ゲイリー・バートンが“ジャズ・ロックの旗手”として,R&B系の猛者たちとの「異種格闘技」セッションの記録が『GOOD VIBES』(以下『グッド・ヴァイブス』)である。
ゲイリー・バートンが『グッド・ヴァイブス』で対峙したR&B系の猛者たちとは,後のスタッフのメンバーであるエリック・ゲイルとリチャード・ティーである。共に最前線で活躍してきたゲイリー・バートンとスタッフであるが,R&B系のスタッフがジャズ/フュージョン界に進出してきた後であっても,流石に共演の縁まではなかった。
『グッド・ヴァイブス』での「異種格闘技」セッションは,ゲイリー・バートン・ファンにとってもスタッフ・ファンにとっても,歴史的に超貴重なアーカイブなのである。
では『グッド・ヴァイブス』の何がそこまで貴重なのか? その答えはゲイリー・バートン自身も『グッド・ヴァイブス』以外の録音で使用した例のない電気ヴィブラフォンの“歪み”にある。
尤も『グッド・ヴァイブス』で使用したと書くよりも,その中の1曲【ヴィブラフィンガー】で試験的に試したにすぎない。
電気ヴィブラフォンとは廃盤になった珍しい楽器であって,あの“歪み”は完全にエレキ・ギターのチョーキングである。
管理人の頭の中の妄想では,長髪のゲイリー・バートンが「ショルキー」をしょってロック・ギターばりにチョーキングしている図。時には電気ヴィブラフォンが古いシンセサイザーのようにも聴こえるから,次の図面はゲイリー・バートンが1人で,スタッフの2人を相手にチョーキングしている図。
ではその電気ヴィブラフォンをゲイリー・バートンが多用しているかと言えばそうでもない。結果として『グッド・ヴァイブス』は超貴重なアーカイブになったのだが,ゲイリー・バートンとしてはエリック・ゲイルとリチャード・ティーとの「異種格闘技」セッションは,ごく自然な流れの中にある。
当時のゲイリー・バートンのレギュラー・グループのギタリストはサム・ブラウンとジュリー・ハーンというカントリー調やゴスペル調のギタリストが加入した,多様な音楽に富んだ時期に差し掛かっていた。
これがラリー・コリエルのままであったなら「音楽的な発想」としてエリック・ゲイルとリチャード・ティーとの共演は実現しなかったと思うし,ラリー・コリエルのままであったならラリー・コリエルの音色と被る電気ヴィブラフォンを使用することもなかったと思う。全てが偶然にして必然の“巡り会わせ”で誕生したアーカイブ・アルバムなのだと思う。
ただし『グッド・ヴァイブス』が真にアーカイブ・アルバムと称される所以とは,当然ながら「楽曲の良さと演奏の良さ」が光ればこそ!
ゲイリー・バートンが電気ヴィブラフォンを使用したのも,全ては「新しいジャズ」サウンドを追い求めてのことである。ゲイリー・バートンにとっての「異種格闘技」セッションとは「音楽的な実験」の機会でしかなかった。勝つか負けるかなど,そんな次元に低いセッションではない。
『グッド・ヴァイブス』でのゲイリー・バートンは,電気ヴィブラフォンだけでなく通常のヴィブラフォン演奏までもがカッコイイ。
ロックな8ビートの曲やブルージーでファンキーな楽曲が録音されているが,ジャズ・ロックのノリもこなれてきており,演奏よりもメロディー・ラインに注意が向けられる。
個人的には意外にもゲイリー・バートンが弾くオルガンに耳ダンボ。流石はヴィブラフォン奏者にして元ピアニストの弾く「打楽器」のオルガンである。
01. VIBRAFINGER
02. LAS VEGAS TANGO
03. BOSTON MARATHON
04. PAIN IN MY HEART
05. LEROY THE MAGICIAN
06. I NEVER LOVED A MAN (THE WAY I LOVE YOU)
GARY BURTON : Vibes, Electric Vibes, Piano, Organ
SAM BROWN : Guitar
JERRY HAHN : Guitar
ERIC GALE : Guitar
RICHARD TEE : Piano, Organ
STEVE SWALLOW : Bass, Electric Bass
CHUCK RAINEY : Electric Bass
BILL LAVORGNA : Drums
BERNARD PURDIE : Drums, Percussion
