の際に伴なったサックス奏者がビル・エヴァンスであった。あのジョン・マクラフリンがマハヴィシュヌ・オーケストラの再結成の際に伴なったサックス奏者がビル・エヴァンスなのであった。
独立後のビル・エヴァンスも順調そのものであって,同世代のマイケル・ブレッカー,ボブ・バーグ,ケニー・ギャレットと共に,若手・中堅にしてすでに大物集団の一人に数えられるジャズ・サックス・プレイヤーがビル・エヴァンス。
ビル・エヴァンスのソロ・アルバムの共演者のクレジットを見れば,ビル・エヴァンスの格の凄さが理解できる。
『プッシュ』にしても共演者は超大物がズラリ。ビル・エヴァンスの元に,ピアノのボブ・ジェイムス,キーボードのフィリップ・セス,ピアノのボブ・ジェームス,ギターのチャック・ローブとニック・モロック,ベースのクリス・ミン・ドーキーとマーカス・ミラーとビクター・ベイリーとマーク・イーガン,トランペットのクリス・ボッティが集まっている。なのにどうして〜。
『プッシュ』の失敗は多分にドラマー不在にある。ダン・ゴットリーブやデニス・チェンバースを「はべらせてきた」ビル・エヴァンスが『プッシュ』では打ち込みを選択した。
「ビル・エヴァンス&プッシュ」が追求したのは最先端のダンス・ミュージックである。だから打ち込みという選択は間違いではない。ただしこれでは相棒となる強力なベーシストの良さが生かされない。加えてアルバムの音造りがギター寄りなのも強力ベーシスト陣の良さを消している。
『プッシュ』以降,バンド・サウンドで勝負するようになるのが不思議なくらいに,カラオケをバックにビル・エヴァンス1人だけが饒舌な感じ? あっ,ビル・エヴァンスが気持ちいいからこの路線なんだよね〜。
管理人の結論。『プッシュ』批評。
ラップが躍動する「トンガリ」系のクラブ・サウンド『プッシュ』は,打ち込みに打ち勝つ!?名手揃いのベーシストに引き戻されたおかげで,いいか悪いか「聞き心地の良いスムーズ・ジャズ」として着地している。踊れないわ,聴けないわ,で聞き流す価値しかなくなっている。
普通に吹いていても“お洒落系”ジャズ・サックスのビル・エヴァンスが,全身お洒落コーデしてどうする!?
01. PUSH
02. ROAD TO RUIN
03. IF ONLY IN YOUR DREAMS
04. LONDON HOUSE
05. NIGHTWING
06. STAND UP AND DO SOMETHING
07. THE HOBO
08. YOU GOTTA BELIEVE
09. LIFE IS DANGEROUS
10. U R WHAT U HEAR
11. A SIMPLE LIFE
12. MATTER OF TIME
13. PUSH (CLUB MIX)
BILL EVANS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Keybpards, Rhodes, Piano, Background Vocals, Drum Loops
CLIFORD CARTER : Keybpards, Drum Loops
PHILIPPE SAISSE : Keyboards
BOB JAMES : Piano, 3 Wood
BRUCE HORNSBY : Piano
CHUCK LOEB : Acoustic Guitar, Electric Guitar
JEFF GOLUB : Acoustic Guitar, Electric Guitar
NICK MOROCH : Guitar
CHRIS MING DOKY : Acoustic Bass
MARCUS MILLER : Bass
VICTOR BAILEY : Bass
MARK EGAN : Bass
BILY WARD : Drums
MAX RISENHOOVER : Bass, Drums, Screech Guitar, Percussion Sequencing
JIMMY BRALOWER : Drum Programming
MICHAEL COLINA : Drum Programming
MICHAEL DAVIS : Trombone
CHRIS BOTTI : Trumpet
K C FLIGHT : Rap, Drum Programming
BLACKSTAR : Rap
HARD HITTIN HARRY : Chorus
K-LA : Chorus
LITTLE ELI : Chorus
PORTER CARROLL JR. : Background Vocals
WARREN SHARPE : Background Vocals
KC AND BLACK STAR : Background Vocals
NANCY ADLER : Background Vocals
MARGO ADLER : Background Vocals
BENNY ADLER : Background Vocals
HADLEY ASSAIL : Background Vocals
MARION BILLINGS : Background Vocals
AMANDA BRECKER : Background Vocals
MADELEINE RUFF : Background Vocals
セールス的にはビル・エヴァンスのアルバムで一番売れているのが『PUSH』(以下『プッシュ』)であり「ビル・エヴァンス&プッシュ」名義の一連のアルバムである。
だから残念でしょうがない。こんなにも才能あるサックス奏者が“色眼鏡”で見られ続けることに我慢ならない。
『プッシュ』の中のビル・エヴァンスは,ジャズ/フュージョン界を「ブイブイ言わせた」ビル・エヴァンスとは別人のビル・エヴァンス。
