![THE BEST OF MAX ROACH AND CLIFFORD BROWN IN CONCERT!-1](https://livedoor.blogimg.jp/adliblog/imgs/3/1/31ee0ed5.jpg)
しかし,ジャズメンの“格”からしてクリフォード・ブラウンの名前がマックス・ローチの名前より先に来るのが商業音楽としてのセオリー。
マックス・ローチもアート・ブレイキー級のジャズ・ジャイアントではあるが,如何せん,共同運営のパートナーがクリフォード・ブラウンであれば致し方ない。
事実,クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの逆転現象が起きる前,クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの双頭コンボの結成当初は“格上”であるマックス・ローチの名前の方が先に来る「マックス・ローチ=クリフォード・ブラウン」であった。
『THE BEST OF MAX ROACH AND CLIFFORD BROWN IN CONCERT!』(以下『イン・コンサート完全盤』)は,そんな「マックス・ローチ=クリフォード・ブラウン」時代のライブ盤である。
クリフォード・ブラウンのトランペットが若々しい! クリフォード・ブラウンが「スター街道を一直線に登り詰める」過程が一部始終記録されている。
この時期のクリフォード・ブラウンのトランペットからは「日進月歩」のような勢いが感じられる。きっと次回のコンサートでは今回のコンサートの何倍も良い演奏を聴かせてくれたに違いない。何の根拠もないのだが,少しの疑いもなくそう確信させてくれる,若々しいトランペット!
とにかく,こんなにもドキどき&ワクワクさせてくれるクリフォード・ブラウンはそう滅多に聴けやしない。
しか〜し,そんな上り調子のクリフォード・ブラウンをもってしても,マックス・ローチの“爆裂ドラミング”を前にしては「影の主役」である。
ドンドンドン,ドンドン,ドンドコドンドコ,ドドドドド・・・陶酔の世界に誘うマックス・ローチの“爆裂ドラミング”が『イン・コンサート』の主役である。
『イン・コンサート完全盤』の全8トラックの中で長めのドラム・ソロが入っているのは【JOR−DU】【I GET A KICK OUT OF YOU】【PARISIAN THOROUGHFARE】【ALL GOD’S CHILLUN GOT RHYTHM】【CLIFFORD’S AXE】の全5トラック。
そう。『イン・コンサート』の時点では,マックス・ローチがクリフォード・ブラウンの頭を抑えている構図。
マックス・ローチの“爆裂ドラミング”はドラム・ソロだけではない。バッキングでも目立っていて完全にバンドの仕切り役。
管理人が『イン・コンサート完全盤』を愛聴する一番の理由は,後の「クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ」の名盤群にはないマックス・ローチのラフな演奏にこそある。
![THE BEST OF MAX ROACH AND CLIFFORD BROWN IN CONCERT!-2](https://livedoor.blogimg.jp/adliblog/imgs/8/d/8d7e0b05.jpg)
逆に言えば,勢いと音圧は申し分ないものの,理知的な演奏が前面に出ていて,天性のと言うか,野性のノリが物足りない。加えて自分のリーダー作となれば,共演者にもカッチリ感を求める傾向が見え隠れしている。本当は『イン・コンサート完全盤』の人なのに…。
『イン・コンサート完全盤』のマックス・ローチはライブ盤ゆえに,野生のノリが知性に勝って,いつものセーブが効いていない。カッチリ感がいい塩梅に破壊されている。いい意味で隙があるのだ。
そんな大ボスの隙を付いてクリフォード・ブラウンがアドリブを決めている。いつもは優等生のイメージがあるクリフォード・ブラウンが,ほんの少しだけ不良っぽくなることにより『イン・コンサート完全盤』は,完璧な演奏の積み重ねだけでは絶対に表現することのできない“ジャズっぽさ”が付加されて「永遠の名盤」へと昇華した。
クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの双頭コンボには『イン・コンサート完全盤』より良質の演奏がたくさんある。
しかし,クリフォード・ブラウンとマックス・ローチの双頭コンボに『イン・コンサート完全盤』以上に“ジャズっぽさ”を感じさせるアルバムもない。
管理人の愛聴するクリフォード・ブラウンとは,管理人の愛聴するマックス・ローチとは『イン・コンサート完全盤』の中に全てある。
01. JOR-DU
02. I CAN'T GET STARTED
03. I GET A KICK OUT OF YOU
04. PARISIAN THOROUGHFARE
05. ALL GOD'S CHILLUN GOT RHYTHM
06. TENDERLY
07. SUNSET EYES
08. CLIFFORD'S AXE
MAX ROACH ALL-STARS WITH CLIFFORD BROWN
MAX ROACH : Drums
CLIFFORD BROWN : Trumpet
TEDDY EDWARDS : Tenor Saxophone
HAROLD LAND : Tenor Saxophone
CARL PERKINS : Piano
RICHIE POWELL : Piano
GEORGE BREADSAW : Bass
GEORGE MORROW : Bass
(GNP/GNP 1954年発売/KICJ-246)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ジーン・ノーマン,野口久光,大和明)
(紙ジャケット仕様)
(ライナーノーツ/ジーン・ノーマン,野口久光,大和明)