ゲイリー・バートンが『グッド・ヴァイブス』で対峙したR&B系の猛者たちとは,後のスタッフのメンバーであるエリック・ゲイルとリチャード・ティーである。共に最前線で活躍してきたゲイリー・バートンとスタッフであるが,R&B系のスタッフがジャズ/フュージョン界に進出してきた後であっても,流石に共演の縁まではなかった。
『グッド・ヴァイブス』での「異種格闘技」セッションは,ゲイリー・バートン・ファンにとってもスタッフ・ファンにとっても,歴史的に超貴重なアーカイブなのである。
では『グッド・ヴァイブス』の何がそこまで貴重なのか? その答えはゲイリー・バートン自身も『グッド・ヴァイブス』以外の録音で使用した例のない電気ヴィブラフォンの“歪み”にある。
尤も『グッド・ヴァイブス』で使用したと書くよりも,その中の1曲【ヴィブラフィンガー】で試験的に試したにすぎない。
電気ヴィブラフォンとは廃盤になった珍しい楽器であって,あの“歪み”は完全にエレキ・ギターのチョーキングである。
管理人の頭の中の妄想では,長髪のゲイリー・バートンが「ショルキー」をしょってロック・ギターばりにチョーキングしている図。時には電気ヴィブラフォンが古いシンセサイザーのようにも聴こえるから,次の図面はゲイリー・バートンが1人で,スタッフの2人を相手にチョーキングしている図。
ではその電気ヴィブラフォンをゲイリー・バートンが多用しているかと言えばそうでもない。結果として『グッド・ヴァイブス』は超貴重なアーカイブになったのだが,ゲイリー・バートンとしてはエリック・ゲイルとリチャード・ティーとの「異種格闘技」セッションは,ごく自然な流れの中にある。
当時のゲイリー・バートンのレギュラー・グループのギタリストはサム・ブラウンとジュリー・ハーンというカントリー調やゴスペル調のギタリストが加入した,多様な音楽に富んだ時期に差し掛かっていた。
これがラリー・コリエルのままであったなら「音楽的な発想」としてエリック・ゲイルとリチャード・ティーとの共演は実現しなかったと思うし,ラリー・コリエルのままであったならラリー・コリエルの音色と被る電気ヴィブラフォンを使用することもなかったと思う。全てが偶然にして必然の“巡り会わせ”で誕生したアーカイブ・アルバムなのだと思う。
ただし『グッド・ヴァイブス』が真にアーカイブ・アルバムと称される所以とは,当然ながら「楽曲の良さと演奏の良さ」が光ればこそ!
ゲイリー・バートンが電気ヴィブラフォンを使用したのも,全ては「新しいジャズ」サウンドを追い求めてのことである。ゲイリー・バートンにとっての「異種格闘技」セッションとは「音楽的な実験」の機会でしかなかった。勝つか負けるかなど,そんな次元に低いセッションではない。
『グッド・ヴァイブス』でのゲイリー・バートンは,電気ヴィブラフォンだけでなく通常のヴィブラフォン演奏までもがカッコイイ。
ロックな8ビートの曲やブルージーでファンキーな楽曲が録音されているが,ジャズ・ロックのノリもこなれてきており,演奏よりもメロディー・ラインに注意が向けられる。
個人的には意外にもゲイリー・バートンが弾くオルガンに耳ダンボ。流石はヴィブラフォン奏者にして元ピアニストの弾く「打楽器」のオルガンである。
01. VIBRAFINGER
02. LAS VEGAS TANGO
03. BOSTON MARATHON
04. PAIN IN MY HEART
05. LEROY THE MAGICIAN
06. I NEVER LOVED A MAN (THE WAY I LOVE YOU)
GARY BURTON : Vibes, Electric Vibes, Piano, Organ
SAM BROWN : Guitar
JERRY HAHN : Guitar
ERIC GALE : Guitar
RICHARD TEE : Piano, Organ
STEVE SWALLOW : Bass, Electric Bass
CHUCK RAINEY : Electric Bass
BILL LAVORGNA : Drums
BERNARD PURDIE : Drums, Percussion
(アトランティック・ジャズ/ATLANTIC JAZZ 1970年発売/WPCR-27084)
(ライナーノーツ/後藤誠)
(ライナーノーツ/後藤誠)