『プッシュ』が売れ続けることはビル・エヴァンスにとってマイナスである。ビル・エヴァンスにとって大損失なのである。
駄盤『プッシュ』のおかげでビル・エヴァンスの“過去の栄光”は地に落ちてしまった。
あのマイルス・デイビスが復帰の際に伴なったサックス奏者がビル・エヴァンスであった。あのジョン・マクラフリンがマハヴィシュヌ・オーケストラの再結成の際に伴なったサックス奏者がビル・エヴァンスなのであった。
独立後のビル・エヴァンスも順調そのものであって,同世代のマイケル・ブレッカー,ボブ・バーグ,ケニー・ギャレットと共に,若手・中堅にしてすでに大物集団の一人に数えられるジャズ・サックス・プレイヤーがビル・エヴァンス。
ビル・エヴァンスのソロ・アルバムの共演者のクレジットを見れば,ビル・エヴァンスの格の凄さが理解できる。
『プッシュ』にしても共演者は超大物がズラリ。ビル・エヴァンスの元に,ピアノのボブ・ジェイムス,キーボードのフィリップ・セス,ピアノのボブ・ジェームス,ギターのチャック・ローブとニック・モロック,ベースのクリス・ミン・ドーキーとマーカス・ミラーとビクター・ベイリーとマーク・イーガン,トランペットのクリス・ボッティが集まっている。なのにどうして〜。
『プッシュ』の失敗は多分にドラマー不在にある。ダン・ゴットリーブやデニス・チェンバースを「はべらせてきた」ビル・エヴァンスが『プッシュ』では打ち込みを選択した。
「ビル・エヴァンス&プッシュ」が追求したのは最先端のダンス・ミュージックである。だから打ち込みという選択は間違いではない。ただしこれでは相棒となる強力なベーシストの良さが生かされない。加えてアルバムの音造りがギター寄りなのも強力ベーシスト陣の良さを消している。
『プッシュ』以降,バンド・サウンドで勝負するようになるのが不思議なくらいに,カラオケをバックにビル・エヴァンス1人だけが饒舌な感じ? あっ,ビル・エヴァンスが気持ちいいからこの路線なんだよね〜。
管理人の結論。『プッシュ』批評。
ラップが躍動する「トンガリ」系のクラブ・サウンド『プッシュ』は,打ち込みに打ち勝つ!?名手揃いのベーシストに引き戻されたおかげで,いいか悪いか「聞き心地の良いスムーズ・ジャズ」として着地している。踊れないわ,聴けないわ,で聞き流す価値しかなくなっている。
普通に吹いていても“お洒落系”ジャズ・サックスのビル・エヴァンスが,全身お洒落コーデしてどうする!?
01. PUSH
02. ROAD TO RUIN
03. IF ONLY IN YOUR DREAMS
04. LONDON HOUSE
05. NIGHTWING
06. STAND UP AND DO SOMETHING
07. THE HOBO
08. YOU GOTTA BELIEVE
09. LIFE IS DANGEROUS
10. U R WHAT U HEAR
11. A SIMPLE LIFE
12. MATTER OF TIME
13. PUSH (CLUB MIX)
BILL EVANS : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone, Alto Saxophone, Keybpards, Rhodes, Piano, Background Vocals, Drum Loops
CLIFORD CARTER : Keybpards, Drum Loops
PHILIPPE SAISSE : Keyboards
BOB JAMES : Piano, 3 Wood
BRUCE HORNSBY : Piano
CHUCK LOEB : Acoustic Guitar, Electric Guitar
JEFF GOLUB : Acoustic Guitar, Electric Guitar
NICK MOROCH : Guitar
CHRIS MING DOKY : Acoustic Bass
MARCUS MILLER : Bass
VICTOR BAILEY : Bass
MARK EGAN : Bass
BILY WARD : Drums
MAX RISENHOOVER : Bass, Drums, Screech Guitar, Percussion Sequencing
JIMMY BRALOWER : Drum Programming
MICHAEL COLINA : Drum Programming
MICHAEL DAVIS : Trombone
CHRIS BOTTI : Trumpet
K C FLIGHT : Rap, Drum Programming
BLACKSTAR : Rap
HARD HITTIN HARRY : Chorus
K-LA : Chorus
LITTLE ELI : Chorus
PORTER CARROLL JR. : Background Vocals
WARREN SHARPE : Background Vocals
KC AND BLACK STAR : Background Vocals
NANCY ADLER : Background Vocals
MARGO ADLER : Background Vocals
BENNY ADLER : Background Vocals
HADLEY ASSAIL : Background Vocals
MARION BILLINGS : Background Vocals
AMANDA BRECKER : Background Vocals
MADELEINE RUFF : Background Vocals
(リップスティック/LIPSTICK 1994年発売/VICJ-5122)
(ライナーノーツ/熊谷美広)
(ライナーノーツ/熊谷美広)